サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

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妖と宙のレーティング・ゲーム Ⅵ

「……殲滅」

 

低い電子音のような呟きとともに、青色の体躯が閃光を纏う。ドルル——その名の通りの重武装ケロン人は、まさに兵器そのものだった。両腕から放たれるビームは虚空を裂き、連射される弾幕が虹の如く広がる。後頭部のバーニアが轟音もなく推力を吐き出し、瞬き一つの間にオーガポンとの距離を詰めたり離したりと自在だ。

 

「っ……!」

 

応じるのはオーガポン。緑色の身体が紙一重で機関銃の雨を掻い潜り、手にする棍棒で弾丸を受け止める。しかし銃弾の嵐は苛烈を極め、受け切れない光条がその細身を掠めていく。

 

「っっっ!!」

 

子供っぽい抗議を行う動作も、次の瞬間には遮断される。ドルルの耳部ビーム砲が閃き、オーガポンは咄嗟に転がるように回避する。その軽快さこそが彼女の強みではあるが、いかんせん火力が足りない。

 

息切れするように距離を取ったオーガポンが、胸の前で小さな拳を作った。

 

「っ!」

 

鬼面が淡く輝く。岩の面——いや違う。次に選ばれたのは“水の面”だ。面が発する蒼い霊気がオーガポンの周囲を包むと同時に、彼女の身体から迸る水滴が無重力の中を漂い始めた。

 

「あれは……?」

 

思わず小さく漏らしてしまう黒江。

 

「オーガポンは仮面を付け替える事で、その力を切り替える事が出来る。今のはいどのめん。故に」

 

俺の言葉と共にオーガポンの動きは変わった。水の膜が彼女の前面を覆い、まるで鏡のように光を屈折させる。放たれた銃弾が水中を走るように速度を落とし、やがて消散していくのだ。

 

「盾か」

 

確かに理に適っている。岩の面では硬いだけだったものを、水という流動性を取り入れることで銃撃に対して柔軟に対処する策だ。だがそれにも限度はあるだろう。オーガポン自身もわかっているのか、反撃ではなく再び退避を選択する。そして最後に取り出したのは、植物の面。

 

---

 

「ふぅっ……!」

 

オーガポンの顔が変わる。柔らかな緑色から温かな褐色へ。大地を司る仮面が力を与える。彼女の背後の空間に芽吹くような翠光が宿り、瞬く間に草木の根や茎が立体的に浮かび上がる。

 

「……」

 

ドルルは沈黙しながらも警戒を強めた。それが正しい判断だと言わざるを得ない。オーガポンを中心に円環状に咲いた植物群は宇宙空間でありながらも生命力を持って成長し、根が鞭のようにしなって襲いかかる。

 

「拘束狙いか……!」

 

高速機動に長けたドルルだが、四方八方から絡みつく蔓や棘への迎撃は容易ではない。接近すれば近接戦用のナイフがあるが、それ自体が植物群の一部と接触することで逆に不利になりそうだ。

 

ドルルは両腕を前に突き出すと、一気に光線を放出した。それは通常の三倍以上の出力だ。「高出力モード」といったところか?

 

空間全体を揺るがすような爆発音——いや、「音」など聞こえないはずなのにそう感じてしまう程凄まじい衝撃波で全てが蒸発したかに見えた刹那。

 

ドルルの背後には既にかまどの面を被ったオーガポンがいた。

 

「っ!?」

 

ドルルは、すぐに反撃しようとした。

 

だが、それを許さない程の強烈な一撃をドルルに叩き込む。

 

棍棒を振り上げる動作すら見えなかったかもしれない。炎上した赤々しい仮面が燃えるように輝いており——棍棒ごと殴られたであろう箇所からは火花を散らしながら吹き飛んでいったのである。

 

「どうやら、今度は俺達の勝利のようだな」

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
  • 幻想王
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