サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
空気が燃える。
テュフォンの中に乗り込んだ俺は、用意された席に座りながら、その状況を見ていた。
現状、テュフォンの周囲には魔力障壁がある為に、本来だったら感じるはずのGは俺に襲い掛かる事はない。
だが、眼前にある光景が次々と変わっていく事からも、テュフォンが既に光に近い速さで飛んでいる事はすぐに分かる。
「本当に嫌になるわねっこういう概念のある奴はぁ!」
そうしながら、隣にいる本体となるテュフォン、いやここではあえてエフェメロスと言っておこう。
彼女がそう呟くのも無理はなかった。
「相手は本当に龍を殺す為の存在みたいだからな」
見つめれば、サマエルは雄叫びと共に、こちらに無数の攻撃を放つ。
元々、天使であった故に、魔法を十分に使える事が出来、テュフォンに向けて、魔法を放っていく。
その威力は普通ならば、テュフォンの魔力障壁で十分に受け止められるが、問題なのは、サマエルの特性。
「龍殺しっこいつのせいでかなり苦労する事になったな」
そうしながらも、テュフォンは更に加速。
そうしながら、周囲からは追撃を受けるがテュフォンの速度の方が圧倒的に上。
何せ、三つ首の龍。
その胴体の各部にある穴から小さな赤いレーザーを放ちながら、その進行方向を軌道修正を行いながら行い続ける。
その様子はまるでSF映画のような光景だ。
「あいつがこちらに接近しようとしたらっその時点で終わるかもねっ」
テュフォンの言葉に頷く。
サマエルの龍殺しの力は普通ならありえない程の脅威だ。
相手を攻撃しただけでその体を殺す事が出来る。
その力が如何に怖いか俺には良く理解出来る。
それにあいつは体が大きくパワーがあるのは当たり前。
スピードもあって、魔法も十分に使えたら対策は難しい。
そんなことを考えていると。
「マスターっ!来るわよっ!避けれなかったら噛まれるわよっ」
テュフォンの警告に、俺は目を凝らす。
サマエルの下半身部分。
それは確かにドラゴンであり、尻尾はこちらを狙うように動き出した。
それに対してテュフォンも回避しようと加速していく。
「ぐぅ!」
周囲の景色が一変して、激しい軌道を描くように飛んでいく。
一回転二回転と行った様子で飛んで行く。
周囲から聞こえるは雷鳴のような音と砕ける金属音。
それと共に爆発音も続く。
この戦闘は誰かが介入する余地はない。
空気が裂ける。
テュフォンの三つ首がうねり、俺の座るコクピット内がGで押しつぶされそうになる。
「くっそ……あの堕天使野郎!」
眼下にはビル群がミニチュアのように流れ去る。サマエルの咆哮が雲を裂き、紫電の如き魔法弾が雨霰と襲い掛かる。テュフォンの赤いレーザー網がそれを迎撃するが──
「マスター! このままじゃジリ貧よ!」
本体であるエファメロスが歯噛みする。彼女の三つ首がそれぞれ異なる角度で旋回し、複雑な軌跡を描く。テュフォンの機械竜態は圧倒的な速度と火力を誇るが……
「龍殺しの特性か」
サマエルの存在自体が牙になっている。奴の攻撃に掠るだけで致命傷になり得るのだ。テュフォンは最大加速と精密回避を交互に繰り返し、膨大なエネルギーを消耗していく。
「こっちの攻撃もほとんど通用しないわね。魔力障壁が硬すぎる!」
彼女の赤い瞳が焦りに揺れる。確かに基礎スペックはテュフォンの方が上だ。だが──
一瞬の交差。サマエルの尾がテュフォンの左翼装甲を削ぎ取る!
「ぐあっ!」
エファメロスの悲鳴と共に機体がぐらりと傾く。俺は必死に掴まる手に力を込めた。
「大丈夫か?!」
「ええ……でもこのままじゃ持たないわ。何か策は?」
彼女の言葉に思考を巡らせる。通常兵器はほぼ無効。正面突破は不可能。唯一の突破口は……
「エファメロス。少しの間だけサマエルを引き離せないか?」
「引き離す? 奴は執拗に追ってくるわよ?」
「分かってる。だが少しだけ時間を稼いでくれ」
「稼ぐって?」
「スペックは上回っている。だったら、それを生かす方法を行う」
それと共に令呪を見せる。
すると、エファメロスは不敵に笑みを浮かべる。
「そうとう無茶だし、そんな長時間は出来ないわよ」
「けれど、お前達だったら、出来るだら」
そう、信頼を向けて、言うと。
「当たり前よ!」
エファメロスの答えは既に決まっていた。
次回の王は
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