サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
「終わった、か……」
通信回線に、各機のパイロットたちの安堵の息遣いが聞こえる。だが、すぐに全機が集合するよう指示が飛んだ。残党の確認と、今後の方針を話し合うためだという。
俺は機体を反転させ、通常の航行形態に戻した。他の機体も次々と変形を解き、指定された座標へと集まっていく。会場として設定されたのは、この星系の銀河連邦警察の宇宙ステーションだった。格納庫に各機が着陸し、俺たちは久しぶりに生身の姿で再会することになった。
「よう、キング。無事だったか」
駆無が紫色の装甲を解除しながら、軽く手を上げた。
「お前こそな。ライヤ」
俺もギャバン・キングの装甲を解除し、素顔で応じる。周囲では、怜慈さん、ブシドー、アーマイゼもそれぞれ変身を解き、生身の姿で集まってきていた。
「しかし、これだけの艦隊を差し向けるとはな」
怜慈さんが腕を組みながら言う。
「アザ・ゾルスの力、侮れん」
「だが、これで全滅させたはずだ」
俺はそう言いかけて、ふと口を閉ざした。怜慈さんの顔に、まだ何か懸念が残っているのを見て取ったからだ。
「いや、まだだ」
怜慈さんは首を振った。
「確かに艦隊は壊滅させた。だが、あれはアザ・ゾルス勢力の主力ではない。むしろ、これは序章に過ぎん」
「序章だと?」
駆無が眉を上げる。
「あの規模で序章か。ふざけた話だな」
「いや、事実だ。我々の世界では、アザ・ゾルス勢力の残党がまだ各地に潛んでいる。奴らはリゼヴィムの撤退と同時に、一斉に動きを活発化させている」
「リゼヴィム……」
俺はその名を聞いて、反射的に拳を握りしめていた。あの悪魔。アザ・ゾルスの力をまとい、俺の王国の駒を無効化し、あと一歩のところまで追い詰めてきた相手だ。結局、撤退を許してしまったが、奴はまだ生きている。
「私の世界でも、残党の動きが確認されている」
アーマイゼの低い声が響く。銅色の装甲を解除した彼は、小さなアリの姿で机の上に立っていた。
「アリ得ない話だが、奴らは組織的に動いているようだ」
「私の世界も同様だ」
ブシドーが静かに口を開いた。
「アザ・ゾルスに与した侍たちが、まだ各地で暗躍している。奴らとの決着は、まだついていない」
「私の方も~」
初音が通信端末を操作しながら割って入る。
「残党の反応、あちこちに出てるよ。これ、多分だけど、リゼヴィムが撤退しながら各地に種を撒いたんじゃないかな~」
「種、か」
俺は腕を組み、天井を見上げた。リゼヴィムのあの笑みを思い出す。奴は単に逃げたわけじゃない。撤退しながら、次の手を打っていたんだ。あの悪魔は、常に二手三手先を読んで動いている。
「つまり、この戦いはまだ終わってねえってことか」
「そういうことになるな」
怜慈さんが深く頷いた。
「むしろ、これからが本番だ。リゼヴィムはアザ・ゾルスの力を使い、各世界に混乱を撒き散らそうとしている。我々はそれぞれの世界に戻り、残党の掃討にあたらねばならん」
「だが、それだけじゃ足りねえ」
俺は静かに言った。
「残党を掃討するだけじゃ、リゼヴィムには届かねえ。奴自身を叩かなきゃ、同じことの繰り返しだ」
「ああ、その通りだ」
怜慈さんが俺の目を真っ直ぐに見つめる。
「だからこそ、俺達は負ける訳にはいかない」
俺は無言で頷いた。胸の奥で、王国の駒がかすかに熱を帯びている。まだ戦いは終わっていない。リゼヴィムという最大の敵が、まだ俺たちの前に立ち塞がっている。
「面倒だな」
俺はそう呟きながらも、口元には笑みが浮かんでいた。
「だが、見捨てる理由にはならねえだろ」
次回の王は
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