サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

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魔法使いの未来への道筋 Ⅴ

硝煙が薄れる中、朱音が拳を強く握り締めた。クールな仮面の下から覗く恥じらいの色が新鮮だ。

 

「私が関われば……歴史が……」

 

「まあまあ落ち着けって」

 

俺は埃まみれの床にあぐらをかいたまま手をひらひらさせる。

 

「要するに未来の俺と絶花の間に生まれたのがお前で、俺がここで死ぬと大変なことになるから助けに来た。そういうことだろ?」

 

朱音がこくりと頷く。その仕草があまりにも幼くて笑いそうになったが……

 

「で?どうやって未来から来た?タイムマシンでも持ってきたのか?」

 

「……違う」

 

朱音は僅かに俯きながら答えた。

 

「私の力……それは――」

 

彼女が右手を掲げる。淡い光が指先に灯った。その輝きは俺にとって馴染み深いものだ。そうだ――

 

「これ。あなたを通して英霊達の繋がりを辿る力。それを媒介にして座へ接続……」

 

「夢幻召喚か!」

 

思わず声が弾んだ。夢幻召喚――対象のクラスカードと媒介となる血縁者を用いて英霊の力を擬似的に呼び起こす儀式。

 

特殊な英霊として、イリヤ達に出会ったので、その状態を知っているが、まさか自分の娘もなっているとは。

 

「そう。父さんの英霊達との縁を通じて私は……」

 

朱音が自分の胸に手を当てる。着物の生地越しに鼓動が跳ねるのが見えた。

 

「なるほどな」

 

俺は顎に手をやり頷く。つまり俺の縁にいる英霊達の霊基情報を彼女が一部借り受けているということか。

 

「でも待てよ。それじゃあ歴史改変にならないか?」

 

青子が眉を寄せた。未来の自分が関与することで因果律がおかしくなる懸念だ。俺も同じ疑問を抱いたが――

 

「まぁ、だから極力表に出たくなかったわけね」

 

朱音は小さく呟いた。

 

「未来で起きたことは……未来で知るべきこと」

 

その声には強い意志が込められている。なるほど、彼女なりの信念か。

 

「それで?」

 

俺は立ち上がりながら尋ねた。

 

「未来はどうなるんだ?俺が死ぬとどうなる?」

 

朱音の表情が曇る。拳をぎゅっと握りしめ唇を噛んだ。

 

「……言えない」

 

「だろうな」

 

青子が溜息混じりに肩を竦める。

 

「教えてくれたら逆に困るわ。因果律崩壊で全員タイムパラドックスよ」

 

「だよな」

 

俺も苦笑いで同意した。下手に未来を知ればパラドックスが起きてしまう。そもそもグランドオーダーを経験した身としては時間軸の危うさは骨身に沁みて分かっていた。

 

「というわけで」

 

俺は手をパンと打った。

 

「詳しい話は未来の自分に任せるさ。今大事なのは――」

 

視線を横に滑らせると青子がニヤリと笑う。

 

「次の襲撃を「魔法少女になれるかどうかだな」いや、それ関係あるの!」

 

俺の一言に対して、青子は思わず叫んでしまう。

 

けれど、これはかなり重要だ。

 

「だって、イリヤ達と似たような事が出来るって事は、もしかしたら魔法少女になれるって事だろ」

 

「いや、あくまでも、夢幻召喚だけでしょう、そういうのはな」

 

すると、顔が真っ赤になっている朱音を見る。

 

その表情からしてかなり動揺しているのかな。

 

「まぁ、冗談は兎も角として。これからどうすればいいの?」

 

「ん?お前が聞きたいんじゃないのかよ」

 

「いやいやいや!聞けるわけ無いだろう」

 

「まぁ、冗談はその辺にしておきなさい」

 

青子が窘めて来る。

 

「それで、実際にどうするの、マスター?」

 

「・・・とりあえず、移動するか」

 

「移動って、どこか隠れる場所でも?」

 

「逆だよ、目立つ場所。敵が俺の命を狙っているんだったら、むしろ目立つ場所に行かないと他に被害があるだろ」

 

「それは、そうだけど」

 

「とりあえずは、移動しようか」

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