サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
史文恭の顔には明らかな侮蔑が浮かんでいた。彼の目に映るエミヤの動作は一瞬止まったように見えた。
「何だその顔は。まさか俺が武器を失ったとでも思ったか?」
エミヤが鼻で笑う。
史文恭の口元が歪む。
「当たり前だろう。貴様がさっきバラバラに砕いた“干将・莫耶”。あれが無ければ、英雄だろうと関係ない!」
それに同調するように周囲の奴らも騒ぎ出す。
「・・・ふむ、確かに武器がなければ、私1人では太刀打ち出来ないだろう」
「くくっ、武器を使い捨てするのは、間違いだったようだな」
「あぁ、そうだな、最も」
史文恭の言葉に対して、エミヤは特に気にした様子もなく、両手を構える。
その構えに対して、全員は疑問に思っていたが。
「トレース・オン」
その一言を呟くと同時に、史文恭の目が見開かれる。
そこには先程と同じ形状の剣が握られていた。
「……創造系統の神器!?いやっ馬鹿な!干将・莫耶をっなぜっ」
「神器か。お前達は自身の技量で出来るとは考えない訳か」
「何を言って」
そうしながら、エミヤは続ける。
「私のこれは、日々の鍛錬によって辿り着いた技、投影を徹底的に訓練したものだ」
エミヤの言葉が響くと同時に、史文恭は既に言葉を詰まらせていた。
それは、その言葉が本当だと確信できたからだ。
そう、そこにいる人間の中で誰よりも英雄という部分が強い。
史文恭はそれでも認めまいと叫んだ。
「構えろ!あいつに近づけばいい!数で押せ!」
残りの構成員たちが一斉に動き出した。だが——
「遅い」
エミヤの右手が閃いた。白銀の光が空気を切り裂く。次の瞬間、先頭の男の足元に一本の短剣が突き刺さっていた。
「これは『ローゲル』。かつて竜を仕留めた宝剣だ」
エミヤの左手から第二射。長大な両刃剣が別の男の脇腹に浅く突き刺さる。
「『カリバーン』。聖杯の守護者が持つべき剣」
続く第三射、第四射。まるで雨のように降り注ぐ刃物の群れ。それらはいずれも伝説に名を刻む名刀名剣——
「『カラドボルグ』」「『ロンギヌス』」「『天叢雲剣』」「『村正』」
史文恭の顔から血の気が引いた。教会内の温度が急激に下がっていく。
史文恭の喉が鳴った。唾を飲み込む音が異常に大きく響く。
「そ、そんな……ありえない!」
エミヤがゆっくりと歩を進めると、英雄派の若者たちが蜘蛛の子を散らすように退いていく。まるで猛獣から逃げる小動物だ。
「待て!それ以上近づくな!」
史文恭が片手を上げて制止する。その声は震えている。
「これが最後通告だ。武器を収めろ。さもないと——」
一閃。
空気を裂く音と共に放たれた鏑矢が史文恭の頬をかすめた。血が細く線を描いて飛ぶ。
「降伏か死か。選べ」
史文恭の膝がガクッと落ちた。周囲の仲間たちも次々と武器を地面に落としていく。
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王