サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
「なんだ、それは効果はないはずだろ」
マシュが構えていた希望証す人理の剣。
ベリルの言葉は確かに正解だろう。
ただし、それは砲身だけ。
「あぁ、確かに撃ち出す攻撃がそのままだと合っているだろう。けれど、撃ち出す弾が違えば、それも異なるだろ」
「何を言って」
ベリルの言葉を無視し、俺はゆっくりと息を吸う。
「この聖杯は確かに、この冥界を利用している。けれど、ようするに冥界を潰す程の威力があれば、この聖杯は十分に破壊出来る」
「何を「虚空の神よ、今人智の敗北を宣言する」なっ」
この状況を一変させる程の威力。
それを再現させる方法を、俺はあの時から考えていた。
「眼は古く、手足は脆く、知識は淀んだ」
俺自身、サーヴァントではない。
だからこそ、それを再現するのは、あまりにも難しすぎた。
「最後の人間として、数多の決断、幾多の挫折、全ての繁栄をここに無と断じよう」
だが、それを可能にさせる為の経験を、ムーンセルで積み重ねた。
積み重ねて、積み重ねて、ようやく再現する事は出来た。
「この一撃をもって、神は撃ち落とされる」
だが、これは未だに、あの人の魔術の足元すら辿り着いていないだろう。
それでも、人間であり、魔術師であった故に到達出来る。
それを信じて、それだけを習得する為に続けた。
「変革の鐘を鳴らせ!」
そう、俺はマシュの盾に触れる。
同時に、空に描かれたのは、魔法陣。
それらが、そのままマシュの盾へと収束されていく。
「冠位指定/人理保障天球」
その一言を告げると共に、マシュは引き金を引く。
同時に放たれたのは、巨大な隕石。
それと同時に、それは単純な隕石ではない。
多くの神秘。
それらは、全てが地球から生まれた物。
故に、撃ち出されたそれは疑似的な地球。
故に、全ての神秘を秘めており、全ての神秘を消し去る力を持つ弾丸。
その弾丸は、そのまま聖杯へとぶつかる。
まるで巨大なガラス容器のように、内側から膨張する光に耐えきれず聖杯の黒い外殻がヒビ割れていく。
「なっ……聖杯が……!?」
ベリルの悲鳴混じりの声が背後から聞こえる。振り返らずとも彼の狼狽ぶりが伝わってきた。
光の奔流が収束すると同時に、ドォンと鈍い音を立てて聖杯の本体が落下した。
かつて禍々しい黒曜石のように輝いていた表面は、今や透き通る水晶のように澄み渡っていた。内包されていた負の魔力は完全に消滅し、純粋な魔力の結晶と化している。
「これで……終わった……のか?」
マシュが息を呑むように呟いた。絶花は放心状態で立ち尽くしており、両手に持った刀が小刻みに震えている。
空を見上げると、さっきまで濃密な雲で覆われていた冥界の夜空が晴れ渡っていた。満天の星々が輝き始め、地上を照らす月明かりが幻想的な光景を生み出している。
「はは……やったね……」
絶花の乾いた笑い声。彼女はそのまま膝から崩れ落ちそうになり、慌てて俺が支える。
「よく頑張ったな」
「当たり前、あなたがこんな無茶をさせるんだから……」
憎まれ口を叩きながらも絶花の顔には安堵の色が広がっている。
次回の王は
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