サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
「ゴオオオオオオオオッ!!」
ティアマトの咆哮が冥界全体を震わせた。彼女の喉奥から放たれる衝撃波で空にヒビが入り、逃げ惑う悪魔たちすら硬直する。
「な……なによあれは……」
リアス先輩の声が裏返っていた。彼女は呆然と口を開けたまま竜を見上げている。
イヴァンとスルトは即座に反応した。
象の姿をした城塞は雷撃を収束させ、スルトは燃える剣を掲げる。
「この気配、まさか」
「来たか」
それと共に、真っ直ぐと2体はすぐに攻撃を仕掛けてきた。
スルトはその口に炎を、イヴァンの象はその鼻に雷を。
各々の魔力が、こちらに向かって、放たれる。
だが、その攻撃は。
「ァァァァァァァ」
ティアマトの、その歌声のような声と共に放たれた衝撃波によって吹き飛ばされた。
だが。
「・・・これは」
冥界は大きな被害を受けてしまった。
スルトとイヴァン雷帝が暴れた所為で被害は計り知れない。
「あちらの方もすぐに攻撃を始めるだろうな」
俺の言葉と同時にティアマトの瞳に宿る殺意の炎がより鮮烈に輝く。
彼女の金瞳が微かに動く。それは明らかに標的を捕捉する狩人の眼光だった。
「来るぞ!」
スルトが宙を蹴り上げた。爆炎を纏った巨体が流星のように滑翔し、一瞬で距離を詰める。
彼の右腕から放たれる炎剣はまさに小山をも溶かす熱量を持つ灼熱の刃だ。
同時にイヴァン雷帝が地上から雷電を迸らせながら突進してくる。象の鼻から繰り出される超高温プラズマは地面を抉り取りながら迫ってくる。
スルトが迫る瞬間——
ティアマトの鱗が煌めいた。
「ッ!」
彼女の長い尾が鞭のように振るわれ、炎剣を弾き返す。
スルトが仰け反った隙に、象の突進が襲いかかる。
だがティアマトは動じない。
「冥界を蹂躙した二体を相手に、戦っている。これがティアマトの力かよ」
「・・・けれど、弱点もある」
「弱点とは」
そうして、俺はティアマトの足下を見る。
「ティアマトのあの身体は、その身から出る生命の水で再構成されている物。そして、それ以上は行動する事は出来ない」
「なっなんでなんだ?」
「あの海の中に沈んだ生命体は、別の存在に書き換えられる。ティアマトは、それを防ぐ為にそれ以上は行動しないようにしている」
「っ」
圧倒的な力を持つ。
だが、それ以上の弱点を、今。ティアマトは持っている。
「それじゃ、勝てるのか」
そうして、尋ねてくるが。
「勝てるか勝てないか、そんなのを考えていたら、俺はこれまでの戦いを乗り越える事は出来なかった。むしろ、これでもまだ条件は良い方だ」
そうしながらも、俺は眼を離さないように構える。
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王