サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
英雄派の面々は、逃げられた。
一瞬の隙を狙うように。
結果的に奴らを逃してしまったが、幸い、目的である八坂さんの救出は成功した。
だが、問題はそこからだ。
「京都のお酒って、やっぱり美味しいわぁ!マスターもほらほらぁ」
「・・・なんというか、こっちはこっちで色々と面倒だな」
現在、俺は戦いを終えて一息ついたばかりなのに、何故か伊吹童子さんに抱きつかれている。
それもただの抱擁ではない。
豊満な胸に顔を挟まれた状態で固定され、しかも彼女は既に瓶を半分以上空けていた。
「離せよ太郎!」
兵藤が羨望と嫉妬混じりの視線を送ってくる。
「こっちは被害者だぞ」
「うそつけぇ!うらやまけしからん!」
全く理不尽な怒りだ。
「うふふ~♪」
伊吹童子さんはといえば完全に上機嫌。
さっきまでの戦闘狂モードはどこへやら。
今やその鋭い眼光は柔和な微笑みに変わり、口調も柔らかくゆったりとした京訛りになっている。
「マスターさんのお顔、近くで見るとますます凛々しいわぁ」
「ちょっ・・・近いですよ」
「だぁめ♪ もう少し堪能させて?」
抵抗虚しく更に密着される。
(なんなんだこの人は・・・)
困惑する俺の周りでは既に大騒ぎが始まっていた。
伊吹童子さんに抱きしめられたまま固まっていると、突然遠くからバーサーカーの声が響いた。
「ふぅ、酒呑童子になっているから、こっちは気楽で助かるぜ」
バーサーカーは肩をすくめて苦笑しながらこちらに近づいてくる。その足取りが妙に軽やかなのが気になる。
「どうした?随分嬉しそうじゃないか」
「いやぁ、マスターには悪いが……正直ホッとしてるぜ」
そう言うとバーサーカーは少し離れた位置で立ち止まった。俺にはその心情が痛いほどわかる。彼の心境を考えれば当然だろう。
酒呑童子の姿をした伊吹童子さんは確かに美しく妖艶だが、同時に底知れない怖さも秘めていた。一方で今の彼女は……まあ確かに魅力的だ。
ただしそれは『危険な女』としてではなく『危険なくらい可愛い女性』としての魅力だ。これが酒呑童子だったら間違いなく全力で逃げ出す必要があっただろう。
「まったく……どっちにしても俺にとっては災難だけどな」
そうしながらも、俺はこの状況でもまた修学旅行の思い出かもしれない。
「まぁ、そろそろかもしれないな」
「そろそろって、何を考えているんだ」
「いや、こっちの話だ」
少し前の連絡。
それによって、修学旅行を終えた後ぐらいに彼女が来る事を聞いていた。
「だから、修学旅行を終わるのは少し残念だけど、少し楽しみでもあるかな」
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王