サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
「さて、それじゃあ本題に入ろか」
八坂が居住まいを正した。九本の尾が彼女の背後で扇のように優雅に広がる。
「おたくらは、この世界の『裏』のことをどこまで知っとる?」
「さっぱりだ」
俺は正直に答えた。知ったかぶりほどタチの悪いものはない。
「ついさっきまで、妖怪なんてお伽噺だと思ってたぐらいだ」
「ほな、説明せなあかんな」
八坂は扇子をパチリと閉じた。
「この世界は、人間だけのものやない。人間、妖怪、そして――三大勢力。この三つが、見えへん均衡で成り立っとるんや」
「三大勢力?」
絶花が俺の後ろから顔を覗かせた。まだビクビクしているが、興味が勝ったらしい。
「そや。まずは悪魔。人間と契約を交わし、魂を報酬に願いを叶えるし、以外と人間社会に溶け込んでいるんやで」
悪魔。魂の契約。まるでファウストだ。いや、この世界ではそれが現実なのか。
「次に堕天使。もともとは天使やったが、神に反旗を翻して堕とされた連中や。光と闇の間で、人間社会に紛れて暗躍しとる。油断ならん奴らばかりやな」
堕天使。神に背いた天使。それもまた、マンガの中だけの話じゃないらしい。
「最後に天使。神様の御使いや。天界のシステムを管理し、奇跡を司る。組織としては一番硬いが、硬いがゆえに融通が利かん。今回のオロチ騒動にも、たぶんまだ気づいてへんやろ」
八坂が小さくため息をつく。
「はぁ…」
俺は頭を抱えた。悪魔に堕天使に天使。妖怪に、果ては宇宙怪獣。世界は、思っていたよりずっと広い。
「ってことは、俺たちが巻き込まれているのは、ただの怪獣騒動じゃなくて…」
「そや。この世界のパワーバランスそのものを揺るがす大事や。あのオロチは、あきらかに外側からの介入やった。タルタロスとかいう奴が、そこに一枚噛んどるんやろ?」
「ああ、ゼロが言っていた。アブソリューティアンの戦士だってな」
『並行同位体をかき集めて、自分の軍団を作っているんだ』
ゼロの声がブレスレットから響く。
『俺の知る限り、あいつは戦力になりそうなものを時空を超えて探している。この世界のオロチも、その一つだ』
「なるほどな」
八坂が深く頷いた。
「せやったら、なおさらや」
彼女の金色の瞳が、真剣な光を帯びる。
「おたくらのことや。ウルトラマンゼロは、この世界の理の外側から来た存在や。三大勢力のどいつも、こんな力は知らへん。知られたら、どうなると思う?」
俺は黙って考えた。欲に駆られた悪魔。力に飢えた堕天使。秩序を盲信する天使。どいつもこいつも、ゼロの力を欲しがるだろう。
「奪いに来るか?」
「それだけやない」
八坂の声が、一段と低くなる。
「利用できるなら利用する。できないなら――消そうとする」
絶花がはっと息を呑む。俺の背中に隠れたまま、彼女の手が俺の服を強く握りしめた。
「せやから、忠告や」
八坂は、俺たちの目をまっすぐに見据えた。
「ウルトラマンゼロのことは、なるべく秘密にしとき。特に、三大勢力の耳に入ったら面倒なことになる。うちは味方や。せやけど、みんながみんな、そうとは限らへんのや」
「…わかった」
俺は深く息を吐き出し、ゆっくりと頷いた。
「王の力は、ここぞという時に使うものだ。安売りするつもりはない」
「ええ返事や」
八坂が、満足げに微笑む。
「ほな、これからどうするんや?おたくらには、まだ戦いが続くんやろ?」
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王