サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
戦いが終わると同時に、砂埃が晴れていく。剣の森も霞んで消え去り、俺たちがいた廃墟の教会が再び姿を現した。
「はぁ……疲れた」
腰を下ろしたくなる気持ちを堪えながら周囲を見渡すと、エミヤはすでに通常運転に戻っていた。剣の残骸を虚空に消しながら涼しい顔で立っている。
そのときだ。
「唯我先輩!」
金髪のツインテールを靡かせてリルベットが駆け寄ってきた。決闘のために特別許可を取って来てくれたらしい。
しかし……
彼女の足が止まる。
教会の中は異様な光景に変わっていた。
「…………………」
リルベットが固まった。
無理もない。そこには英雄派連中が全員正座させられていたのだ。メビウスは翼を萎れさせたまま土下座状態だし。
リルベットが蒼白な顔で俺を見上げてくる。
「あ、あの……これ……いったい?」
当然の反応だよな。突然現れたと思ったら教会で大量の人間が土下座状態とか意味不明すぎる。
「あー……要するに」
俺は肩をすくめながら説明を始める。
「絶花とお前の決闘を邪魔させないためにちょっと掃除をしただけだ」
「邪魔……ですか?」
リルベットの目が丸くなる。それもそうだ。俺だってここまで大事になるとは思わなかったんだから。
「そ。英雄派とやらの連中が横槍を入れようとしていたから先に叩いただけだよ」
エミヤが補足するように口を開く。
「立会人として当然の義務だ」
リルベットはしばらく呆然と俺たちを見つめていたけど、やがて大きく息を吸って顔を上げた。その目に燃えるような炎が宿る。
「……ありがとうございます。でも安心してください」
彼女が右手を腰の短剣に添えて宣言した。
「今度こそ!絶対に邪魔の入らないところで正々堂々と決着をつけます!」
その言葉に、英雄派連中がびくりと震える。どうやら今は彼女の方が俺よりずっと怖かったらしい。
(やっぱり絶花といいリルベットといい……女子って強いよな)
苦笑いしながら俺はポケットに手を入れた。さて、そろそろ本番か。
「じゃあ立会人として全力でサポートするよ。覚悟はいいか?」
「もちろんです!私は全力で彼女に挑みます!」
リルベットの背筋がピンと伸びる。まるで未来を誓う騎士みたいだ。
そういやさっきまで怖気づいてたなんて微塵も感じさせないな。こりゃ見ものになりそうだ。
「決闘の準備は出来た。ならば、マスターはこれからどうする?」
「それは勿論決まっている」
俺は笑みを浮かべながらも。
「決闘を見届ける。王として、立会人としてな」
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王