サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
翌日──駒王学園中等部の校門に立った俺は、まず深呼吸した。昨日までの喧騒が嘘のように平和な朝。鳥のさえずりまで耳に入る余裕がある。
「まさか告白されるとは……あの絶花がな」
ポケットに手を突っ込みながら独りごちた。
中学に入って急にモテ期到来とは。まあ前世の記憶から察するに、成長とともに容姿が磨かれていってるんだろう。あのツンデレ具合が男子たちには新鮮に映るのかもしれない。
「おっと」
ふと視線を感じて振り返ると、木陰に女子生徒の集団がスマホをこちらに向けていた。
「キャー!太郎先輩よ!」と囁き合う声が漏れている。なるほど確かに俺の評判が先行してるらしい。宮本絶花の幼馴染という時点で興味本位の標的になるわけだ。
ただし、その声はどちらかと言うと珍獣を見つけたような反応だ。
人混みを押し分けるように、1人の姿が目に入った。
「……あんたか」
俺は眉をひそめながら歩み寄る。金髪眼帯の少女がこちらを向いた瞬間──寒気が走った。
(なんだこいつ……)
表向きは柔らかな笑顔だ。中学生らしい爽やかさすらある。だが金色の瞳の奥底が澱んでいる。まるで沼地の水面のような、歪んだ反射を孕んだ光だ。
「初めまして、我が名はリルベット・D・リュネールだ、唯我太郎先輩」
「・・・初めましてって言いたいが」
そうして、周囲を見る。
「結構な騒ぎになっているんだが」
俺がそう述べたのも無理はない。
「・・・随分と絶花に惚れているようだな」
「惚れているとは、少し勘違いしているようだな。私はただ彼女に決闘を申し込みたいと思っただけだ」
「・・・理由は」
「最強と言ったら納得するかい」
そう彼女は呟く。
だが、その返答に対して、俺は彼女の瞳の奥を見る。
眼帯をつけている為、もう片方の眼は見えない。
けれど、その奥に宿るのは間違いなく闇。
「丁度良い、先輩に聞きたい事が一つある」
「・・・なんだ」
「あなたは仲間を大切にしていると聞きます。だが、もしも、その仲間が実は自分の事しか考えていなかったら、どうしますか」
その答えに対して、俺は少しだけ腕を組み。
「さぁな、そう考えているんだったら、それでも良い」
実際に、そうなる可能性が低いと判断した。
俺が見ている限りでも。
「少なくとも、それがそいつが選んだ道だったら、尊重するな」
かつての戦いにはそのような出来事は何度もあった。
けれど、俺にとってはそれを簡単に裏切りだと思い込まない。
何よりも。
「俺は生きてくれてた方が嬉しかったがな」
「・・・なるほど、どうやら私とは別のようだな」
そうしていると。
「ならば、今度、決闘を見届けて欲しい。立会人として」
「まぁ、決闘だったらな、絶花が負けるのはあり得ないがな」
「信用しているようだな」
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王