サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

770 / 803
ギャバン集結 case9

「終わった、か……」

 

通信回線に、各機のパイロットたちの安堵の息遣いが聞こえる。だが、すぐに全機が集合するよう指示が飛んだ。残党の確認と、今後の方針を話し合うためだという。

 

俺は機体を反転させ、通常の航行形態に戻した。他の機体も次々と変形を解き、指定された座標へと集まっていく。会場として設定されたのは、この星系の銀河連邦警察の宇宙ステーションだった。格納庫に各機が着陸し、俺たちは久しぶりに生身の姿で再会することになった。

 

「よう、キング。無事だったか」

 

駆無が紫色の装甲を解除しながら、軽く手を上げた。

 

「お前こそな。ライヤ」

 

俺もギャバン・キングの装甲を解除し、素顔で応じる。周囲では、怜慈さん、ブシドー、アーマイゼもそれぞれ変身を解き、生身の姿で集まってきていた。

 

「しかし、これだけの艦隊を差し向けるとはな」

 

怜慈さんが腕を組みながら言う。

 

「アザ・ゾルスの力、侮れん」

 

「だが、これで全滅させたはずだ」

 

俺はそう言いかけて、ふと口を閉ざした。怜慈さんの顔に、まだ何か懸念が残っているのを見て取ったからだ。

 

「いや、まだだ」

 

怜慈さんは首を振った。

 

「確かに艦隊は壊滅させた。だが、あれはアザ・ゾルス勢力の主力ではない。むしろ、これは序章に過ぎん」

 

「序章だと?」

 

駆無が眉を上げる。

 

「あの規模で序章か。ふざけた話だな」

 

「いや、事実だ。我々の世界では、アザ・ゾルス勢力の残党がまだ各地に潛んでいる。奴らはリゼヴィムの撤退と同時に、一斉に動きを活発化させている」

 

「リゼヴィム……」

 

俺はその名を聞いて、反射的に拳を握りしめていた。あの悪魔。アザ・ゾルスの力をまとい、俺の王国の駒を無効化し、あと一歩のところまで追い詰めてきた相手だ。結局、撤退を許してしまったが、奴はまだ生きている。

 

「私の世界でも、残党の動きが確認されている」

 

アーマイゼの低い声が響く。銅色の装甲を解除した彼は、小さなアリの姿で机の上に立っていた。

 

「アリ得ない話だが、奴らは組織的に動いているようだ」

 

「私の世界も同様だ」

 

ブシドーが静かに口を開いた。

 

「アザ・ゾルスに与した侍たちが、まだ各地で暗躍している。奴らとの決着は、まだついていない」

 

「私の方も~」

 

初音が通信端末を操作しながら割って入る。

 

「残党の反応、あちこちに出てるよ。これ、多分だけど、リゼヴィムが撤退しながら各地に種を撒いたんじゃないかな~」

 

「種、か」

 

俺は腕を組み、天井を見上げた。リゼヴィムのあの笑みを思い出す。奴は単に逃げたわけじゃない。撤退しながら、次の手を打っていたんだ。あの悪魔は、常に二手三手先を読んで動いている。

 

「つまり、この戦いはまだ終わってねえってことか」

 

「そういうことになるな」

 

怜慈さんが深く頷いた。

 

「むしろ、これからが本番だ。リゼヴィムはアザ・ゾルスの力を使い、各世界に混乱を撒き散らそうとしている。我々はそれぞれの世界に戻り、残党の掃討にあたらねばならん」

 

「だが、それだけじゃ足りねえ」

 

俺は静かに言った。

 

「残党を掃討するだけじゃ、リゼヴィムには届かねえ。奴自身を叩かなきゃ、同じことの繰り返しだ」

 

「ああ、その通りだ」

 

怜慈さんが俺の目を真っ直ぐに見つめる。

 

「だからこそ、俺達は負ける訳にはいかない」

 

俺は無言で頷いた。胸の奥で、王国の駒がかすかに熱を帯びている。まだ戦いは終わっていない。リゼヴィムという最大の敵が、まだ俺たちの前に立ち塞がっている。

 

「面倒だな」

俺はそう呟きながらも、口元には笑みが浮かんでいた。

「だが、見捨てる理由にはならねえだろ」

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
  • 幻想王
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。