サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
「行くぞ!」
叫んだ。俺とゼロの声が重なる。
その瞬間、体が変わった。
青い光が全身を駆け抜ける。赤と銀だった装甲が青へ染まる。頭部のラインが伸び、胸のカラータイマーが澄んだ蒼へ変わる。
「ルナミラクルゼロ!」
ゼロの声。同時にダイナの体も変わった。銀と赤のストライプが青へ流れ、青いラインが全身を走る。
「ミラクルタイプ!」
モブの驚いた声。だが体は動いている。俺の合図に合わせて変身した。意識はモブのままだが、ダイナの体が自然とタイプチェンジを受け入れている。
夏目のコスモスも、柔らかな光を纏う。だがこちらは青いまま。ルナミラクル形態に近いが、コスモスは本来この形態だ。
ダークロプスゼロが反応した。
奴の装甲が赤から青へ切り替わる。駆動音が変わる。高い金属音。模造ルナミラクルだ。
「来るぞ!」
ゼロの警告と同時に、ダークロプスゼロが消えた。高速移動。さっきと同じだ。だが今回は一人じゃない。
「右!」
叫ぶ。モブが反応する。ダイナの体が右へ滑る。ダークロプスゼロの光線が空を切る。
「夏目!正面!」
コスモスの両手が前に出る。バリア。光の盾。ダークロプスゼロの第二射が弾かれる。衝撃波。山肌が抉れる。だが二人は耐えている。
「よくやった!今だ!」
俺は分身した。
ルナミラクルの能力。鏡面のように体を分割する。二体、三体、四体。同じゼロが四方へ散る。
「ゼロスラッガー!」
頭頂の刃が飛ぶ。四体分。計八本の光刃が空中で弧を描く。ダークロプスゼロの周囲を取り囲む。
「当たれ!」
全方向からの斬撃。青い装甲に火花が散る。回避しきれない。模造とはいえ、多方向からの同時攻撃には対応できない。
「効いてる!」
モブの声。ダイナが拳を握る。
だがダークロプスゼロは倒れない。
青い装甲が赤く変わった。
「チッ!」
切り替え。駆動音が重くなる。模造ストロングコロナ。さっきの膂力特化形態だ。
ダークロプスゼロが咆哮した。機械的な音だが、確かに叫んでいる。俺の攻撃に怒っているのか。いや、怒りじゃない。計算だ。この状況で最適な行動を選んだだけだ。
「来る!」
奴が突っ込んでくる。赤い拳。さっきと同じ重さ。いや、それ以上か。四体に分身した状態じゃ受け止めきれない。
「戻るぞ!」
分身を解除する。一体に戻る。零距離で拳を受ける。腕が悲鳴を上げる。骨がきしむ。吹き飛ばされそうになる。だが踏みとどまった。
「次だ!」
叫ぶ。今度はこっちの番だ。
「ストロングコロナゼロ!」
青が赤に変わる。全身のラインが紅へ染まる。力が溢れる。膂力。打撃力。押し込みに特化した形態。
同時にダイナも変わった。青から赤へ。ミラクルタイプからストロングタイプへ。モブの声が響く。
「赤くなった!?」
「今は叫ぶな!力を感じろ!」
俺は叫び返す。ダイナの体が赤い光を纏う。コスモスも変わる。青から橙へ。ルナモードからコロナモードへ。夏目の声が震える。
「熱い……!」
「それでいい!」
ダークロプスゼロが突っ込んでくる。赤と赤。同じ形態。同じ力。だがこっちは三対一だ。
「叩き込むぞ!」
俺は踏み込んだ。ダークロプスゼロの拳と俺の拳がぶつかる。衝撃波。地面が割れる。だが今回は押し負けない。ストロングコロナの膂力。それにダイナとコスモスの力が重なる。
「モブ!左!」
「はい!」
ダイナが左から殴る。赤い拳。ストロングタイプの重い打撃。ダークロプスゼロの体が揺れる。
「夏目!右!」
「わ、わかりました!」
コスモスが右から体当たりする。コロナモードの力。押し込む。ダークロプスゼロが後退する。
「今だ!」
俺はダークロプスゼロの胸倉を掴んだ。持ち上げる。重い。だが持ち上げられる。ストロングコロナの力。そしてダイナとコスモスの力が背中を押す。
