サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
「・・・俺は、負けたのだな」
地面に転がるコカビエルは、そう呟く。
その背中に生えていただろう堕天使の翼は、滅が放った炎で全て焼き尽くされた。
おそらくは、堕天使として、今後は活動は出来ないだろう。
「あぁ、俺達が勝った。だが、俺だけではおそらくは勝てなかっただろうな」
そう、滅が変身を解除すると、その手に持っていた妖刀は砕け散った。
中に残っていたバーニングファルコンは未だに原型は残っていたので、再度使う事は出来るだろうが。
「すまなかったな、壊してしまって」
「別に良いよ、それに、こちらだって、また新たな創作意欲が出たしな」
「そうか」
滅はすぐに椿に謝ったが、それに対して椿は特に気にする事はなかった。
同時に俺は、コカビエルに尋ねた。
「それで、負けた感想はどうだった」
「そうだな、悔しさはあるな。空しさもある。だが、吹っ切れたのが一番だろうな」
コカビエルは、そう空を見つめた。
「俺は、あの時の、戦争の決着をつけたかった。無意味だと、俺達の戦争が。犠牲になった同胞の死も全て」
「だからもう一度、戦争を起こしたかったという事か」
「あぁ、上が動かない以上はな。だが、この戦いに悔いはなかった」
コカビエルは、まるで憑き物が取れたように笑みを浮かべる。
「貴様に宣戦布告をし、互いに戦争を行った。その結果、俺は負けた。
無意味ではなく、確かな敗北でな」
「お前は、戦争など最初からどうでも良かったんだな」
「あぁ、ただ、俺は、最後まで戦いたかっただけだったかもしれないな」
同時に俺の方に見つめる。
「だからこそ、問う。お前がこの先、王となるのならば、避けられない事実を」
「なんだ?」
おそらくは最期の会話になるかもしれない。
「神は既に死んだ。その言葉を、お前は信じるか」
それが、コカビエルが伝えたかった事だろう。
だが、あえて言うとすれば。
「どうでも良い」
「なに?」
俺の答えは、それに尽きる。
「元々、神というのが生きているのか死んでいるのかすら、俺は知らない。どの神の事なのかも分からない。
だが、仮にその神が死んだとしても、俺は、その神が残した物に目を向ける」
「神が残した物を」
そう。
「宮本武蔵が死んだとしても、その強さは、今の俺達まで伝わり、支えてくれる。
エクスカリバーが例え砕け散ったとしても、その力は新たな支えとなってくれる。
消えてしまった事に悲しむだけではない。それらが残してくれたのをどこまで向き合い、進むのか。
それを探るのも、また、俺達の勤めだ。
それに、種族は関係ないだろう」
「なるほど、ショックを受けるかと思ったら、むしろ、それを糧にするか。なるほど、面白い奴だ」
奴は、そう、呟く。
「お前と出会っていれば、もしかしたらお前の所の家臣になっても良かったかもしれないな」
「んっ、裏切りの堕天使か?別に今からでも構わんが?勿論、絶花の1件は許さんが」
「あいにく、俺には、これから、お前の言う所の戦争の後始末を、いや責任を取らなければならない。だから、お前の所には行けないな」
コカビエルは、呟く。
「だが、もしも、俺が生きており、お前が残した物があれば、それに従うのも一興かもしれないな」
「・・・そうか」
それと共に、結界は砕け散る。
同時に、見つめた先には。
「迎えはまさか、お前だとはな、アルビオン」
「随分とすっきりとしているようだな、コカビエル」
次回の王は
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幻想王