サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
デス・ギャバンの黒いブレードが唸りを上げた。振り下ろされた刃から、三日月状の闇が飛ぶ。見えない衝撃波が空気を裂き、床の石畳を粉々に砕いていく。
「散れ!」
一条寺烈の声が響いた。俺たちは一瞬で四方へ散開する。闇の斬撃が俺たちがいた空間を通り過ぎ、後方の壁を深々と切り裂いた。重い衝撃波が頬をかすめ、装甲が微かに振動する。
「速い…!」
十文字撃が身を低くし、すれ違いざまにレーザーブレードを突き出す。しかし、デス・ギャバンは最小限の動きでそれをかわした。漆黒の装甲が赤い火花を散らすだけで、致命傷には程遠い。反撃の手練れを見せつけるように、デス・ギャバンは黒いブレードを横薙ぎに振るった。
「ぐっ…!」
撃が慌ててブレードで受ける。金属同士がぶつかる鋭い音が、玉座の間に響き渡った。押し合いになるが、力負けしているのは明らかだ。撃の足元が砂利を噛むように後ずさる。
「撃!」
烈が援護に入る。銀色の閃光がデス・ギャバンの側頭部を狙う。だが、デス・ギャバンは片手で撃を弾き飛ばし、空いた手で烈のブレードを掴んだ。闇のオーラが烈の銀色の装甲を侵食し、駆動音がノイズ混じりに歪む。
「離せ!」
「無駄だと言っている」
デス・ギャバンの冷淡な声。その瞬間、俺と憐慈が動いた。右から俺、左から憐慈。同時に踏み込み、それぞれのブレードを叩き込む。
「ギャバン・ダイナミック!」
憐慈のギャバリオン・ブレードが光子の輝きを放ち、デス・ギャバンの腕を狙う。俺はギャバリオン・ブレードを逆手に持ち、足元を狙って斬り上げた。
デス・ギャバンは烈を突き飛ばし、バックステップで俺たちの連撃をかわす。だが、完全には避けきれない。俺のブレードがデス・ギャバンの脛を浅く掠めた。黒い装甲が削れ、火花が散る。
「今だ、畳み掛けるぞ!」
憐慈が叫ぶ。俺たちは再び陣形を組み直す。烈が前衛の中央、撃がその右、憐慈が左、そして俺が最後衛からトリガーで狙撃ポイントを探る。息遣いだけが通信回線に響く。言葉はいらない。互いの位置と視線だけで、次の一手は分かるはずだ。
デス・ギャバンは、ゆっくりとブレードを構え直した。その傷口からは、油ではなく黒い霧のようなものが漏れ出している。
「…4人まとめて、闇に沈めてやる」
その声に呼応するように、玉座の間の空気がさらに重くなった。次なる攻撃は、さっきよりも濃密で凶悪な闇になるだろう。俺はトリガーのグリップを握り直し、呼吸を整えた。まだだ、まだ終わらない。この闇を切り裂く光を見つけるまでは。
「畳み掛けるぞ!」
憐慈の号令と共に、四人の刃が踊った。
一条寺烈が正面から踏み込み、銀色のレーザーブレードでデス・ギャバンの剣を弾く。重い金属音が響き、火花が散る。その隙を突いて、十文字撃が右から回り込み、type-Gのブーストを活かした高速の斬撃を叩き込んだ。
「遅せぇよ!」
撃の刃がデス・ギャバンの肩装甲を深々と削る。黒い霧が噴き出し、漆黒の装甲が軋みを上げた。
「まだだ!」
俺は黒金のレールを展開し、上空から急降下する。雷光を纏ったギャバリオン・ブレードが、デス・ギャバンの背中を狙って振り下ろされた。
「ぐっ…!」
デス・ギャバンが初めて苦悶の声を漏らす。俺の刃は肩口まで食い込み、その動きを一瞬だけ封じた。その一瞬が、決定的な隙となる。
「終わりだ!」
憐慈が動く。ギャバリオン・ブレードに光子エネルギーを収束させ、デス・ギャバンの懐へと突き出した。深紅の閃光が漆黒の胸部装甲を貫き、内部機構を焼き焦がす。
「馬鹿な…! 私が…この私が…!」
デス・ギャバンが後退する。足元がおぼつかず、その巨体がよろめく。勝負あった。四人の連携の前に、いかな破壊者といえども為す術がない。
だが、デス・ギャバンのバイザーが怪しく明滅した。
「…引かせてもらうぞ」
その声と共に、デス・ギャバンの全身から濃密な闇が噴き出した。視界を奪う黒い霧。俺はとっさにブレードを構え直し、警戒した。だが、霧が晴れた時、そこにデス・ギャバンの姿はなかった。空間に残された亀裂だけが、ゆっくりと閉じようとしている。次元移動か。逃げ足だけは速いやつだ。
「…逃げられたか」
撃が舌打ちをする。烈もブレードを収め、深く息を吐いた。
「だが、致命傷は与えた。次はない」
俺はギャバリオン・ブレードを鞘に収めながら、憐慈の方を見た。インフィニティの装甲がゆっくりと輝きを失い、粒子となって消え始めている。彼もまた、限界が来ているようだ。
「怜慈さん」
「ああ、助かったよ、太郎」
憐慈は生身の姿に戻りながら、俺に向かって笑った。その顔には深い疲労が滲んでいるが、目は清々しく輝いていた。
「まさか君の世界で鉢合わせするとは思わなかったが、タイミングよく来てくれたよ」
「こっちもだ。また会うとは思ってなかったぜ」
俺は軽く肩をすくめる。再会は嬉しいが、こういう形ばかりじゃ勘弁してほしい。
「すまないが、俺はもう帰らないといけない。俺の世界でも、まだやるべきことが残ってるんでね」
「ああ。お互い忙しい身分だな」
憐慈は俺に手を差し出した。俺はその手を握り返す。温かい手だった。
「また会おう」
「ああ。どこかでな」
憐慈の姿が光の中に溶けていく。次元の裂け目が開き、彼を元の世界へと送り届ける。光が消え、静寂が戻ってきた。
俺は残された三人と共に、崩れかけた玉座の間を見渡した。リゼヴィムは倒し、デス・ギャバンは追い払った。だが、戦いの痕跡は至る所に残っている。これからも、俺たちの戦いは続いていくのだろう。
「さて」
一条寺烈が静かに言った。
「とりあえず、ここを出るか」
「そうですね」
俺はギャバリオン・トリガーを腰に戻し、出口へと歩き出した。足取りは重いが、心は不思議と軽かった。
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王