サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
ギャバン・インフィニティの開始に合わせて、キング編を開始しましたが、連載して、なかなかに面白く書かせて貰いました。
また、新たな募集を行っています。
皆様の応募、お待ちしています。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=343453&uid=45956
地球の空は、相変わらず青かった。
駒王学園の校庭から見上げたその色は、リゼヴィムのいた世界の赤黒い空とも、次元の狹間の無彩色とも違う。変わらない日常の色だ。生徒たちの笑い声が遠くで聞こえ、風が木々の葉を揺らすささやかな音が耳を打つ。
俺は校舎の屋上で手すりに寄りかかり、その平和な光景を眺めていた。
「平和、だねぇ」
足元から、甲高い声が聞こえた。レオルドだ。コーギーの姿のまま、悠々と日向ぼっこを決め込んでいる。
「ああ。悪いことじゃない」
「そうかね。俺としては、ちっとばかし刺激が足りない気もするが」
「お前、犬の姿で言うセリフかそれ」
「賢い犬なんでね」
レオルドがあくびをする。その耳がピクリと動いた。
「で、例の連中はどうなった」
「英雄派か。曹操作、さっき本部から連絡が来たぞ。正式に特別協力者として登録されたそうだ」
「へえ。あの英雄バカどもが、公務員の端くれとはな」
「皮肉はよせ。彼らなりの答えを出したんだろう。表向きは悪の組織に潛入しながら、裏では情報を流す。面倒な役回りだが、あいつらにはお似合いだ」
「まあ、あの曹操のことだ。悪の幹部として振る舞うのも嫌じゃないだろうよ」
俺は短く息を吐いた。あいつらとの戦いは、ただの潰し合いじゃなかった。互いの正義をぶつけ合い、そしてそれぞれの道を見つけた。それを否定するつもりはない。
「太郎」
屋上の扉が開き、宮本絶花が姿を現した。制服姿の彼女は、長い黒髪を風に揺らしている。右手には紙パックのジュース。
「ロスヴァイセさん、資料室で暴れてますよ。報告書の不備で」
「だろうな。俺は書かないって言ったのに」
「いつもそうやって逃げて…」
絶花が呆れたようにため息をつく。その仕草は、以前より少しだけ柔らかくなった気がした。仮面の騎士として戦った日々は、彼女の中で確かに何かを変えたらしい。
「でも、よかったですね。日常に戻ってきて」
絶花が隣に立ち、同じように校庭を見下ろす。
「ああ。でも、完全に戻ったわけじゃない」
俺は手すりを指で叩いた。
「種族の違い、か。それは無くならない。むしろ、これからもっと表面化するだろう」
「…分かってます」
絶花の声が少し低くなる。天聖のせいで孤独だった彼女は、異種族間の不和が生む悲劇を誰よりも知っているはずだ。
「悪魔、天使、堕天使。人間。共存なんて言葉は綺麗だが、現実は泥沼だ。今日もどこかで、小さな火種がくすぶっている」
その時、俺の腰のギャバリオン・トリガーが震えた。短い警告音。緊急ではないが、出動要請の合図だ。
「…来たか」
「事件ですか」
「小規模な揉め事だ。この近くだ」
俺はトリガーを手に取る。表示された座標は、学園からそう離れていない廃棄区域。どうやら、種族間の諍いらしい。
「行くのですか」
「当たり前だ」
俺は二人に向き直る。
「面倒だとは思ってる。でもな、見捨てる理由にはならねえだろ」
「…そうですか」
絶花が小さく笑った。その目には、もう迷いはない。
「なら、私も行きます。天聖なしでも、守れるものは守れますから」
「俺も行くぜ。犬の散歩ついでにな」
レオルドが立ち上がり、尻尾を振った。
「お前ら、無理するなよ」
「太郎こそ」
絶花が俺の袖を軽く引いた。
「無茶ばかりして…見てるこっちの身にもなってください」
「わーってるよ」
俺は屋上のフェンスを乗り越えた。風が頬を撫でる。下の世界では、まだ小さな争いが続いている。リゼヴィムのような巨悪を倒しても、日常の小さな悪が消えるわけじゃない。それが現実だ。だが、それでも。
「蒸着」
俺はトリガーを構え、変身コードを唱えた。
黒金の装甲が身体を覆い、ギャバン・キングとなる。視界が切り替わり、世界がデータとして再構築される。
空へ飛び出す。風を切り裂く感覚。この重みこそが、俺の生きる場所だ。
「行くぞ。宇宙刑事ギャバン・キング、出動する」
俺たちは、まだ戦い続ける。この星に、日常という名の平和がある限り。その影で蠢く悪を、叩き潰すために。
青い空の下、黒金の流星が駆け抜けていく。俺たちの戦いは、まだ終わらない。
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王