サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
「・・・ギレーヌ、あんたに聞きたい事がある」
「私から話をする事などはない。私がお前達を殺す為に来た」
「なら、その理由は何なんだ?俺に怨みがあるのか」
「ない」
俺の問いかけに対して、ギレーヌはきっぱりと答える。
その瞳はまるで揺るがなかった。
「だが、お前を殺す事を条件に私が求めた世界へと向かうのを報酬にしている」
「求める世界?」
「・・・エリスが幸せになった世界」
その呟きに込められた意味を、俺は察してしまう。
「・・・大事な奴だったのか」
「そうだな、大事な存在だった。僅かに戦ったが、お前はどこかエリスと似ている。けれど、殺さなければならないのは変わらないからな」
そうして、殺意を向けながらも律儀に答えてくれた。
「ふぅ、あんた、良い奴なんだな」
「何?殺そうとしている奴に向かって、良い奴だと?」
「ああ。殺そうとしてる奴に言われても嬉しくねえだろうけどな」
俺は肩をすくめた。ゼロの力を保ったまま、ギレーヌと対峙する。
「で、その報酬だ。自分が望む世界へ行ける可能性があるって、誰に言われたんだ?」
「……関係ない」
「関係あるだろ。俺を殺した後に、お前が使い捨てにされるかもしれねえぞ」
「……可能性を示した者がいる。平行世界を渡る技術を持つ者だ。あいつは、私の望む世界へ干渉できると言った」
ギレーヌの琥珀色の瞳が少しだけ揺れた。一瞬だけ。だが、すぐに殺意が戻る。
『相棒』
頭の中でゼロの声が響く。
『平行世界を渡る技術は存在する。俺も複数の宇宙を渡ってきた。だが、向こうの言葉を鵜呑みにするな』
「ゼロもそう言ってる。平行世界を移動した前例はある。だが、お前の望みが叶う保証はない」
「……保証など求めていない。可能性があるなら、それでいい」
「可能性だけのために人を殺すのか」
「殺す。エリスが幸せに生きている世界に行けるなら、それくらいの罪は背負う」
ギレーヌの声が低くなった。決意だ。揺るがない。大剣の柄を握る指に力が入る。
「悪いが、お前の其の罪はここで終わらせてもらう」
「ふん。言うじゃないか」
ギレーヌが踏み込んだ。
速い。さっきより速い。助走なしの一歩で間合いが詰まる。大剣が横に薙ぐ。風圧が頬を叩く。
俺はゼロスラッガーで受けようとした。だの、間に合わない。さっきの戦いで消耗している。反応が半歩遅れた。
(まずい)
剣先が俺の首元へ向かって迫る。
キンッ!
金属音が響いた。
目の前に金色と黒の光が交差している。
「太郎!!」
絶花だ。
刀身――天聖。黒い刀身――ベリアロク。二本の刀が交差して、ギレーヌの大剣を受け止めている。
「絶花!」
「本当に!太郎はいつも無茶をして!」
絶花が天聖とベリアロクを交互に操りながら、ギレーヌの剣を押し返す。金色の粒子が散る。黒い閃光が走る。
「二刀流……」
ギレーヌが一瞬引いた。だの、すぐに体勢を立て直す。
「増援か。だが、人数が増えればお前達が勝てる訳ではない」
「勝てるかどうかはやってみないとわからないでしょ」
そう、その桃色の瞳が鋭く光る。
「太郎は下がっていて」
「いや、俺も――」
「ここは、私に任せて」
「……わかった。任せる」
俺は下がった。絶花の背中を見る。
二刀流の少女と、獣族の女剣士。
剣と剣がぶつかる音が、商店街の路地に響き渡った。
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王