サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
家に帰ってきたばかりの絶花がソファにうつ伏せになる。駒王学園に転校して3週間目にして、早くも精神的疲労が限界を迎えていた。
「太郎~クラスのみんなと全然話せないよぉ……」
情けない声が背中から響く。俺は台所で晩飯の支度をしながら返事を投げる。
「そりゃあしょうがないだろ。お前みたいなコミュ障が一朝一夕で溶け込めるわけないし」
「も~いじわる言わないでよ!クラスで孤立してるんだよ!昼休みなんて机で丸くなってるだけだし!」
「そう言われてもな、そもそも高等部の俺じゃ、中等部の絶花に助けられる事なんて少ないからな」
「そう言っても、他の人達が話しかけないのは、太郎も原因なんだよ!」
「んっ?」
その言葉に対して、俺は疑問に思って、首を傾げる。
「なんだか、太郎と幼馴染みだって知られたら、なんか余計に距離取られるようになったし」
「えっ?俺と一緒で悪い印象与えたか?」
「あぁ~っ!!そんな事ないよ!むしろ、すごいって思われているけど」
「けど?」
絶花はため息をつきながら続けた。
「だってクラスメイトたちが『あの太郎先輩と幼馴染みってスゴすぎる』とか『伝説級の実績』とかヒソヒソ話すんだよ。おかげで私まで大物扱いされて遠巻きに見られてる」
「あー……それは誤解だなぁ」
鍋の火を止めて振り返ると、絶花が頬を膨らませていた。昔からの癖だ。機嫌悪い時のわかりやすいサイン。
「だって私別に強くないし!ただ剣道習ってるだけだし!」
「いやいや、お前それ相当鍛えてるだろ。この前家の庭で稽古見てたけど普通にすごかったぞ」
「え?あっありがとう///」
急に褒められて照れたのか顔を伏せる。その隙に皿を持ってソファに腰掛けた。醤油の匂いが鼻をくすぐる。
絶花が顔を赤らめている最中、台所の戸が静かに開いた。
「失礼する」
低く穏やかな声と共に現れたのは白い外套をまとった青年だった。無造作に束ねた灰白色の髪と鋭い金色の瞳が印象的だ。
「あっエミヤさん!今日も料理ありがとうございました!」
絶花が慌てて飛び起きる。その頬はまだ微かに紅潮していた。
「礼には及ばない。食器の片付けさえ手伝ってくれれば十分だ」
テーブルに置かれた盆には湯気立つ鍋と取り分けられた椀が整然と並んでいる。いつもの和風煮込み料理だが、今日のは特別品だろう。
「さて、マスター。そう料理を楽しでいる所もあるが、この後、仕事の話がある」
「・・・仕事か、という事は面倒な事が起きるのか?」
「あぁ、これまでの調査でな」
それを聞いて、俺もまた、これからの事を考えて、少しため息を吐く。
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王