サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

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後悔と剣鬼 Part7

拳が降ってきた。

 

受けた。両腕を交叉して、ゼロの腕力で耐える。だが赤い形態の膂力はそれを軽々と押し潰しに来る。骨がきしむ。いや、骨じゃない。ゼロの体だ。でも痛みは俺のものだ。

 

地面が割れる。足がめり込む。膝から下が沈む。

 

「くそっ」

 

腕が悲鳴を上げている。カラータイマーの点滅が早い。あとどれくらいだ。三十秒か。二十秒か。

 

ダークロプスゼロが更に力を込める。赤い装甲が唸る。押し潰される。このままじゃ潰れる。

 

だが。

 

諦めるかよ。

 

「ゼロ!」

 

『ああ!』

 

声が重なった。俺とゼロの声が同時に鳴る。迷いはない。ゼロも同じだ。こいつは最後まで諦めない。だから俺も諦めない。

 

「やろう」

 

『やろう』

 

左手のウルトライズブレスレットが光る。ウルトライズアイを引き抜く。ブレスレット上のウルトラコスモレコードをスキャンする。

 

メロディが流れた。

 

変身メロディ。今まで聞いたことのない音が体の中を駆け抜ける。光が全身を包む。銀と赤が再構成される。赤いラインが走る。胸のカラータイマーが星型に変わる。

 

『ゼロ・コスモライズ!』

 

声が響いた。俺の声じゃない。ゼロの声でもない。ウルトラコスモレコードそのものが叫んだみたいだ。

 

光が晴れる。

 

俺は立っていた。ウルトラマンゼロコスモライズ。

ダークロプスゼロが拳を引いた。一瞬だ。一瞬の隙。

 

その時、見えた。

 

コスモレコードウォールが目の前に展開した。見えたこともない光景だ。壁一面に刻まれた歴代ヒーローの記録。その中で二つの光が脈打っている。

 

共鳴している。

 

俺を呼んでいるみたいに。

 

「お前らが来いって言うのか」

 

ウルトライズアイを向けた。スキャンする。光が反応する。

 

『ダイナ!』

 

一つ目の音声。名前が呼ばれる。

 

『コスモス!』

 

二つ目の音声。もう一つの光が応える。

 

二つの光が弾けた。

 

*  *  *

 

光は境内の方角へ飛んだ。

 

モブの元へ。

 

夏目の元へ。

 

俺には見えなかった。だがゼロの感覚が教えてくれる。二つの光が二人の人間と重なった。共鳴した。受け入れた。

 

*  *  *

 

モブの体から光が溢れた。

 

「えっ」

 

モブの声。驚いている。当然だ。突然全身が光に包まれて、体が巨大化し始めているのだから。

 

銀と赤。青のライン。スリーカラーストライプ。

 

ウルトラマンダイナ。

 

モブがウルトラマンダイナになった。

 

「うそ、僕が、ウルトラマン!?」

 

声が震えている。自分の手を見ている。銀色の巨大な手。光る体。確かにウルトラマンだ。

 

*  *  *

 

夏目の体も光に包まれた。

 

青と銀。優しい光。柔らかい色。

 

ウルトラマンコスモス。

 

夏目は両手を見て、それから空を見た。自分の体が光っている。巨大化している。コスモスの姿。

 

「嘘でしょう」

 

夏目の声も震えている。だがその声には驚きだけじゃない。何か懐かしいものに触れたような響きがあった。

 

*  *  *

 

俺は二人を見た。

 

巨大な体。銀色の光。二人とも自分の姿を見て呆然としている。だが立っている。倒れていない。

 

「モブ!夏目!」

 

声を飛ばした。二人が俺を見る。ダイナの目。コスモスの目。その奥にモブと夏目がいる。

 

「驚いてるのはわかる。後でいくらでも驚け」

 

俺はダークロプスゼロを見た。奴は赤い装甲のまま、新しい巨人の出現に反応している。だが攻撃は止まったままではない。構え直している。来る。

 

「今は立て。立てればいい」

 

ダークロプスゼロが動き出した。赤い形態のまま突っ込んでくる。

 

俺は前に出た。

 

「行くぞ」

 

踏み込む。コスモライズの体。力が今までと違う。コスモレコードを通じて歴代ヒーローの力が流れている。全部じゃない。だが今の俺には十分だ。

 

背中に二つの気配を感じる。ダイナとコスモス。モブと夏目。まだ動けないかもしれない。だが立っている。

 

それでいい。

 

「来い。偽物」

 

ダークロプスゼロの拳と俺の拳がぶつかった。衝撃波が山を揺らす。装甲が軋む。俺の腕が悲鳴を上げる。だが今回は押し負けない。

 

コスモライズの力が奥底で唸っている。

 

戦いはまだ始まったばかりだ。

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
  • 幻想王
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