サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
瓦礫の山と化した玉座の間から脱出し、俺たちはコスモギャバリオンに戻っていた。外部の空気は冷たく、肺の奥まで染み渡る。ようやく、長い戦いが終わったことを実感できた。
「しかし、まさかあの状態で残っていたとはな」
十文字撃が、専用の封印コンテナを眺めながら呟いた。その中には、黒く脈打つ小さな結晶が収められている。リゼヴィム・リヴァン・ルシファー。ギャバン・ダイナミックで肉体は完全に粉砕したはずだったが、アザ・ゾルスの力が凝縮された核だけが、辛うじて残存していたのだ。超越者の生命力と、あの呪わしい神器の厄介さには、嫌でも感心させられる。
「これで宇宙刑務所への収監手続きは完了だ」
一条寺烈が、端末を操作しながら静かに言った。画面に「転送完了」の文字が表示され、コンテナの中の結晶が光を失っていく。指定された次元刑務所へ、リゼヴィムの核は送られた。これで、奴が再び世界を揺るがすことはないだろう。
「一仕事終えましたね」
俺は操縦席に深く身を沈め、天井を見上げた。コックピットの中は静かで、自分の呼吸音だけが響いている。長かった。本当に、長い一日だった。
「唯我太郎」
一条寺烈が、俺の隣に立った。その表情は穏やかだが、目には変わらぬ強い光が宿っている。
「お前はよくやった。だが、忘れるな」
「何をですか」
「勇気とは恐れないことじゃない。恐れても前へ出ることだ」
その言葉は、かつて彼が十文字撃に告げたものだと聞いている。だが、今ここで俺に向けて言われると、なぜか重みが違って聞こえた。俺は深く頷いた。
「肝に銘じます」
「それと」
十文字撃が、俺の肩を軽く叩いた。彼の顔には、信頼に満ちた笑みが浮かんでいる。
「俺の真似をする必要はない。お前は、お前のギャバンになれ」
「…似たようなこと、言われましたね。前に」
「誰にだか知らないが、いいやつだな」
撃が笑う。俺もつられて口元を緩めた。
「ええ。最高の先輩たちですよ」
俺は二人の顔を見た。初代ギャバンとtype-G。伝説と、その後継者。そして、俺はギャバン・キング。三人とも、名前も装甲も違うが、背負っているものは同じだ。どの世界でも、代わらない正義を信じ、守るべき者のために剣を握る。それが宇宙刑事だ。
「さて、我々は戻る時間だ」
烈が腕を組み、出口の方を向く。
「また会おう、キング」
「ああ。どこかでな」
二人が光に包まれ、次元の裂け目へと消えていく。その背中は、まっすぐで、力強かった。俺は彼らが消えた空間をしばらく見つめていた。
「…俺のギャバン、か」
俺は自分の両手を見た。まだ泥と血がこびりついている。綺麗な手じゃない。だが、この手で守りたいものは、もう決まっている。
「帰ろうぜ、絶花。みんなが待ってる」
通信機越しに、絶花の小さな「はい」という声が聞こえた。俺はコスモギャバリオンのエンジンに火を入れ、星々の海へと飛び出した。戦いは終わったが、俺たちの旅はまだ続く。だが、もう怖くはない。どんな闇が待ち受けていようと、切り裂く光はここにある。
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王