「吹き飛ばす!」
投げた。ダークロプスゼロが宙を舞う。地面に叩きつけられる。山が揺れる。土煙が上がる。
だが奴はまだ動いている。
起き上がる。その胸が光った。
「何だ……?」
胸の中央。今までなかった光が浮かぶ。円形の装置。ディメンションコア。ゼロが叫ぶ。
『止めろ!奴のディメンションコアが展開している!』
「ディメンションコア?」
『異空間への門だ。あれが開けばここごと別次元へ飛ばされる!』
冗談じゃない。ここには絶花もギレーヌもいる。モブと夏目も戻れない。そんなことをさせるわけにはいかない。
「阻止する!」
ダークロプスゼロの胸の光が膨らむ。白い光が渦を巻く。異空間への門。開きかけている。
「ゼロ!やれるか!」
『ああ!だが一人じゃ足りない!力を貸せ!』
「わかった!」
俺は右腕を構えた。ストロングコロナゼロの右腕。ゼロの必殺技を放つ体勢。
「モブ!夏目!力をくれ!」
二人が反応する。ダイナが背後に回る。コスモスも。
「こうか!?」
モブの声。ダイナの体から赤い光が溢れる。ストロングタイプのエネルギー。それが俺の背中に流れ込んでくる。
「これでいいのかな」
夏目の声。コスモスの体から橙の光が溢れる。コロナモードのエネルギー。それも背中から流れ込む。
熱。力。三つの力が一つに集まる。右腕が光る。赤。橙。金。混ざり合って一つの色になる。真紅。
『来るぞ!』
ダークロプスゼロが叫んだ。胸のディメンションコアが完全に展開する。白い光線。異空間への門を開く光。真っ直ぐこちらへ。
「来い!」
俺は叫ぶ。右腕を突き出す。三つの力が一点に集まる。ゼロの力。ダイナの力。コスモスの力。
「ガルネイトバスター!!」
真紅の光線が放たれた。
轟音。光が空を裂く。ダークロプスゼロの白い光線と正面からぶつかる。光と光。二つの奔流が拮抗する。
重い。腕が折れそうだ。だが支える。モブが背中を押す。夏目が背中を押す。三人の力。一本の光線。
「負けるな!」
叫ぶ。光線が太くなる。ダークロプスゼロの白い光が押し返される。だが奴も力を込める。白い光が再び押し寄せる。
「くそっ!」
腕が悲鳴を上げる。カラータイマーが点滅する。あとどれくらいだ。十秒か。五秒か。
「モブ!」
「はい!」
「もっとだ!全部出せ!」
「わ、わかりました!」
モブが叫ぶ。ダイナの体が輝く。赤い光がさらに流れ込む。
「夏目!」
「はい!」
夏目が叫ぶ。コスモスの体が輝く。橙の光がさらに流れ込む。
「行くぞ!」
俺は全ての力を右腕に込めた。ゼロの力。ダイナの力。コスモスの力。三つが混ざり合い、一つの真紅になる。
光線が膨張した。
巨大化した。太さが倍になる。三倍になる。ダークロプスゼロの白い光を飲み込む。
「これで終わりだ!」
叫ぶ。光線が白を押し潰す。ダークロプスゼロの胸元に到達する。
爆発。
真紅の光が弾けた。白い光が消える。ダークロプスゼロの体が光に包まれる。
「うおおおおお!」
奴の咆哮。機械的な声。だが確かに断末魔だ。装甲が剥がれる。内部の機械が露出する。光が溢れる。爆ぜる。
ダークロプスゼロが爆散した。
光が山を照らす。爆風が吹き抜ける。木々がなぎ倒される。だが俺たちの周囲だけは無事だ。三つの光が盾になっていた。
光が晴れる。
ダークロプスゼロの姿はなかった。跡形もない。ただ大きなクレーターだけが残っている。
「終わった……か?」
モブの声。ダイナの姿のまま立ち尽くしている。
「はい。終わったようですね」
夏目の声。コスモスの姿のまま空を見ている。
俺は右腕を下ろした。震えている。力が抜ける。膝が折れそうになる。だが倒れない。倒れるわけにはいかない。
次回の王は
-
妖怪王
-
機械王
-
怪獣王
-
幻想王