サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

6 / 702
王の知らない機械と猫

「これは、なんというか」

 

「とんでもないな」

 

 そう、俺と絶花は、その光景に思わず呟いてしまう。

 

 滅が俺の家臣となった二日後。

 

 俺の家で居候する事になった滅だが、その家事能力はとんでもなかった。

 

 それは壊滅的ではなく、とんでもなく上手い状況でだ。

 

「なるほど、これが人間で言う所の家事か」

 

 それは塵一つない床。磨かれた窓。さらには完璧な朝食。

 

 その光景に、俺も絶花も、見つめる。

 

「この世界で言う所の仕事を行っていない以上、家事で貢献する必要がある。だからこそ、俺はここでハウスキーパーとして働く事にした」

 

「名前が物騒なのに、かなりまともな」

 

「その名前をつけた太郎が言うの!?」

 

 絶花のツッコミをスルーしながら、俺はすぐに朝飯を食べる事にした。

 

「ふむ、美味い」

 

 そう、滅が作った朝食を食べながら、俺はそんな感想を漏らす。

 

「ふむ、それは良かった」

 

 滅は、俺の視線を受けながら、頷く。

 

「ほら、絶花も食べてみろよ」

 

「えっ、あっうん」

 

 そのまま、絶花も食べ始め……。

 

「美味しい……」

 

 と、驚いたように呟く。

 

「それは良かった。俺は家事については全く知識がなく、ただ人間たちがやっている事を真似してみただけだからな」

 

「それでもだ」

 

 そう、俺と絶花が会話している。

 

 だからこそ、その時は気づかなかった。

 

 滅が、もう1人分を作っていた事に。

 

 そして、そこから先は、この時の俺は知らなかった会話でもあった。

 

「お前も食べたらどうなんだ?」

 

 そう、滅は、あまり目立たない所で呟く。

 

 そこに立っていたのは、黒歌だった。

 

 猫に対して、人間の食事を渡す。

 

 普通ならば、可笑しい事だろう。

 

 だが。

 

「つい最近まで、あの子達を殺そうとした奴の料理を食べると思って」

 

 そう、黒歌が、喋った。

 

 黒歌の言葉に対して、滅は言い返す事もなく。

 

「今の俺は、太郎の家臣だ。家臣となった以上、彼を殺すつもりはない」

 

「どうだが」

 

「そういうお前は、あの2人に対して、かなり大切にしているようだったな」

 

 それは、滅が霧で視界が阻まれた瞬間。

 

 例え、霧で視界を奪われても、追跡には問題なかった。

 

 だが、そこで邪魔をしたのは、他でもない、黒歌だった。

 

「仙術だったか、正直に言って、あの場でお前に警戒をしていた。故に負けてしまったがな」

 

「言い訳かにゃ?」

 

「別に」

 

 それだけ言い、滅は言う。

 

「奴は王を宣言した。絶花を普通にする為に。種族も何も関係ない平等な国を目指すと。お前は何時まで隠れているつもりなんだ」

 

「……別に、ここもただの隠れ家の一つだけだにゃ」

 

「仙術で、違和感を消す程に気に入っているのにか?」

 

「機械の癖に口は達者だにゃ」

 

「ラーニングをしたからな」

 

 それだけ言い、滅はそのまま出て行く。

 

「……にゃぁ」

 

 そして、黒歌はそのまま滅の料理を食べ始める。

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
  • 幻想王
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。