サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
三大勢力会議の余韻が残る会議室で、視線が一斉に拙者へと向けられた。
紅丸――和風の猫侍の姿のまま、場の中心に立つ拙者に対して、問いを投げたのは堕天使の総督、アザゼルだった。
「で、紅丸。
お前さんはこの先、どう動くつもりだ?」
軽い口調だが、探るような眼差し。
この場に集う悪魔、天使、堕天使――全員が同じ疑問を抱いているのが分かる。
和平を掲げた会議。
禍の団という共通の脅威。
その中で、異物とも言える存在である拙者が、どこに立つのか。
拙者は霊剣を杖代わりに床へ軽く当て、一歩前へ出た。
「調停者になるつもりは、拙者にはござらぬ」
その一言で、空気がわずかに揺れる。
リアスが小さく目を見開き、
ミカエルは眉を寄せ、
アザゼルは口角を上げた。
「拙者は三大勢力の間に立ち、裁く存在ではないでござる」
静かに、だがはっきりと言葉を重ねる。
「争いを止める為に全てを背負う気も、誰かの正義を決める気もない。
拙者が選ぶのは――観測と収集」
ざわ、と小さなどよめきが走る。
「誰が何を望み、何を恐れ、何を壊そうとしているのか。
それを見て、知り、集める。
必要な時にだけ、剣を抜く。それだけでござる」
ミカエルが静かに問い返す。
「それは……責任を放棄しているようにも聞こえるが?」
拙者は首を横に振った。
「違う。
責任を負う順番を間違えぬ為の選択でござる」
一瞬の沈黙。
次に口を開いたのはリアスだった。
「つまり……どの勢力にも属さず、けれど敵にもならない、という事?」
「左様。
拙者は、どこにも属さぬ」
アザゼルが声を出して笑った。
「ははっ!
なるほどな。
便利でもあり、厄介でもある立場だ」
その目は、完全に楽しんでいる。
「だが嫌いじゃねぇ。
少なくとも、嘘は言ってねぇ顔だ」
天使側の代表は静かに息を吐く。
「観測者か……
神が不在の今、その役割を選ぶ者が出るのも、必然かもしれんな」
完全な賛同ではない。
だが、否定もしない。
悪魔側からは、警戒と興味が入り混じった視線が向けられる。
利用できるかもしれない。
同時に、制御できない存在でもある。
拙者は一礼した。
「拙者は、この世界がどう壊れ、どう繋がるのかを見届ける。
それが拙者の道でござる」
誰も、それ以上は問いを重ねなかった。
三大勢力は理解したのだ。
紅丸は味方でも、敵でもない。
――だが、無視できない存在である、と。
その会議室の片隅。
誰にも気づかれぬ一瞬、黒い気配がふっと揺れた。
(やっぱり……太郎)
名を呼ばぬ声。
確信に近い直感。
三大勢力が去った後も、
拙者の進む道は、静かに、しかし確実に注目され始めていた。
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王