サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
「……なんだ……あれは」
曹操の声が震えていた。彼の視線は倒れ伏したサマエルの巨体と、悠然と佇むテュフォンに釘付けになっている。
「馬鹿な……龍殺しのサマエルが……」
信じられない、といった表情で膝を折る曹操。彼は両手を地面につき、唇を噛みしめた。
「ありえない……龍の最大の天敵を……同じ龍であるテュフォンが倒すなど……」
周りの騎士たちも言葉を失っている。一部は跪き、一部は呆然と空を見上げていた。彼らの信仰と常識が根底から崩された瞬間だった。
「どうやら……俺の勝ちみたいだな」
俺は肩をすくめて言った。
「マスター!」
テュフォンが喜びの声を上げて飛んでくる。彼女の全身から勝利のオーラが迸っていた。
「ふふん! 私だってやるときはやるんだから!」
胸を張るエファメロスとイプシロン。二人とも汗一つかいていない。
「……だが……一体どうやって?」
曹操が顔を上げた。その目には純粋な好奇心と敬意が宿っている。
「どうやって? ふん……」
俺は笑みを浮かべて答えた。
「ちょっとした裏技だよ」
テュフォンが嬉しそうに俺に抱きついた。その瞬間、彼女の髪が舞い上がり、周囲の空気が甘く香った。
曹操はしばらく沈黙していた。
「認めない……認められるものかッ!!」
曹操の絶叫が響き渡る。
「お前は偶然に過ぎない! この勝利は奇跡でしかないんだ!」
彼は血走った目で俺を睨みつけた。
「そんなことは断じて……」
「あっれ~? なんか面白くなってるじゃん♪」
突然、甲高い声が空から降ってきた。
「あっれ~? なんか面白くなってるじゃん♪」
空から降ってきたのは、銀色の髪を肩まで伸ばした中年男性だった。陽気な笑顔を浮かべているが、その目は全く笑っていない。
「リ、リゼヴィム!?」
曹操が青ざめて跪く。ヴァーリも珍しく驚愕の表情を浮かべている。
男――リゼヴィム・リヴァン・ルシファーは空中でくるりと回転した。黒いスーツが風になびく。
「太郎くんって言ったっけ? サマエルちゃんを倒したの? すごいすごーい! 拍手しちゃおう!」
ぱちぱちと乾いた拍手の音が響く。
「……誰だよおっさん」
俺は眉をひそめた。何だこのチャラいおじさんは。
「俺の祖父であり、殺すべき存在だ」
「…それで、そんな奴が俺に何の用だ」
「いやねぇ、最初はどういうのかなぁって見学するつもりだったんだよぉ。けどさぁ、ここまで盛り上がっちゃうのを見るとさぁ」
それと共に、リゼヴィムは、その手の甲を見せる。
同時に俺は眼を見開く。
「こっちも遊びたくなってきちゃったんだよねぇ」
そこに刻まれていたのは、令呪。
「あれは、太郎の手の平にある奴と同じだけど、なんで?」
「令呪っていう奴?最初に聞いた時には驚いたけど、本当にとんでもない奴なんだねぇ。さすがは7つの世界を滅ぼした王様はねぇ」
「はぁ、何を言って「それをどこで聞いたんだ」えっ」
それを知っているのは、俺とサーヴァント達と絶花だけ。
それをなぜ知っているのか。
「ふふっ、それはねぇ、君に会いたかったって言うのがいるからねぇ!」
「っ!」
それと共に、直感だった。
オーフィスの方へと眼を向ける。
同時に俺は既に走り出し、オーフィスを抱えた。
そして、オーフィスが先程までいた場所に巨大な蛇が地面を貫く。
「うっ」
「オーフィスっ」
見ると、オーフィスの腕が無くなっていた。
おそらくは、先程の蛇によって食われたのだろう。
そして、その蛇には見覚えがあった。
「…半信半疑だし、正直に言うと直感だったが、まさかお前がいるとはな、ザッハーク」
「はぁ、本当にお前はいつも邪魔するようだな」
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王