サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

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兵器と僧侶の戦争 Ⅲ

放課後の校門を抜けた瞬間、俺はようやく深呼吸した。

さっきまでの騒ぎ――例の怪異との戦闘で全身くたびれてる。

絶花が横で髪を束ねながら言う。

 

「……今日も結局バタバタだったね、太郎」

 

「俺がいる限り、大抵の問題は華麗に解決するからな。慣れておけ、絶花」

 

「いや、慣れたくはないんだけど……」

 

絶花が冷ややかにため息をついたちょうどその時だった。

 

「――あっ、太郎くん! 絶花ちゃん!」

 

明るい声が背中に飛んできて振り返ると、夕日に照らされたアヴィ先輩が手を振っていた。

相変わらず圧倒的テンションだ。なぜか俺を見る目がキラキラしている。

 

「やあ、アヴィ先輩。俺に会いたくて走ってきたのか?」

 

「うん! というか、毎日会いたいよ! 太郎くんは私の太陽だからね!」

 

「誉められ慣れているが、そこまで言われると照れるな。もっと言ってもいいぞ」

 

「本当に図太いわねあんた……」

絶花が眉を寄せて俺の腕を小突く。

 

その光景を見たアヴィ先輩が「むむむ」と頬を膨らませた。

嫌な予感しかしない。

 

「ねぇ太郎くん。今日のお昼のお弁当、誰が作ったの?」

 

「俺だが?」

 

「違うでしょ! 絶花ちゃんでしょ! いいなぁ〜幼馴染みって特権すぎない?」

 

「別に特権じゃないし……太郎が作ると味覚が壊滅するだけよ」

 

「俺の料理は“味”ではなく“魂”を味わうものだからな」

 

「食えるかそんなもん!!」

絶花の怒号が校門にこだまする。

 

アヴィ先輩はというと、俺と絶花を交互に見ながら楽しそうに笑っている。

本当にこの人、観察してるだけで幸せそうだ。

 

「とりあえず公園まで歩こっか。話したいことがあってね」

アヴィ先輩がそう言うので、俺たちは近くの公園へ移動することにした。

 

ベンチに腰かけた瞬間、茂みの影からぬるっと黒田坊が現れた。

 

「若、姫、遅れました」

 

「く、黒田坊!? なんで公園に!?」

絶花が素で驚いた声を上げる。

 

黒田坊は袖を揺らして、どこか気まずげに視線をそらした。

「……散歩していたら、たまたま着いてきてしまいました」

 

「散歩で“たまたま”着いて来られる距離じゃないだろ」

俺がツッコむと、黒田坊は深々と頭を下げた。

 

「若の護衛でございますので!」

 

「いや、俺は散歩ですら護衛いらないぞ」

 

「いります!!」

黒田坊と絶花が同時にツッコむ。

……おかしい。俺の周り、ツッコミが増殖してないか?

 

アヴィ先輩はそんな空気を微笑ましそうに眺めていたが、やがて姿勢を正した。

 

「……実はね、相談があるの」

 

夕風に揺れる長い髪。

いつもの明るさとは少し違う、真剣な色が瞳に宿る。

 

「私……婚約させられそうなの」

 

絶花が目を見開き、黒田坊が「ほう……これは一大事」と腕を組む。

 

俺?

俺は当然――胸を張った。

 

「安心しろ、アヴィ先輩。必要なら俺がその“婚約者”とやらを片づけてくる」

 

「物騒な言い方やめなさい!!」

絶花が頭を抱える。

 

アヴィ先輩は困ったように笑って言う。

 

「うん……助けてほしいの。太郎くんなら、きっとなんとかしてくれるって思ったんだ」

 

「任せろ。俺は若だからな」

 

「自称でしょ!? 誰もそんな称号与えてないからね!?」

 

絶花のツッコミが響き渡るなか、アヴィ先輩はほっと安堵したように笑った。

 

――こうして俺たちは、先輩の“婚約騒動”に巻き込まれることになった。

 

どう考えても面倒な未来しか見えないが……まあ、困ってる人を放っておくほど薄情じゃない。

それに――

 

「太郎くん、お願いね」

 

そう言われてしまったら、断れるわけがないだろう。

 

なんだかんだ、俺はこういう厄介事に巻き込まれる運命らしい。

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
  • 幻想王
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