サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
メビウスの眼球が不自然に見開かれた。先ほどまで崩れかけた教会だったはずの空間は跡形もなく消失し、代わりに無限に広がる荒涼とした大地が目の前に広がっていた。岩肌があらわになった大地には大小様々な剣がまるで墓標のように無数に突き刺さり、それらが光を受けた刃のような独特の光沢を放っている。
「……ここは……」
言葉にならない畏怖が喉の奥に詰まった。無数の剣は一つ一つが命を持っているかのように淡い輝きを放ち、かすかな音を立てて風もないのに震えている。時折、鋭い切っ先から青白い火花のような粒子が湧き上がり、空中で渦を巻いては消える。それはまるで無数の剣それぞれが秘めている無念や栄光の記憶が可視化されたかのようだった。
遠くの地平線では黒雲が低く垂れ込め、時折鈍い雷光が走る。その光に照らされていた。
「例え英雄だろうと、こんな事はあり得ないっ、絶霧でも、このような事は不可能なはず!何よりも、あの英雄派の馬鹿どもも一緒と言う事はっ」
そう叫ぶと同時に、彼の肌を冷たく刺す風が吹き抜けた。だがそれは通常の風とは明らかに異なる。まるで剣そのものが空気を切り裂きながら流れているような感触だ。地面から伝わる振動は心臓を直接叩くようで、彼の翼が無意識に小さく震えた。
最も異様なのは、つい先ほどまで自分を守護していた魔獣たちが一切動かないことだった。黒く腐敗した狼たちも、巨大な鎌を持った怪物もすべて石化したように硬直しており、まるで時間が停止したかのようだ。唯一動いているのは地面に突き刺さった剣たちが放つ微かな光の粒子だけだった。
そして何より恐ろしいのは、この剣の海の中でひとり佇む男が放つ異様な静寂感だった。長い白髪を夜風に揺らしながら、赤い外套を纏った男—エミヤ—は微笑みながら言った。
「ここは、私の心象風景をカタチにし、現実に侵食させて形成する結界。ここには、私がこれまで知った全ての剣がある。よって」
エミヤは、その場にある剣を操り、メビウスの魔獣を圧倒する。ここでは、無限の剣製に突き刺さる剣を自在に操るエミヤの戦闘描写を緻密に書いてください。
剣が踊る。無限に突き刺さった刃たちが一斉に震え始め、まるで蜂の巣が割れるかのように、次々と地面から抜け出した。数千、いや万を超える剣群が空中に浮遊し、エミヤの意志に従って流麗な隊列を形成していく。まるで星空が地上に降りてきたかのような壮観な光景だった。
メビウスの周囲で硬直していた魔獣たちが、その威圧感に反応してか徐々に再起動し始める。腐敗した狼型の魔獣が涎を垂らしながら唸り声を上げるが、その行動は一瞬だけのことだった。
「穿て」
エミヤの低く澄んだ声が響いた途端、空中の剣群が一斉に魔獣へと襲いかかる。その速度は音速を超え、空気中の水蒸気がプラズマ化するほど熱を帯びていた。狼型の魔獣の身体が文字通り剣の洪水に飲み込まれ、黒い液体が四散する。
次に動いたのは巨大な鎌を持った魔獣だった。禍々しい装甲を纏った怪物が突進するが、それよりも早く剣たちがその足元をすくい取るように突き刺さる。地面から伸びた無数の刃が鎖のように絡みつき、鎌が届く前に胴体を八つ裂きにする。
「くそっ……こんなはずではっ!」
メビウスが叫ぶ。その翼が危険信号のように赤く光り始めるが、すでに手遅れだった。上空からは流星群のごとく剣が降り注ぎ、周辺の魔獣たちを次々と屠っていく。刃が命中するたびに魔獣の肉体が霧散し、黒い血液のようなエネルギー体が空中に舞う。
だがメビウスは諦めなかった。自らの最大の権能を解放しようと翼を広げた瞬間――
「終わりだ」
エミヤの指先が指揮者のように動く。その動きに合わせて、数百本の剣が彼の周りを円環状に配置され、眩いばかりの光を放ち始めた。
「……貴様は何者だっ」
それに対する答えに。
「エミヤ、その名はお前達は知らないだろうがな」
それと共に戦いは終わりを迎える。
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王