サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

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その夢は

 絶花は、その宣言と共に走る。

 

 だが、それを見る事は俺には出来なかった。

 

「なっ」

 

 蠍型のロボットも同じだった。

 

 これまでとは違う速さ。

 

 一瞬で、接近した絶花は、そのまま蠍型のロボットに向けて、一閃で斬る。

 

 蠍型のロボットの身体にはあまり傷はついていない

 

 だが。

 

「亀裂は入った」「っ」

 

 僅かな傷はついた。

 

 先程までの、竹刀とはまるで違う。

 

「まさか、覚醒を、ならば、すぐに」

 

 それに危険に感じたのか、蠍型のロボットはすぐに絶花に攻撃を仕掛ける。

 

 両手の鋏で、尻尾で。

 

 絶花の命を絶とうと。

 

 しかし。

 

「今は、見える」

 

 そう、見える。

 

 絶花は、蠍型のロボットの動きを予知したように。

 

 致命傷の攻撃を避け、鋏で攻撃する瞬間を見極め、刀で斬って、攻撃する。

 

 その攻撃でまた傷を負う。

 

 だが、また避ける。

 

 攻撃、避けて、斬る、避ける、斬る、避ける、斬る、避ける、斬る、避ける。

 

 もう、それは戦いじゃない。

 

 一方的だった。

 

 蠍型のロボットの最初の圧倒的な姿はなかった。今のその姿はまるで、踊っているかのようだった。

 

「ならば!」

 

 すると、蠍型のロボットの狙いは俺の方に向けていた。そうして、攻撃してきた。

 

 俺はそれをなんとか回避した。

 

 だが、俺には、その動きについていけなかった。

 

 回避はしたが、体勢が崩れた。

 

「これで」

 

 そう、呟いた時だった。

 

「やらせないと言った」

 

 それと共に、蠍型のロボットの鋏が、尻尾が、斬り裂かれていた。

 

 そして、俺の横には絶花が立っていた。

 

「なに」

 

「私は、太郎の最強の侍だから」

 

 それが、絶花の放った言葉だった。

 

 同時に蠍型のロボットは崩れた。

 

「……なるほど、確かに脅威ではあった。だが、未だに終わりではないぞ」

 

 そう、蠍型のロボットは呟く。

 

 だが、そんな蠍型のロボットに対して、俺は近づく。

 

「なぁ」

 

「なんだ?」

 

「お前って、なんで絶花を狙ったんだ?」

 

 その質問をした。

 

「……それが俺に与えられた命令だから」

 

「命令ねぇ」

 

 そう、俺は頭を掻く。

 

「太郎?」

 

「それは、お前がやりたい事なのか」

 

「何?」

 

 俺の言葉に、絶花も向こうも疑問に思ったように口に出す。

 

「さっき、俺は絶花に対して王様になると宣言した。だからこそ、ロボットであるお前の普通を知りたいと思ったからな」

 

「いや、ロボットに普通はあるの」

 

「あるんじゃないのか、だって、意思があるじゃないか」

 

「……何を言っているんだ貴様は」

 

 そう、蠍型のロボットは言う。

 

「俺には意思などない。俺はただ、造られた存在だ」

 

「造られた命と生まれた命。その中で意思って、どんな感じで分かるんだ?」

 

 そう、俺は純粋な疑問をぶつける。

 

「さぁな、お前達が納得出来るかどうかも疑問だがな」

 

「あぁ、だからこそ」

 

 俺はそのまま蠍型のロボットに目を向ける。

 

「お前、俺の家臣になれ」

 

「「頭、悪くないか」」

 

 まさかの絶花と蠍型のロボットの同時に突っ込まれるとは思わなかった。

 

「なんで、私の命を狙って、さっきまで殺そうとした奴を家臣にしようと思ったの!」

 

「……だって、お前の願いである普通を叶えようとしたら、とんでもない人間を家臣にして国を造る必要があるだろ」

 

「そこまで!」

 

「俺の予想ではあとは天使とか悪魔とか、なんだったら宇宙人とかも家臣にして、国を造りたい。それだけすれば、絶花は普通の人間だから、問題ないだろ!」

 

「私、そんな人達に囲まれないと普通になれないの!」

 

 例え、絶花が人間の中でもとんでもない存在だとしても、普通の人間。

 

 ならば、周囲がとんでもない種族ばかりならば、絶花の望む普通の人間になれるはず。

 

「目指せ! 普通!」

 

「そんなので、普通は考えないよ!」

 

 そう、絶花は思わず叫ぶ。

 

「……貴様、本当に正気なのか」

 

「反対に、任務に失敗したら、お前はどうなるんだ?」

 

「自爆させられるか、破棄されるだろうな」

 

「だったら、俺の所に来ても良いだろ」

 

 そう、俺は彼に目を向ける。

 

「俺の夢はさっき決まった。王になる事。そして、絶花の夢は、普通になる事」

 

「馬鹿馬鹿しい、そんな事で」

 

「けど、夢ってそんなもんだろ。お前には、夢はないのか」

 

「夢?」

 

 そう、言うと、奴は黙る。

 

「……感情が欲しい」

 

「感情?」

 

 すると、彼は呟く。

 

「先程まで、俺は圧倒していたはずだ。実際に、お前達を追い詰めていた。だが、お前達が互いに夢を決めた瞬間から、強くなった」

 

「うぅん」

 

 それは分からない。

 

 けど。

 

「それが夢ならば、俺は感情が欲しい。あそこでは決して手に入らない、お前達の感情というのを」

 

「ならば、決まりだ」

 

 同時に、俺の身体から出てきたのは、一つの駒。

 

 それをそのロボットに向けて、押し込む。

 

 すると、ロボットの姿は変わる。

 

 それは、先程までの人の姿であり、黒いスーツを彷彿させる姿へと変わる。

 

「そう言えば、名前は?」

 

「……俺には名前などない」

 

「そっか、だったら」

 

 そうしながら、俺はふと目に入った漢字を見る。

 

「滅で良いか」「名前としてどうなの!?」

 

 俺の言葉に対して、絶花は思わず叫ぶ。

 

「……滅、ラーニングした。俺の名は滅だ」

 

「そんな名前で納得しちゃ駄目だよ!?」

 

 そんな声を木霊しながら、俺達の新たな日常の幕が上がる。





駒:僧侶
種族:UL
原作:仮面ライダーゼロワン
概要
ULから来訪してきた暗殺者。昆虫を沸騰させる姿の中でも、さらに戦闘に特化させた蠍型の一体。いずれ脅威になると予測された絶花の暗殺の為に派遣された。
だが、予想外の存在である太郎の介入によって、敗北。
そのまま自爆する予定であったが、太郎の奇天烈な言葉と共に、感情というのに興味を持ち、彼の家臣となる。
本来の戦闘用の姿である蠍は、絶花によって破壊されていた為、現状は新たな戦闘形態を模索している。

ULで機械生命体と聞いて、思わず書きました。こんな感じで、ハイスクールD✕Dの設定で合っていれば、どんどん応募して貰って、問題ありません。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=313523&uid=45956&flag=1

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
  • 幻想王
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