サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
夜の帳が降りた町を三人で向かう。住宅街の灯りが徐々に減り、潮の香りが強くなるにつれて目的地が近づいているのが分かった。
「本当に人気のない場所って……ここしかないの?」
青子が小声でぼやく。確かにこの地域で一番寂しい海岸というのはあまり景観が良くないことで有名だ。
「しゃーないだろ。機械生命体がまた出てきたら一般人に被害出るし」
俺は肩をすくめながら前方を指差す。暗闇に浮かぶ防波堤のシルエットが見える。
「それに――」
視線を横に滑らせると朱音が俯き加減で歩いていた。着物の袖が月明かりにほのかに照らされている。
「ねぇ」
朱音が唐突に口を開く。俺は歩調を緩めながら振り向いた。
「何だ?」
「父さんって……グランドオーダーを経験してるんだよね?」
俺は少し驚いた。未来から来たとはいえ娘に"グランドオーダー"と言われると妙な感慨がある。
「まぁな。けど詳しくは話せないぞ。歴史改変になりかねんし」
「ううん、内容は聞かない」
朱音が首を振る。その顔には真摯な眼差しが浮かんでいた。
「ただ……どんな気持ちだったの?」
その問いに俺は言葉を探す。あの特異点巡りは確かに壮絶だった。人理修復という途方もないミッションは精神的にも肉体的にも限界を超えた戦いの連続だった。だが――
「別に特別な事じゃないさ」
俺は夜空を見上げながら答える。星屑が点々と散らばっていた。
「要するに生き延びたってだけだ。他の誰かでも同じようにできたと思うよ」
「そう……」
朱音の声には落胆が滲む。もっと英雄譚のような話を期待していたのかもしれない。
「未来でお前が知っていれば充分だろ?」
そう付け加えると彼女は小さく頷いた。その時――
「着いたわね」
青子の声で意識を現実に戻す。眼前には砂浜が広がり、波音が静かに響いていた。
「海風が冷たいわねぇ」
青子が自分の腕を抱きしめる仕草をする。
「ここで何をするつもり?」
朱音が不安げに尋ねてきた。当然だ。急にこんな場所に連れてこられても戸惑うだけだろう。
「まずは確認だ」
俺は海岸に視線を走らせた。薄暗い砂浜の向こう側――確かに誰かが戦っている。
「一誠? それにゼノヴィアやイリナもか?」
視界の先には銀色の巨狼が吠えていた。体長は優に五メートルを超えている。あれが噂のフェンリルか。
「マスター! どうやら既に戦闘が始まって――」
青子の警告を遮るように爆風が吹き荒れた。木場が振るった魔剣の衝撃波だ。しかし銀狼の毛皮は鋼鉄のように硬く、傷一つつかない。
「……」
朱音が無言で前に出た。その気配が変わる。着物の模様が鱗のように煌めき――全身をメタリックブルーの鎧が包み込んだ。
「夢幻召喚――メリジューヌ」
右手に握られた武器は奇妙なものだった。盾と剣が一体化したような形状――アロンダイトの鞘と呼ばれる武器か。
「行ってくる!」
それと共にフェンリルに急接近すると共に、フェンリルに向かって、殴る。
「なんだっ!」『この気配!?まさか、アルビオン!?けれど、何か違う』
メリジューヌの力を纏っている事もあり、一誠とドライグは勘違いしている様子。
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王