サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
俺は深く息を吐いた。全身の力が抜け、その場に膝をつきそうになるのを、ギャバリオン・ブレードを杖代わりにして堪える。隣では、一条寺烈がレーザーブレードを収め、十文字撃が肩で息をしながらも笑みを浮かべていた。
「終わった…のか」
俺の呟きに、一条寺烈が静かに頷く。
「ああ。リゼヴィム・リヴァン・ルシファーは、確かにこの手で倒した」
「でもよ、烈さん」
十文字撃が首を巡らせ、まだ警戒を解かずに周囲を見渡す。
「なんか、妙じゃねえか。この空気」
俺もそれには同意だった。リゼヴィムを倒したというのに、戦場の緊張が全く解けていない。むしろ、さらに重苦しい何かが、すぐ近くまで迫っているような感覚がある。
「…来る」
一条寺烈が短く告げた。その視線は、玉座の間の中央、リゼヴィムが消えた地点に注がれている。俺もまた、ギャバリオン・トリガーを構え直した。
空間が、揺れた。
まるで水面に石を投げ込んだかのように、空気が波紋を描く。いや、揺れているのは空気だけじゃない。次元そのものが歪み、亀裂が走り、そこから異質な光が溢れ出してくる。俺たち三人は同時に戦闘態勢を取った。まだ何か出てくる。それも、リゼヴィムとは桁違いの何かが。
亀裂が大きく開き、二つの影が飛び出した。
一つは、深紅の装甲。光子エネルギーを全身に循環させ、無限の輝きを放つ戦士。ギャバン・インフィニティ。弩城憐慈だ。俺はその姿を見て、一瞬息を呑んだ。つい先日、共に戦ったばかりの彼が、なぜここに。
「っ!?」
俺の声に、憐慈は一瞬だけこちらを見た。そのバイザーの奥の目が、わずかに見開かれる。
「ここはキングの世界かっ」
「それはこっちの台詞だ!」
だが、状況を確認する暇はなかった。憐慈の背後から、もう一つの影が迫っていたからだ。
漆黒の装甲。いや、漆黒という言葉では生ぬるい。光そのものを吸収し、周囲の色彩を奪い去るような、絶対的な闇。その手には、深紅のギャバリオンブレードによく似た、黒い刀身の剣が握られている。ギャバンに似ているが、明らかに異質だ。全身から放たれる殺気が、空間そのものを腐食させていく。
デス・ギャバン。
その名が、自然と俺の口から漏れた。憐慈の最大の敵であり、宇宙刑事の存在を根底から否定する破壊者。まさか、こんな形で遭遇するとは。
「助かったぜ!」
憐慈が、俺の顔を見て声を上げた。その声には、まだ余裕が残っている。さすがはインフィニティだ。この状況でも、笑みを忘れていない。
「憐慈さん! 助太刀します!」
「助かる! だが気をつけろ、こいつは強いぞ!」
「見りゃ分かります!」
俺たちは背中合わせに立ち、デス・ギャバンと対峙した。漆黒の装甲が、不気味な駆動音を響かせながら、ゆっくりと俺たちを見据えている。その手に握られた黒いブレードが、獲物を狙う蛇のように蠢いていた。
「…増援か」
デス・ギャバンが、初めて声を発した。それは、まるで金属を擦り合わせたような、耳障りな声だった。
「だが、無駄だ。何人増えようと、私の前では同じこと」
「そいつはどうかな」
俺はギャバリオン・ブレードを構え直す。
「憐慈さん、行けますね」
「ああ。君がいれば百人力だ」
「なら、一気に決めるぜ」
俺はギャバリオン・トリガーを左手に持ち替え、右手のブレードと二刀流の構えを取った。憐慈もまた、光子エネルギーを全身に循環させ、インフィニティブレードの刀身を輝かせる。二つの光――黒金と深紅――が、漆黒の闇に立ち向かう。後方では、一条寺烈と十文字撃が周囲の警戒を続けている。これで、いつでも加勢に入れる態勢だ。
デス・ギャバンが、ゆっくりとブレードを構え直した。漆黒の装甲が軋み、闇のオーラが膨れ上がる。この敵は、リゼヴィムとは違う。悪魔の超越者ではなく、純粋な破壊者だ。だが、だからこそ、俺たち宇宙刑事が立ち向かわねばならない。
「行くぜ、憐慈さん」
「ああ、太郎!」
四人のギャバンが、デス・ギャバンに戦いを挑む。玉座の間に、新たな戦いの火蓋が切られた。
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王