サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

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偽物の王様 Part8

俺の右足が夜風を切り裂いた。

レオから叩き込まれた宇宙拳法の奥義。身体のバネを極限まで使い、遠心力と体重を乗せた回し蹴り。それはまるで隕石のような破壊力を秘めている。

 

ドガッ!!

 

偽ゼロの肋骨あたりに蹴りが叩き込まれる。重い手応え。骨がきしむ嫌な音がした。偽物はたまらず横へ吹き飛び、ビルの壁に突き刺さった。コンクリートの壁が蜘蛛の巣状にひび割れ、粉塵が舞い上がる。

 

「どうした偽物! 俺の顔真似た割には動きが甘いぜ!」

 

俺は着地と同時に間合いを詰めた。追撃だ。一瞬の隙も与えない。

 

偽ゼロが瓦礫の中から立ち上がろうとする。だが、遅い。

俺はゼロスラッガーを念力で射出した。二本の刃が螺旋を描きながら偽物の顔面へ迫る。

 

ギャイン!!

 

偽ゼロは慌てて腕をクロスして防御したが、スラッガーの回転力に耐えきれず体勢を崩す。そこへ俺が滑り込む。

 

「うおおぉぉっ!」

 

右の裏拳、左の肘打ち、そしてレオキックの要領で繰り出した跳び蹴り。連撃が偽ゼロの身体を弾幕のように襲う。一撃ごとに黒い火花が散り、偽物の悲鳴が夜空に響いた。

 

圧倒している。

姿と技をコピーしていても、戦い方の根源が違う。積み重ねてきた修練の厚みが、パワーとスピードの差として現れているのだ。

 

『はっ! いくら真似たって俺の背中は預けられねえってことだな!』

ゼロの笑い声が脳内で弾む。俺も思わず口角が上がった。

 

「とどめだ!」

 

俺は両腕をL字に組んだ。必殺技、ワイドゼロショットの構え。エネルギーが体内で爆発的に高まり、指尖から溢れ出す光の熱量が大気を焦がす。

 

――その時だった。

 

「……ククク、馬鹿め。本物だからといって、勝つと思うなよ」

 

瓦礫の中から、偽ゼロの呻き声が漏れた。

全身にひびが入っているはずなのに、その声には愉悦が混じっていた。偽物の目が、怪しく紫色に明滅する。

 

「見せてやろう……我が究極の擬態を!」

 

偽ゼロが天を仰ぎ、両手を広げた。

すると、夜空の暗闇そのものが沸騰したかのように蠢き始めた。黒い霧が、あるいはドロドロに溶けた金属のような液体が、空から滝のように降り注いできたのだ。

 

「なんだあれは!?」

 

俺はワイドゼロショットの発射を中止し、後退した。

黒い液体は偽ゼロの頭上から降り注ぐと、彼の身体にベトベトとへばりつき、瞬く間に形を変えていく。肩当て、胸当て、腕甲、脚甲……。それはまるで、生き物のように偽ゼロの身体に絡みつき、頑丈な鎧へと凝固していった。

 

漆黒の鎧。

禍々しい棘。

両肩に聳え立つ巨大な悪魔の角。

 

鎧を纏った偽ゼロの姿は、もはやウルトラマンではなかった。地獄の底から這い上がってきた暗黒の騎士。それも、途方もない邪悪なオーラを纏った、絶対的な絶望の象徴のような姿。

 

俺の背筋に、冷たいものが走った。

本能が警鐘を鳴らしている。あれはマズい。あれに触れてはいけない。

 

「あれは、なんだ?」

 

俺は思わず尋ねていた。ゼロの記憶の片隅にも、あんなおぞましい鎧のデータはない。

 

『……チッ』

 

ゼロが舌打ちをした。冗談めかした口調が一変し、戦士の硬い声になっている。

 

『あれはアーマード・ダークネス。かつて、エンペラ星人と呼ばれた奴が身に纏っていた暗黒の鎧だ。どうやら、あれもコピー品のようだがな』

 

「エンペラ星人?」

 

『ああ。光の国を滅ぼしかけた大宇宙の支配者だ。その鎧は、着用者の戦闘力を極限まで引き出すと同時に、いかなる攻撃も弾く絶対的な防御力を持つ……本物よりは落ちるだろうが、生半可な攻撃じゃ通らねえぞ』

 

最悪だ。ただの模造品ですら、あの威圧感だ。本物なら立ち上がることすらできなかったかもしれない。

 

「行くぞ……光の戦士よ」

 

暗黒の騎士が一歩踏み出した。

ズシン、という重い一歩。地面が揺れる。ビルのガラスが共振して砕け散る。

 

俺はとっさにゼロスラッガーを飛ばした。牽制のつもりだった。

 

ギインッ!!

 

しかし、スラッガーは鎧の肩当てに当たった瞬間、火花を散らして弾かれた。傷一つ付いていない。

 

「硬っ!」

 

俺は再び間合いを詰め、レオキックを放った。全力の飛び蹴り。昨夜の特訓で足が折れそうになるほど繰り返した渾身の一撃。

 

ドォォン!!

 

蹴りは腹部に吸い込まれた……が、まるで分厚いゴムと鉄の混合物を蹴ったような感覚。衝撃が完全に殺され、俺の足に鋭い痛みが走った。

 

「ぐっ……!」

 

一方、偽ゼロは微動だにしない。

暗黒の騎士はゆっくりと腕を振り上げた。その拳からは、黒い稲妻が奔っている。

 

「終わりだ」

 

重い一撃が俺の顔面を捉えた。

視界が一瞬ホワイトアウトする。巨体が宙を舞い、アスファルトの地面に叩きつけられた。

 

ドガァァァン!!

 

地面がクレーターのように陥没する。全身の骨が悲鳴を上げた。痛い。苦しい。息ができない。

 

(くそっ、攻撃が一切通じねえ……!)

 

俺はガタガタと震える腕で身体を起こした。

カラータイマーが点滅を始めている。チッチッチッという警告音が、焦燥感を煽る。

 

『相棒、このままじゃジリ貧だ。模造品とはいえ、長期戦は不利だぜ』

 

「わかってる! だったら!」

 

『あぁ、やるぜ!』

 

それと共にウルトライズアイを構える。

 

『『ゼロ・コスモライズ!』』

 

鳴り響く音声、それと共に、俺達はゼロコスモライズへと姿を変える。

 

「さぁ、ここからが反撃の時間だ!」

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
  • 幻想王
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