サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
俺は息を切らしながら、リゼヴィムの動きを追っていた。
黒い魔力がうねり、玉座の間全体を覆い尽くしていく。リゼヴィムは笑っている。その顔には、心からの愉悦が浮かんでいた。
「どうしたどうした! さっきまでの勢いはどこに行ったんだい? おじいちゃん、ちょっと退屈してきちゃったよ!」
リゼヴィムが両手を広げる。瞬間、無数の黒槍が空中に形成され、一斉に俺たちへと殺到した。俺はギャバリオン・トリガーを連射し、迫る槍を次々に撃ち落とす。一本、二本、三本。しかし、数が多すぎる。四本目が俺の肩をかすめ、五本目が足元を狙う。
「くっ……!」
俺は床を蹴って回避した。隣では、絶花がギャバリオン・ブレードを振るい、黒槍を斬り払っている。彼女の太刀筋に乱れはない。だが、天聖の力がない今、彼女の体力は確実に削られていた。
「絶花、まだ持つか!」
「なんとか……!」
俺は歯噛みしながら、次の一手を考える。だが、その隙をリゼヴィムは見逃さなかった。
「おっと、考え事かい? 余裕だねぇ」
リゼヴィムの姿が消えた。いや、消えたんじゃない。空間を歪めて、一瞬で距離を詰めたのだ。その手が、俺の胸元へと伸びる。俺はとっさにトリガーで防御しようとした。
だが、リゼヴィムの狙いは俺ではなかった。
「まずは一人目だよ」
リゼヴィムが急転換し、絶花へと襲いかかる。彼女はまだ黒槍を斬り払っている最中だ。完全に隙を突かれた。
「しまっ――」
絶花の白い仮面が、リゼヴィムの黒い魔力に照らされる。
俺の身体は、考えるより先に動いていた。
「絶花ぁっ!」
俺はギャバリオン・トリガーをフルオートで連射した。蒸着はできなくとも、トリガーはまだ俺の武器だ。光弾がリゼヴィムの魔力と正面から衝突し、かろうじて相殺する。衝撃波が広がり、絶花は後方へと吹き飛ばされたが、致命傷は避けられた。
だが、代わりに俺の身体ががら空きになる。
「おや、自己犠牲かい?」
リゼヴィムが嗤った。その手が、俺の腹部にめり込む。
「がはっ……!」
黒い魔力が炸裂し、俺の身体は床を滑るように吹き飛ばされた。背中から壁に叩きつけられ、瓦礫が降り注ぐ。口の中に鉄の味が広がり、視界が赤く染まる。数本の肋骨が完全にイカれた。息をするだけで、焼けるような痛みが走る。
「太郎!」
絶花の声が遠くに聞こえた。彼女が駆け寄ろうとするが、リゼヴィムが放った黒槍が彼女の足元を阻む。
「おやおや、まだ動けるのかい? でも、その身体じゃもう限界だろ?」
リゼヴィムがゆっくりと歩み寄ってくる。俺は瓦礫の中で歯を食いしばり、必死に上体を起こした。トリガーを握る手が震えている。指に力が入らない。
(まだだ……まだ終わってねえ……)
俺はリゼヴィムを見据えた。この部屋は神器無効化の結界に覆われている。蒸着はできない。投影も封じられている。だが、それでも諦めるわけにはいかない。絶花がいる。仲間たちが外で戦っている。俺が倒れるわけには、絶対にいかないのだ。
俺は瓦礫の中で歯を食いしばり、必死に上体を起こした。視界が歪む。口の中の血の味が濃くなる。だが、まだ立てる。まだ戦える。トリガーを握る手に力を込め、リゼヴィムを見据えた。
「まだ……終わってねえぞ……」
「おやおや、往生際が悪いねぇ。でも、そういうの嫌いじゃないよ」
リゼヴィムが嗤いながら手を掲げる。その掌に、黒い魔力が凝縮されていく。とどめを刺すつもりだ。絶花が叫ぶ声が聞こえた。彼女が駆け寄ろうとするが、足元の黒槍がそれを阻む。このままじゃ、俺も絶花も危ない。
その時だった。
「そこまでだ」
低く、張りのある声が玉座の間に響いた。
同時に、俺の眼前に二つの影が割り込む。一人は橙色の革ジャケットを着た壮年の男。白髪の混じった黒髪、太い眉、彫りの深い精悍な顔立ち。もう一人は、灰色の革ジャケットを着た若い青年。引き締まった体格に、感情の強さが表れやすい精悍な顔立ち。二人は俺を庇うように立ちはだかり、リゼヴィムの前に立ち塞がった。
リゼヴィムが初めて眉を動かした。
「……誰だい、君たちは」
壮年の男が、鋭い眼差しでリゼヴィムを見据える。
「一条寺烈」
続いて、若い青年が拳を握りしめて名乗りを上げる。
「十文字撃」
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王