サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

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兵器と僧侶の戦争 Ⅵ

ディオドラが去ったあと、空気がやけに静かだった。

さっきまでの嫌な圧だけが、まだ校庭のどこかに貼りついているような感じがする。

 

そんな中で、真っ先に口を開いたのは俺だった。

 

「……悪い。アヴィ先輩、絶花、黒田坊。勝手に出しゃばった。

だけど――後悔はしてない」

 

言いながらも、胸の奥で妙な熱がまだくすぶっている。

あんな奴にアヴィ先輩が押し込まれるなんて、絶対に許せなかった。

 

アヴィ先輩はきょとんとしたまま俺を見上げ、それからふっと表情を緩めた。

 

「太郎くん……いえ、太郎。私のために怒ってくれたのは、嬉しい……その、ありがとう。でも……ちょっと怖かった」

 

「だよね!?」

絶花がすぐさま食いついてきた。

「太郎、あんた本気で殴りかかる一歩手前だったじゃない! 心臓止まるかと思ったんだけど!」

 

黒田坊も袖を直しながら、呆れたように俺を見た。

「若、短気すぎる。悪魔相手にあの啖呵は普通、寿命を削るやつでござるぞ……」

 

三人に一斉に言われるとさすがに胸がチクリとする。

 

……が、後悔はない。

 

「けどよ」

俺は言い返す。

「あんな奴を“アヴィ先輩の婚約者”扱いするなんて無理なんだよ。

黙って見てろって方が無理だろ」

 

絶花はため息をつき、肩を落とした。

 

「……いや、それはそうなんだけどさ。

言いたいこと言ってくれたのはスッキリしたよ、私。うん。でも心臓には悪いの!」

 

アヴィ先輩は胸に手を当て、小さく笑った。

 

「私も……太郎と絶花が庇ってくれた時、救われたわ。

怖かったけど……嬉しかったの。私、断れないって……ずっと思ってたから」

 

黒田坊が腕を組んで、しみじみ頷いた。

 

「姫があれだけ追い詰められてたの、拙者にはわかっていたでござる。若の行動、やりすぎではあるが……筋は通っていた」

 

「お前はいつも味方すぎるだろ……」

思わずツッコむが、黒田坊は真顔だ。

絶花は笑いながら俺の肩を叩いてくる。

 

「まぁ、結果としてアヴィ先輩を助けたんだから……今回は許す。ほんと今回はね」

 

「お、おい絶花、強調すんなよ……」

 

アヴィ先輩はそのやり取りを眺めながら、小さく息をついた。

さっきまで曇っていた瞳に、少しだけ光が戻っている。

 

「太郎、絶花、黒田坊……ありがとう。

でも……これで終わりじゃないわ。ディオドラ様はきっと、また来る。私……逃げられないと思うの」

 

その言葉に、絶花も黒田坊も息を呑んだ。

 

俺はアヴィ先輩を正面から見据え、まっすぐ言った。

 

「逃げなくていい。俺たちが全部ぶっ壊すから」

 

アヴィ先輩の目が、ほんの少し潤んだように見えた。

 

こうして俺たちは、妙にしんみりした空気を抱えつつも、どこか笑える雰囲気のまま校庭を後にした。

 

心臓に悪い一日ではあったけど――

守るべき“先輩”がいる限り、後悔なんてしてる暇はない。

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
  • 幻想王
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