サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
「……はぁ」
戦いの余韻も醒めやらぬ自宅のリビングで、俺は深くソファに沈みこんだ。
窓の外には、聖杯の魔力浄化によって広がった蒼穹が見える。以前の冥界では考えられない光景だ。
「とりあえず一段落は付いたけどさ……」
テーブルを挟んだ向かい側では、マシュがティーカップを置きながら憂鬱そうに目を伏せている。
「これで完全解決とは到底言えませんね……むしろ新たな問題が山積しています」
絶花もソファの肘掛けに凭れながら、ため息混じりに言った。
「各勢力とも自分の利益しか考えてないって感じだもんね……教会は人間界への影響力を維持したがってるし、堕天使たちは聖杯の研究データを持って行っちゃったし……天使たちだってこの件を利用して天界内部の権力争いを起こそうとしてる」
テーブルには各種資料が散乱している。教会からの公式文書、堕天使組織のレポート、さらには魔王サーゼクス様を通じて届いた天界からの非公式報告書まで。
「挙句の果てには聖杯浄化の功績を誰に与えるかで議論が紛糾してる」
マシュが眉間を押さえながら言う。
「まあまあ落ち着けって」
俺は苦笑しながらカップを持ち上げた。絶花が淹れたハーブティーの香りが鼻をくすぐる。
「そもそも聖杯ってのは使い方次第で神以上の存在を作り出す道具なんだぞ?それを完全に無害化できたってだけで奇跡みたいなもんだ」
絶花がジト目で睨んでくる。
「でも太郎、その聞きたいんだけど」
「なんだ?」
「あの時、聖杯って破壊したはずだよね」
「そのはずだったんだけどねぇ」
「けどさ」
「はっはい、マスターの王国の駒と聖杯が一体化してしまいました」
そうして、マシュの言葉と共に、俺は自分の中にある王国の駒を思い出す。
禁手を行えるようになった王国の駒に聖杯が融合した。
その影響は凄まじく。
「まさか、カルデアからのサーヴァントが次々とこっちに来るとはな」
これまであった制限は全てが消し去った。
結果、かなりヤバい事になった。
「モルガンさんを初めとした多くのサーヴァントの皆さんが来られましたから」
「各勢力が軽いパニック状態になっているなぁ」
俺は、思わず呟いてしまう。
そんな考えをしていた時。
ドアのチャイムが鳴った。
「はぁい」
すぐにマシュが向かってくれた。
だが。
「えっあなたは!?」
聞こえた声、気になった俺達もすぐに向かう。
そこで、俺もまた驚きを隠せなかった。
玄関から現れたのは、見覚えのある男だった。金色の髪、整った顔立ち、そしてどこか貴族的な風格を漂わせるその人物は——
「キリシュタリア・ヴォーダイム……」
俺の声が低くなった。かつて『異聞帯』で激戦を繰り広げたAチームのリーダー。彼がなぜここに?
「久しぶりだね、唯我太郎」
キリシュタリアは優雅に一礼し、微笑んだ。その佇まいには全く緊張感がない。
「何の用ですか、キリシュタリア先輩」
「そうだな、まぁ、簡単に言えば、宣戦布告だ」
「ほぅ」
その一言に、俺は思わず笑みを浮かべる。
次回の王は
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