サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
「レーティング・ゲーム。
簡単に言えば、悪魔同士による公式戦です。
古くは貴族間の争いを、血でなく競技で決着させるために生まれた制度でした」
アヴィは指を一本立て、淡々と続ける。
「基本的には、“キング”と呼ばれる主催者と、その配下の“駒”の悪魔たちでチームを編成します。乱暴に言えば、将棋の駒を実際の戦闘にしたようなものですね」
絶花が首を傾げる。
「じゃあ、アヴィ先輩は……その“キング”?」
「いえ。私はそこまで立場が高くありません。ただし、アモン家の血統の者として、駒として参加させられる立場ではあります」
太郎の眉がぴくりと跳ねた。
「待て。じゃあ婚約の話は……」
「はい。ディオドラは……“RGで勝った者に、アモン家の後継者を迎える権利を”という名目で、私との婚約を正当化しようとしているのです」
完全に政治的な建前でしかない。
その図式に、絶花は険しい表情になる。
「……そんなの、アヴィ先輩が可哀想です」
「そうだな」
太郎は静かに言い、続けて拳を握りしめる。
「アヴィ先輩を駒扱いしながら、“断る権利はない”だと? ふざけてる」
アヴィは少し寂しげに笑う。
「本来、RGはもっと健全な競技なんです。名誉をかけた戦いで、チームワークや努力が試される……。でも、あの人はそれを“婚約の口実”に使っているだけ」
黒田坊は鼻を鳴らす。
「ワシの知る限りでも、あやつの評判は良くない。勝手をしても許されると勘違いしておるタイプじゃ」
太郎の黒い瞳が鋭く光る。
「……つまり、そのレーティング・ゲームで勝てば、婚約は破棄できるんだな?」
アヴィはゆっくり頷く。
「はい。ただし、ディオドラの部隊は強力です。私ひとりでは、とても……」
「アヴィ先輩」
太郎は言葉を被せ、まっすぐにアヴィを見つめた。
「戦うなら、俺たちも同行する。あいつの好き勝手にはさせない。絶花も黒田坊も、そうだろ?」
「もちろんです」
絶花は即答した。
「私も」
黒田坊も胸を叩く。
アヴィの目が、大きく揺れた。
それは驚きと嬉しさ、そして――ほんの少しの救い。
「……皆さん、本当に……ありがとうございます」
その声は小さかったが、確かに震えていた。
ディオドラが去ったあと、俺たちは部室に戻って“戦略会議”を開くことになった。
人数を数えると――
太郎(俺)、絶花、アヴィ先輩、黒田坊の四名。
……対してディオドラ側は、ほぼ大所帯のフルメンバー。
アホみたいな人数差。
数だけで言えば、こっちは“文化祭の出し物レベル”。
あっちは“戦争”。
アヴィ先輩は項垂れたまま、弱々しく呟く。
「……本当に、ごめんなさい。私が眷属を持っていないせいで……」
「いや、アヴィ先輩のせいじゃねぇよ。悪いのはあの胡散臭い王子様だ」
俺は即答した。
絶花も腕を組んで頷く。
「そうですよ。アヴィ先輩が悪いわけないです。
眷属ゼロだからってバカにするなんて、絶対許せません」
黒田坊も珍しく真顔だ。
「私も同意です」
そんな空気の中、俺はテーブルに肘を置いて、あえて軽い声で言った。
「――まあ、人数が少ないなら、作戦で補えばいいだけだろ?」
三人が同時にこっちを見る。
「作戦……?」
「どうするの太郎……?」
「何か策があるのか?」
ある。
あるんだよ。
最初からこれしか考えてない。
俺は腕を組み、真剣に口を開いた。
「正面から殴り合っても負ける。
なら、広範囲でまとめて薙ぎ払う“殲滅戦型”でいく。
少数精鋭で数の暴力を無視する作戦だ」
アヴィ先輩が目を細める。
「……具体的には、“薙ぎ払える人材”が必要ですが……そんな手札、私たちにありましたか?」
「いるんだよ、これが」
俺はメダルを掲げ、妖怪ウォッチへスライドした。
「行くぞ――トムにゃん!」
カチャッ!
「トムにゃん、ここに参上にゃっ!!」
ド派手なポーズをキメた。
……毎度思うけど、出てくるだけでこんなうるさい妖怪、そういない。
俺は親指を立てた。
「来てくれて助かる。今回、数がヤバいんだ。殲滅頼むぞ」
「任せるにゃ太郎!
今日のトムにゃんは絶好調にゃ!
敵が百人いようが千人いようが、まとめてぶっ飛ばすにゃ!」
次回の王は
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