サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

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世界の常識の違い Ⅸ

ティアマトの戦場は凄惨だった。

 

スルトの炎剣が紫空を裂き、イヴァンの雷槍が大地を穿つ。それらすべてがティアマトの巨体に吸い込まれていくが——

 

ティアマトの鱗は無傷だった。いや、正確には傷ついている。だが瞬時に再生するのだ。まるで水を斬るように——切断しても元に戻る。

 

「マスター」

 

声がする。

 

念話で、頭の中で会話をする事が出来る。

 

だからこそ、俺もまた、頷く。

 

『一撃で決める』

 

『ええ』

 

そう伝えた後はもう何も言わない。これ以上は不要だった。

 

俺は手の甲の令呪を見る。

 

残り二画。だが今回は使うつもりはない。

 

何故なら——これは賭けでも挑戦でもなく、「計算」だからだ。

 

「ティアマト」

 

俺の呼びかけに応じて彼女はほんの少しだけ首を捻った。

 

それで十分だった。

 

一息置くと——

 

ティアマトが吼えた。

 

冥府の夜空に轟く竜叫。

 

それは物理的衝撃を伴う「音」として響き渡り、炎剣を放っていたスルトが怯んだ。

 

その隙を見逃さない。

 

「イヴァン……お前も来い!」

 

俺の声に合わせるようにティアマトの巨体が動いた。

 

彼女の尻尾が叩きつけられた地面が隆起し、津波のように押し寄せた土砂がイヴァンを覆い隠す。

 

雷槍使いの象王は咄嗟に逃れようと鼻を伸ばした——が間に合わない。

 

押し寄せる土砂の中、二柱のサーヴァントは無理矢理距離を詰められることとなった。

 

『今だ』

 

心の中で唱える。

 

土砂の山の上に浮かぶスルトとイヴァン。互いに睨み合いながらも、逃げ場はない。

 

二柱が同じ位置に立った瞬間——

 

「ガアアアアアッ!」

 

ティアマトの巨躯が震え上がった。

 

口腔奥深くに濃密な魔力が渦巻く。赤黒い光線が螺旋を描き、一点に凝縮される。

 

それは生命の海から汲み上げられた全ての力を注ぎ込んだ一撃だった。

 

解き放たれる赤黒い光条。

 

冥府の闇を引き裂くように伸びていくそれは、まるで宇宙を貫く星の槍のようだった。

 

スルトの炎剣が掲げられ、イヴァンの雷盾が構えられる——が

 

「……無駄だ」

 

僕の呟きが届いた瞬間だった。

 

赤黒い光線が二柱を飲み込む。

 

断末魔すら消し去る圧倒的な光の中——

 

「……」

 

最後に見えたのは、スルトの憤怒とイヴァンの悲痛な表情だった。

 

光が収束すると同時に爆風が吹き荒れた。

 

土煙が晴れた後には、二柱の姿も瓦礫もなく——ただ平らな焦土だけが広がっていた。

 

「……終わった」

 

誰かが呟いた。

 

沈黙が冥府を支配する。

 

「・・・戦闘終了」

 

俺の声と共に、ティアマトは、そのまま元の姿へと戻る。

 

「疲れた」

 

その一言で、この戦いが終わりを告げるが、何やら、他の面々がこちらを見る。

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
  • 幻想王
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