サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

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復讐者の刀 Ⅵ

エクスカリバーという言葉を軸に、俺たちは動き始めていた。

と言っても、その夜は俺一人だった。

 

学園を出て、少し遠回りして帰ろうとした時だ。

夜の空気の中に、微かな違和感を感じた。

 

(……いるな)

 

視線を向けた先、街灯の陰。

そこに立っていたのは――以前、道端で行き倒れていた、あの青髪の少女だった。

 

「……またか」

 

声には出さず、そう思う。

 

彼女は誰かを待っている様子でもなく、ただ一人で、どこか落ち着かない様子だった。

そして、しばらく周囲を確認したあと、意を決したように歩き出す。

 

向かう先は、暗い路地の奥。

人通りの少ない、夜の街だ。

 

(……目的地があるって顔だな)

 

前に会った時とは違う。

迷子でも、行き倒れでもない。

 

何かを探している。

あるいは、何かに向かっている。

 

俺は少し迷ってから、足を動かした。

――見過ごすには、嫌な予感が強すぎた。

路地へ向かう彼女の背中を追おうとした、その時だった。

すぐ傍で、低い声が落ちる。

 

「弟」

 

脹相は、いつの間にか俺の隣に立っていた。

その視線は、俺ではなく――前を行く青髪の少女に向けられている。

 

「……彼女を助けるつもりか」

 

問いは静かだったが、重みがあった。

俺は足を止めず、短く答える。

 

「当然だろ」

 

脹相がわずかに目を細める。

 

「理由は?」

 

「困ってる奴を見て、放っておく王はいない」

 

それだけだ。

理屈でも計算でもない。

 

一拍の沈黙の後、脹相は小さく息を吐き、口元を緩めた。

 

「……さすがは、俺の弟だ」

 

その声には、誇りと確信が混じっていた。

 

『カモン!ゴースト!――Y!チェンジフォーム!妖怪HERO!剣豪紅丸!!』

 

その音声が夜に響いた瞬間、俺の足元から赤い光が噴き上がった。

空気が震え、周囲の闇が一瞬だけ引き裂かれる。

 

胸元のウォッチが熱を帯び、次の瞬間、背後から聞き慣れた声が重なる。

 

――ニャッ!? 来たニャ! 合体だニャ!

 

ジバニャンの気配が、炎のように俺の背へと重なった。

軽さと熱さ、そしてやたらとうるさい存在感。それでも、不思議と嫌じゃない。

 

赤い光が身体を包み込み、制服の感触が消えていく。

代わりに、重みのある鎧が形を成し、腕には確かな質量が宿った。

 

足を踏みしめると、地面がわずかに鳴る。

視界が研ぎ澄まされ、呼吸が整う。

 

腰に差された刀を、自然と握っていた。

考えるより先に、身体が「戦う形」を理解している。

 

俺は一歩前に出て、刀を構える。

 

「――剣豪紅丸、推して参る!」

 

その声は、俺のものだ。

だが同時に、剣士としての覚悟を帯びた、もう一つの声でもあった。

 

夜の街に、赤き剣豪が立つ。

守るために。

迷わず斬るために。

 

「さて、行くぞ!脹相殿!」

「お兄ちゃんと呼んでくれ!」

「・・・行くぞ、兄上」

「うむ!」

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
  • 幻想王
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