サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
「これは、なんというか」
「とんでもないな」
そう、俺と絶花は、その光景に思わず呟いてしまう。
滅が俺の家臣となった二日後。
俺の家で居候する事になった滅だが、その家事能力はとんでもなかった。
それは壊滅的ではなく、とんでもなく上手い状況でだ。
「なるほど、これが人間で言う所の家事か」
それは塵一つない床。磨かれた窓。さらには完璧な朝食。
その光景に、俺も絶花も、見つめる。
「この世界で言う所の仕事を行っていない以上、家事で貢献する必要がある。だからこそ、俺はここでハウスキーパーとして働く事にした」
「名前が物騒なのに、かなりまともな」
「その名前をつけた太郎が言うの!?」
絶花のツッコミをスルーしながら、俺はすぐに朝飯を食べる事にした。
「ふむ、美味い」
そう、滅が作った朝食を食べながら、俺はそんな感想を漏らす。
「ふむ、それは良かった」
滅は、俺の視線を受けながら、頷く。
「ほら、絶花も食べてみろよ」
「えっ、あっうん」
そのまま、絶花も食べ始め……。
「美味しい……」
と、驚いたように呟く。
「それは良かった。俺は家事については全く知識がなく、ただ人間たちがやっている事を真似してみただけだからな」
「それでもだ」
そう、俺と絶花が会話している。
だからこそ、その時は気づかなかった。
滅が、もう1人分を作っていた事に。
そして、そこから先は、この時の俺は知らなかった会話でもあった。
「お前も食べたらどうなんだ?」
そう、滅は、あまり目立たない所で呟く。
そこに立っていたのは、黒歌だった。
猫に対して、人間の食事を渡す。
普通ならば、可笑しい事だろう。
だが。
「つい最近まで、あの子達を殺そうとした奴の料理を食べると思って」
そう、黒歌が、喋った。
黒歌の言葉に対して、滅は言い返す事もなく。
「今の俺は、太郎の家臣だ。家臣となった以上、彼を殺すつもりはない」
「どうだが」
「そういうお前は、あの2人に対して、かなり大切にしているようだったな」
それは、滅が霧で視界が阻まれた瞬間。
例え、霧で視界を奪われても、追跡には問題なかった。
だが、そこで邪魔をしたのは、他でもない、黒歌だった。
「仙術だったか、正直に言って、あの場でお前に警戒をしていた。故に負けてしまったがな」
「言い訳かにゃ?」
「別に」
それだけ言い、滅は言う。
「奴は王を宣言した。絶花を普通にする為に。種族も何も関係ない平等な国を目指すと。お前は何時まで隠れているつもりなんだ」
「……別に、ここもただの隠れ家の一つだけだにゃ」
「仙術で、違和感を消す程に気に入っているのにか?」
「機械の癖に口は達者だにゃ」
「ラーニングをしたからな」
それだけ言い、滅はそのまま出て行く。
「……にゃぁ」
そして、黒歌はそのまま滅の料理を食べ始める。
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王