サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
夜の校庭は静まり返っている。
砂の匂いが薄く漂い、照明灯の白い光が地面を均等に照らしていた。
拙者とミストシャドウは、ちょうど三十メートルの距離を挟んで向かい合っている。
「……来るか」
拙者は霊剣・断絶丸を静かに抜き、切っ先を下げたまま歩み出た。
焦りはない。間合いを測る時間こそが、この戦いの第一歩だ。
ミストシャドウも動く。
肩の力を抜き、重心を低く保ったまま、格闘家の歩幅で近づいてくる。
その動きに、無駄は一切ない。
砂を踏む音が重なり、距離が二十メートルを切った。
互いにまだ、攻めない。
「紅丸」
低く響く声。
「お前の剣、噂通りか確かめさせてもらう」
「拙者は試し斬りの的ではござらん」
そう返し、さらに一歩踏み込む。
次の瞬間、ミストシャドウのAウォッチが淡く光った。
空気が震え、正面からエネルギー弾が放たれる。
拙者は即座に踏み込み、断絶丸を横一文字に振る。
刃が光を裂き、弾は二つに割れて砂に消えた。
衝撃で足元の砂が舞い上がる。
「……切り払うか」
返事はしない。
拙者はそのまま距離を詰める。
十五メートル。
ミストシャドウは再び動いた。
今度は前に出る。
高速の踏み込みから放たれる拳が、一直線に迫る。
拙者は半身になり、剣で受け流す。
金属音が夜気に響き、衝撃が腕に走った。
「重い……!」
拳はただの打撃ではない。
鍛え抜かれた肉体そのものが武器だ。
ミストシャドウは止まらない。
肘、膝、回し蹴り。
連続する格闘の嵐。
拙者は後退しながら、最小限の動きで捌く。
剣は振り過ぎない。
切るためではなく、間合いを支配するために使う。
「守りに徹するか!」
「攻め急ぐほど、勝ちは遠のくでござる」
一瞬の隙を見て、拙者は踏み込んだ。
断絶丸を鋭く突き出す。
ミストシャドウは腕を交差させ、Aウォッチのシールドを展開する。
半透明の障壁が刃を受け止め、鈍い反動が返ってきた。
「……やはり、ただの剣ではないな」
拙者はすぐに距離を取る。
深追いはしない。
再び、エネルギー弾が放たれる。
今度は三発。
拙者は一歩ずつ角度を変えながら斬り払う。
一発、二発。
三発目は、刃で逸らし砂地に叩き落とした。
砂煙が舞い、視界が一瞬曇る。
その中を、ミストシャドウが突っ込んでくる。
読めている。
拙者は低く構え、足払いのように剣を振る。
ミストシャドウは跳び、着地と同時に拳を振るった。
衝撃が肩を掠める。
一歩、後退。
「……互角、か」
拙者は息を整えながら、距離を測る。
十メートル。
このまま続けても、決定打は出ない。
そう直感する。
「どうした、下がるのか!」
「下がるのも、剣の内でござる」
拙者は大きく後方へ跳び、距離を広げた。
砂を蹴り、二十メートル以上離れる。
ミストシャドウは追わない。
同じ結論に至ったのだろう。
夜風が、砂煙を静かに散らしていく。
「さて、それでは、白織殿、よろしいでこざるか」「…はぁ」
それに対して、返答代わりの溜息を聞き、その手にあるメダルを構える。
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王