サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

565 / 703
妖怪と宇宙人と三大勢力会議 Ⅴ

戦いを見届けた後だった。

 

「話がある、こっちに来い、紅丸」

「・・・話だと」

 

その言葉に対して、拙者は疑問に思う。

だが、断る訳にはいかない様子。

拙者は、そのまま会議室に出た。

瞬間、空気が変わった。

いや、正確には――変えられた。

 

背後で、静かに結界が閉じる気配。

音はない。

だが、外界との繋がりが断ち切られたのが、肌で分かった。

 

「随分と用意がいいな」

 

拙者がそう言うと、黒江残月は振り返りもせずに答えた。

 

「ここから行う会話は、他の奴らに聞かれたくないからな。既に人に及ぼす被害がなければ良いだろう」

 

「否定はしない。だが――」

 

拙者は一歩前に出る。

 

「ここまでして話す内容か?」

 

黒江は、ようやくこちらを見た。

その目には、迷いがない。

 

「話で済むなら、ここまではしない」

 

短い沈黙。

白織が背後で微かに空気を張るのが分かる。

だが、口は挟まない。

 

黒江は淡々と続けた。

 

「禍の団は危険だ。だが、あれは氷山の一角だ」

 

「……三大勢力の事を言っているな」

 

拙者がそう言うと、黒江はわずかに目を細めた。

 

「察しがいいな、さすがは“王”を名乗るだけはある」

 

その言葉には、皮肉が混じっていた。

 

「悪魔も、天使も、堕天使も、口では秩序を語る。

だが、決定権を持っているのは、いつも人外だ」

 

拙者は言い返す。

 

「だからこそ、話し合う場が必要なんだ。力を持つ者が、力を使わずに済むようにな」

 

「甘い」

 

即答だった。

 

「力を持つ者は、必ず使う。使わずに済んでいるのは、ただの順番待ちだ」

 

黒江の声が、僅かに低くなる。

 

「禍の団も、三大勢力も、本質は同じだ。人間の上に立ち、選ぶ側に回っている」

 

拙者は、静かに刀の柄に手を置いた。

 

「だから、全て斬ると?」

 

「必要ならな」

 

「それは、守る事じゃない」

 

拙者は真っ直ぐに告げる。

 

「恐怖で縛るのは、管理だ、排除は、解決じゃない」

 

黒江の眉が、僅かに動いた。

 

「じゃあ聞く」

 

彼は一歩、こちらに踏み出す。

 

「お前は、人外を守るために、人間が犠牲になる事を、許せるか?」

 

「許さない」

 

即答だった。

 

「なら、逆だ」

 

黒江の視線が鋭くなる。

 

「人間を守るために、人外を斬れるか?」

 

拙者は、言葉に詰まった。

白織の気配が、ほんの少しだけ強まる。

 

「どちらもだ、それだけで態度を変えるのは王ではないからな」

 

それが、拙者の答えだった。

 

黒江は、ゆっくりと首を振る。

 

「その“未来”の間に、何人死ぬ?」

 

「それでも、可能性を捨てない」

 

「可能性に賭けて、家族を失った人間を、俺は何人も見てきた」

 

空気が、張り詰める。

 

「……だから、お前を確認する必要があった」

 

黒江は、静かに告げた。

 

「お前は、人類の味方か、それとも、人外の王か」

 

「どちらでもない」

 

拙者は、はっきりと言った。

 

「全てを含めた未来の王を選ぶ」

 

その瞬間、黒江は目を閉じた。

そして――覚悟を決めた顔で、告げる。

 

「ならば、止める、お前が人類の敵になる前に」

 

黒江の影が、歪む。

異質な気配が、結界の内側に満ちていく。

 

「出てこい、阿伏兎」

 

影の中から現れたのは、戦場を知り尽くした宇宙の戦士。

白織が、無言で拙者の横に立つ。

 

拙者は刀を抜いた。

 

会議は終わった。

ここからは――

 

思想と信念を賭けた、決戦だ。

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
  • 幻想王
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。