サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
森に張り詰めた空気が震え、時間がわずかに引き延ばされたように感じられた。
『投影!それはメタルヒーローの力を借りるコマンドだ。では、投影による必殺プロセスをもう一度見てみよう』
低く響く解説音声と共に、太郎の装甲が揺らぐ。最初に重厚な銀の光が全身を包み込み、ブレードの輪郭が鋭く強調される。
『宇宙刑事ギャバン!銀の閃光、その名はギャバン!』
跳躍。湿った土を蹴り上げ、一直線にエモンズへと迫る。上段から振り下ろされる刃は、迷いのない軌道を描く。ギャバン・ダイナミック。重さと速度を兼ね備えた一撃が、エモンズの胸部装甲を縦に裂く。外殻が悲鳴のような軋みを上げ、裂け目から黒い靄が噴き出す。
『宇宙刑事シャリバン!赤き閃光、その名はシャリバン!』
銀の光が赤へと滲む。次の瞬間、太郎の姿が視界から消えた。森の木々の間を滑るように移動し、エモンズの死角へ回り込む。斜めに振り抜かれる刃が、裂けた装甲の隙間をさらに広げる。シャリバン・クラッシュ。高速の斬撃が重なり、赤い残光が森に幾筋も刻まれる。
『宇宙刑事シャイダー!青き閃光、宇宙を駆ける戦士!』
赤が青へと変わる。太郎の身体が回転し、地面すれすれを滑るように移動する。ブレードが水平に走り、円を描く軌跡がエモンズの胴体を横断する。シャイダー・ブルーフラッシュ。青白い光が外殻を焼き、内部の核を露出させる。
三つの光が交差する。
銀。赤。青。
森の闇に三本の軌跡が重なり、エモンズの躯体が大きく仰け反る。再生を試みる黒い靄が核を覆おうとするが、すでに遅い。
投影の光が収束し、最後に残るのは深紅と夜色を纏ったギャバン・キングの姿だった。
太郎は一歩踏み込み、ギャバリオンブレードを静かに振り上げる。刃に集束した光が脈打ち、月光を反射する。
そして、振り下ろす。
森の闇が静まり、焦げた匂いだけがかすかに残る。崩れ落ちたエモンズの残滓を確認した後、ギャバン・キングはゆっくりと教会へと歩を進めた。瓦礫となった外壁の隙間から、内部の光が漏れている。
扉を押し開けると、空気が一変する。湿った石床に膝をつく堕天使の姿があり、その前には兵藤が立っていた。荒い呼吸を繰り返しながらも、瞳には強い光が宿っている。その腕の中で横たわっていた金髪の少女が、ゆっくりとまぶたを震わせた。
淡い光が少女の身体を包み込み、失われていた温もりが戻っていく。アーシアの胸が上下し、かすかな息が漏れる。その様子を見て、兵藤の肩から力が抜けた。
「……生きてる」
震える声が静寂を破る。
視線を移すと、壁際に追い詰められた堕天使がいた。神器を失い、翼も半ば砕けている。足元には拘束の魔法陣が淡く光り、逃げ場はない。
「ヴァルグレイは……?」
掠れた声で問いかける堕天使に、ギャバンは淡々と答える。
「銀河連邦警察の管理下にある。逃げ場はない」
その言葉を聞いた瞬間、堕天使の顔から血の気が引いた。頼りにしていた研究者が既に拘束されたと知り、背骨が折れたかのように力を失う。
「そんな……あの方が……」
視線が宙をさまよう。誇り高かった表情は崩れ、絶望が静かに滲む。巨大兵器もエモンズも、すべては終わったのだと理解したのだ。
教会の天井から、壊れたステンドグラス越しに月光が差し込む。その光の中で、ギャバン・キングは静かに立つ。任務は終わった。だが、この世界の均衡はまだ揺れている
次回の王は
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妖怪王
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幻想王