サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
床を蹴る。
敵の群れの中へ滑り込むように踏み込んだ。
「なっ──速い!?」
慌てた声を背に、最初の一刀を振るう。
居合の一閃は袈裟懸けに相手の胴を薙ぎ払い、鈍い衝撃とともに意識を刈り取った。
次の標的は右斜め前方の男だ。
「甘い!」
火縄銃を構える暇もなく飛び込む。相手の斬撃を受け流しつつ肘を腹部に叩き込み、そのまま反転。背後から迫るもう一人の脇腹へ横薙ぎを見舞う。
「ぐはっ!」
悲鳴とともに倒れ込む敵。その刹那──
パァン!
視線すら向けぬまま右手の火縄銃が火を噴いた。狙い過たず銃を持った敵の股間を撃ち抜き、悶絶させる。
「連携不足だ」
左右から同時に突きかかる二人に対し、足を地面に突き刺すように踏み止まり──
ズバァッ!
両の刀を風車のごとく旋回させた。一瞬で二人の得物が折れ飛ぶ。
「ひぃっ!」
背後で震える影がナイフを投げてきた。無言で身を捻じり躱し、振り向きざまの銃声一発。
バン!
肩を貫かれ崩れ落ちる敵。残りの五人が互いを庇うように密集隊形を作る。
「ほう……」
嘲笑を交えて吐息を洩らした。束になって掛かる算段らしいが──。
一気に縮地。間合いに踏み込んで斬撃の嵐を浴びせる。
キンッ! ガキンッ! ガッ!
金属同士が激しく打ち合わさる轟音。俺の動きは流水のごとく滑らかでありながら猛禽の如く獰猛だ。
数秒で四人を昏倒させた。
「ば……化け物……!」
最後の一人が蒼褪めて後退る。その脚元へ銃口を向けた。
「無理はせぬが吉」
軽い破裂音と共に脛当てを砕く。痛みに耐えかねて仰向けに転げた。
静寂が訪れる。
倒れた二十人弱の雑兵を一瞥し、俺はフッと息を吐いた。
「この程度か」
火縄銃を仕舞い、刀身を静かに拭う。
背後で少年達が息を飲む気配を感じつつも構うことなく地下へ続く階段へと向かった。
「では参ろうか。急ぐぞ」
その一声で一行は動き出す。
そうしながら、真っ直ぐと地下へと向かって行く。
見ると、ある程度は戦闘が行われているのは目に見えて、理解した。
それと共に見えたのは。
階段を一段一段降りるたびに瘴気が濃くなる。腐敗臭と血の匂いが混ざり合い、吐き気を催すほどの不快感だ。
「アーシアァッ!」
先程の少年が叫ぶ。必死なその声に反応するように、仄暗い地下空間に異様な緑光が脈打っているのが見えた。
「ついに手に入れたわ!」
女堕天使の哄笑が壁に反響する。紫紺の翼を広げた彼女の手中で、緑色の球体が妖しく輝いている。あれが神器か?
「これでアザゼル様達の溺愛を受けるわ! 私こそが至高の存在よ!」
その傲慢な独白を耳にして──
ギリッ!
無意識に柄を握る手に力が入る。骨が軋む音がした。怒りが沸騰しすぎて血管が焼けるようだ。
「なるほど、このような悪党を目の前にした以上、この紅丸」
呼吸を整えつつ宣戦布告の狼煙を上げる。
「容赦しない」
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王