サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
俺の右足が夜風を切り裂いた。
レオから叩き込まれた宇宙拳法の奥義。身体のバネを極限まで使い、遠心力と体重を乗せた回し蹴り。それはまるで隕石のような破壊力を秘めている。
ドガッ!!
偽ゼロの肋骨あたりに蹴りが叩き込まれる。重い手応え。骨がきしむ嫌な音がした。偽物はたまらず横へ吹き飛び、ビルの壁に突き刺さった。コンクリートの壁が蜘蛛の巣状にひび割れ、粉塵が舞い上がる。
「どうした偽物! 俺の顔真似た割には動きが甘いぜ!」
俺は着地と同時に間合いを詰めた。追撃だ。一瞬の隙も与えない。
偽ゼロが瓦礫の中から立ち上がろうとする。だが、遅い。
俺はゼロスラッガーを念力で射出した。二本の刃が螺旋を描きながら偽物の顔面へ迫る。
ギャイン!!
偽ゼロは慌てて腕をクロスして防御したが、スラッガーの回転力に耐えきれず体勢を崩す。そこへ俺が滑り込む。
「うおおぉぉっ!」
右の裏拳、左の肘打ち、そしてレオキックの要領で繰り出した跳び蹴り。連撃が偽ゼロの身体を弾幕のように襲う。一撃ごとに黒い火花が散り、偽物の悲鳴が夜空に響いた。
圧倒している。
姿と技をコピーしていても、戦い方の根源が違う。積み重ねてきた修練の厚みが、パワーとスピードの差として現れているのだ。
『はっ! いくら真似たって俺の背中は預けられねえってことだな!』
ゼロの笑い声が脳内で弾む。俺も思わず口角が上がった。
「とどめだ!」
俺は両腕をL字に組んだ。必殺技、ワイドゼロショットの構え。エネルギーが体内で爆発的に高まり、指尖から溢れ出す光の熱量が大気を焦がす。
――その時だった。
「……ククク、馬鹿め。本物だからといって、勝つと思うなよ」
瓦礫の中から、偽ゼロの呻き声が漏れた。
全身にひびが入っているはずなのに、その声には愉悦が混じっていた。偽物の目が、怪しく紫色に明滅する。
「見せてやろう……我が究極の擬態を!」
偽ゼロが天を仰ぎ、両手を広げた。
すると、夜空の暗闇そのものが沸騰したかのように蠢き始めた。黒い霧が、あるいはドロドロに溶けた金属のような液体が、空から滝のように降り注いできたのだ。
「なんだあれは!?」
俺はワイドゼロショットの発射を中止し、後退した。
黒い液体は偽ゼロの頭上から降り注ぐと、彼の身体にベトベトとへばりつき、瞬く間に形を変えていく。肩当て、胸当て、腕甲、脚甲……。それはまるで、生き物のように偽ゼロの身体に絡みつき、頑丈な鎧へと凝固していった。
漆黒の鎧。
禍々しい棘。
両肩に聳え立つ巨大な悪魔の角。
鎧を纏った偽ゼロの姿は、もはやウルトラマンではなかった。地獄の底から這い上がってきた暗黒の騎士。それも、途方もない邪悪なオーラを纏った、絶対的な絶望の象徴のような姿。
俺の背筋に、冷たいものが走った。
本能が警鐘を鳴らしている。あれはマズい。あれに触れてはいけない。
「あれは、なんだ?」
俺は思わず尋ねていた。ゼロの記憶の片隅にも、あんなおぞましい鎧のデータはない。
『……チッ』
ゼロが舌打ちをした。冗談めかした口調が一変し、戦士の硬い声になっている。
『あれはアーマード・ダークネス。かつて、エンペラ星人と呼ばれた奴が身に纏っていた暗黒の鎧だ。どうやら、あれもコピー品のようだがな』
「エンペラ星人?」
『ああ。光の国を滅ぼしかけた大宇宙の支配者だ。その鎧は、着用者の戦闘力を極限まで引き出すと同時に、いかなる攻撃も弾く絶対的な防御力を持つ……本物よりは落ちるだろうが、生半可な攻撃じゃ通らねえぞ』
最悪だ。ただの模造品ですら、あの威圧感だ。本物なら立ち上がることすらできなかったかもしれない。
「行くぞ……光の戦士よ」
暗黒の騎士が一歩踏み出した。
ズシン、という重い一歩。地面が揺れる。ビルのガラスが共振して砕け散る。
俺はとっさにゼロスラッガーを飛ばした。牽制のつもりだった。
ギインッ!!
しかし、スラッガーは鎧の肩当てに当たった瞬間、火花を散らして弾かれた。傷一つ付いていない。
「硬っ!」
俺は再び間合いを詰め、レオキックを放った。全力の飛び蹴り。昨夜の特訓で足が折れそうになるほど繰り返した渾身の一撃。
ドォォン!!
蹴りは腹部に吸い込まれた……が、まるで分厚いゴムと鉄の混合物を蹴ったような感覚。衝撃が完全に殺され、俺の足に鋭い痛みが走った。
「ぐっ……!」
一方、偽ゼロは微動だにしない。
暗黒の騎士はゆっくりと腕を振り上げた。その拳からは、黒い稲妻が奔っている。
「終わりだ」
重い一撃が俺の顔面を捉えた。
視界が一瞬ホワイトアウトする。巨体が宙を舞い、アスファルトの地面に叩きつけられた。
ドガァァァン!!
地面がクレーターのように陥没する。全身の骨が悲鳴を上げた。痛い。苦しい。息ができない。
(くそっ、攻撃が一切通じねえ……!)
俺はガタガタと震える腕で身体を起こした。
カラータイマーが点滅を始めている。チッチッチッという警告音が、焦燥感を煽る。
『相棒、このままじゃジリ貧だ。模造品とはいえ、長期戦は不利だぜ』
「わかってる! だったら!」
『あぁ、やるぜ!』
それと共にウルトライズアイを構える。
『『ゼロ・コスモライズ!』』
鳴り響く音声、それと共に、俺達はゼロコスモライズへと姿を変える。
「さぁ、ここからが反撃の時間だ!」
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王