サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

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兵器と僧侶の戦争 Ⅶ

「レーティング・ゲーム。

簡単に言えば、悪魔同士による公式戦です。

古くは貴族間の争いを、血でなく競技で決着させるために生まれた制度でした」

 

アヴィは指を一本立て、淡々と続ける。

 

「基本的には、“キング”と呼ばれる主催者と、その配下の“駒”の悪魔たちでチームを編成します。乱暴に言えば、将棋の駒を実際の戦闘にしたようなものですね」

 

絶花が首を傾げる。

「じゃあ、アヴィ先輩は……その“キング”?」

 

「いえ。私はそこまで立場が高くありません。ただし、アモン家の血統の者として、駒として参加させられる立場ではあります」

 

太郎の眉がぴくりと跳ねた。

「待て。じゃあ婚約の話は……」

 

「はい。ディオドラは……“RGで勝った者に、アモン家の後継者を迎える権利を”という名目で、私との婚約を正当化しようとしているのです」

 

完全に政治的な建前でしかない。

その図式に、絶花は険しい表情になる。

 

「……そんなの、アヴィ先輩が可哀想です」

 

「そうだな」

太郎は静かに言い、続けて拳を握りしめる。

「アヴィ先輩を駒扱いしながら、“断る権利はない”だと? ふざけてる」

 

アヴィは少し寂しげに笑う。

 

「本来、RGはもっと健全な競技なんです。名誉をかけた戦いで、チームワークや努力が試される……。でも、あの人はそれを“婚約の口実”に使っているだけ」

 

黒田坊は鼻を鳴らす。

「ワシの知る限りでも、あやつの評判は良くない。勝手をしても許されると勘違いしておるタイプじゃ」

 

太郎の黒い瞳が鋭く光る。

 

「……つまり、そのレーティング・ゲームで勝てば、婚約は破棄できるんだな?」

 

アヴィはゆっくり頷く。

 

「はい。ただし、ディオドラの部隊は強力です。私ひとりでは、とても……」

 

「アヴィ先輩」

 

太郎は言葉を被せ、まっすぐにアヴィを見つめた。

 

「戦うなら、俺たちも同行する。あいつの好き勝手にはさせない。絶花も黒田坊も、そうだろ?」

 

「もちろんです」

絶花は即答した。

 

「私も」

黒田坊も胸を叩く。

 

アヴィの目が、大きく揺れた。

それは驚きと嬉しさ、そして――ほんの少しの救い。

 

「……皆さん、本当に……ありがとうございます」

 

その声は小さかったが、確かに震えていた。

 

ディオドラが去ったあと、俺たちは部室に戻って“戦略会議”を開くことになった。

 

人数を数えると――

太郎(俺)、絶花、アヴィ先輩、黒田坊の四名。

 

……対してディオドラ側は、ほぼ大所帯のフルメンバー。

 

アホみたいな人数差。

数だけで言えば、こっちは“文化祭の出し物レベル”。

あっちは“戦争”。

 

アヴィ先輩は項垂れたまま、弱々しく呟く。

 

「……本当に、ごめんなさい。私が眷属を持っていないせいで……」

 

「いや、アヴィ先輩のせいじゃねぇよ。悪いのはあの胡散臭い王子様だ」

 

俺は即答した。

 

絶花も腕を組んで頷く。

 

「そうですよ。アヴィ先輩が悪いわけないです。

眷属ゼロだからってバカにするなんて、絶対許せません」

 

黒田坊も珍しく真顔だ。

 

「私も同意です」

 

そんな空気の中、俺はテーブルに肘を置いて、あえて軽い声で言った。

 

「――まあ、人数が少ないなら、作戦で補えばいいだけだろ?」

 

三人が同時にこっちを見る。

 

「作戦……?」

「どうするの太郎……?」

「何か策があるのか?」

 

ある。

あるんだよ。

最初からこれしか考えてない。

 

俺は腕を組み、真剣に口を開いた。

 

「正面から殴り合っても負ける。

なら、広範囲でまとめて薙ぎ払う“殲滅戦型”でいく。

少数精鋭で数の暴力を無視する作戦だ」

 

アヴィ先輩が目を細める。

 

「……具体的には、“薙ぎ払える人材”が必要ですが……そんな手札、私たちにありましたか?」

 

「いるんだよ、これが」

 

俺はメダルを掲げ、妖怪ウォッチへスライドした。

 

「行くぞ――トムにゃん!」

 

カチャッ!

 

「トムにゃん、ここに参上にゃっ!!」

 

ド派手なポーズをキメた。

 

……毎度思うけど、出てくるだけでこんなうるさい妖怪、そういない。

 

俺は親指を立てた。

 

「来てくれて助かる。今回、数がヤバいんだ。殲滅頼むぞ」

 

「任せるにゃ太郎!

今日のトムにゃんは絶好調にゃ!

敵が百人いようが千人いようが、まとめてぶっ飛ばすにゃ!」

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
  • 幻想王
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