サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

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復讐者の刀 Ⅳ

脹相が一歩踏み込んだ瞬間、空気が裂けた。

血の気配が走り、次の一撃が来る――そう思った俺は、反射的に叫んでいた。

 

「やめろ、脹相!」

 

声に力を込めて、二人の間に割って入る。

脹相は動きを止めたが、その目に宿る怒りは消えていない。

 

「弟……分かっているのか」

 

低い声だった。

 

「この街で起きようとしていることを知りながら、

それを黙って見ている存在がどれだけ危険か」

 

「傍観者は、いつ敵になるか分からない。

放っておけば、必ず刃が弟に向く」

 

その言葉に、火黒は肩をすくめるだけだった。

 

「買い被りすぎだな」

 

刀を下ろし、興味なさそうに言う。

 

「俺はただ、見たことを話しただけだ。

戦争を止めるとも、煽るとも言ってねぇ」

 

「無責任だな」

 

脹相が吐き捨てる。

 

「そうかもな」

 

火黒は否定しない。

ただ、薄く笑った。

 

「だがな……選ぶのは大将だろ?」

 

その視線が、俺に向けられた。

重く、試すような目だった。

 

俺は息を吸い、脹相を見る。

 

「……今は、ここまでだ」

 

脹相は一瞬だけ歯を食いしばり、やがて静かに一歩下がった。

 

脹相が一歩下がったあとも、火黒はその場を動かなかった。

夜風に提灯が揺れ、屋台の親父が気まずそうに目を逸らしている。

 

俺は一度、深く息を吐いてから火黒を見る。

 

「……立ち去らないってことはさ」

 

火黒は眉を上げる。

 

「俺に聞かせる気があるってことだろ」

 

その言葉に、火黒は小さく笑った。

 

「察しがいいな、大将」

 

脹相が一瞬、睨みを強めるが、俺は手で制した。

 

「掴んでることを言え。

さっきの話――聖剣と戦争屋。全部、繋がってるんだろ」

 

火黒はしばらく黙り込み、やがて箸で空になった丼を軽く叩いた。

 

「エクスカリバーだ」

 

その一言で、空気が張り詰める。

 

「この街で起きてる聖剣絡みの騒ぎ。

裏で糸を引いてるのが、さっき言った堕天使――コカビエルだ」

 

「……あいつが?」

 

「そうだ。

聖剣を集めて、昔みたいな戦争を再現する気らしい」

 

火黒は淡々と続ける。

 

「暴れるための舞台装置だな。

教会も、堕天使も、悪魔も……全部巻き込む」

 

脹相が低く唸る。

 

「弟を戦場に立たせるつもりか」

 

「さあな」

 

火黒は曖昧に笑った。

 

「だが、もう動き出してる。

エクスカリバーの件は、その第一幕だ」

 

俺は拳を握りしめる。

 

「……つまり、知らないで済む話じゃないってことか」

 

火黒は俺を見て、楽しそうに目を細めた。

 

「ようやく同じ景色が見えてきたな、大将」

 

その笑みが、やけに不吉に見えた。

 

「はぁ、まぁ、こういう時のお前が話す内容は間違いはないだろうな。そういう事で、良いか脹相」

「・・・お前が言うのならば、今は従おう。だが、こいつが怪しい動きをした時は」

「その時は、ぜひともなぁ」

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
  • 幻想王
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