サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
英雄派の連中が完全に戦意喪失したのを確認して、俺は安堵のため息をついた。これでひとまず決闘現場への妨害者は排除できそうだ。
「本当に面倒な連中だな……まったく」
「油断するなマスター」
エミヤの声に俺はため息を吐く。
「ああ、ちょうど良かった」
廃墟と化した教会の入り口から響く優雅な声。瓦礫の山を優雅に避けて現れたのは悪魔。
「メビウス・フルーレティっなぜここに!」
「まさか、本気で君達を信頼しているとでも思うのか?確かに英雄の血を引き継いでいるようだが、所詮は人間。だが、まぁ、おかげでそこにいる英雄の能力は理解出来たから情報収集に協力は感謝しているよ」
メビウスは舞台俳優のように両腕を広げた。その背後から無数の影が蠢き出す。漆黒の鱗を持つ狼型の魔獣、鎌状の腕をもつ人型魔獣……数十体が一斉に咆哮した。
「さて、君のその神器……『王国の駒』を戴こうか」
エミヤが即座に構えるが、メビウスは冷笑する。
「無意味だよ。ここは私の『領域』。それに勝てるなど「I am the bone of my sword.」っ」
「無駄だと言ってるじゃないか!」
メビウスが指をパチンと鳴らす。魔獣の群れが一斉に跳躍。その爪と牙が月光を反射しながらエミヤを襲う。
「Steel is my body, and fire is my blood.」
詠唱は続く。エミヤの周囲の空間が歪み始めた。微かな金属臭が鼻をつく。
「I have created over a thousand blades.」
魔獣の牙が眼前に迫る——その時。地面から無数の剣が突き出し、魔獣たちを串刺しにしていく。
「何ッ!?」
メビウスの顔から余裕が消えた。俺の手甲に刻まれた令呪が燦然と輝いている。
「Unknown to Death.Nor known to Life.」
ゆっくりと、だが、確実に変わっていく。
「Have withstood pain to create many weapons.」
メビウスが魔法陣を展開しようとするが遅い。詠唱は完成間近。廃墟全体が剣の森と化す。
「Yet,those hands will never hold anything.」
「なんだっこれは!」
遅すぎる警告。最後の句が紡がれる。
「So as I pray,UNLIMITED BLADE WORKS.」
世界が反転する。廃墟の教会が消え、岩肌むき出しの荒野と朽ちた剣たちが林立する異空間へと変貌した。メビウスの魔獣が凍りついたように固まる。彼の顔から脂汗が滴り落ちる。
「なんだっこれは」
「驚くことじゃない、これらは全て偽物だ」
そのまま、エミヤはメビウスへと問いかける。
「だからこそ、あえて言おう。魔獣の数は十分か、悪魔」
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王