サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
家に戻ってから三日が経った。
めぐみんは毎日来る。朝起きてリビングに行くと、玄関の前で待っている。ソラが朝食を作っている間に、俺はめぐみんと一緒に原っぱへ行く。めぐみんは爆裂魔法を撃つ。撃った後はソラに運ばれる。帰ってきて朝食。昼はまた別の場所を探しに行く。夜は疲れて寝る。これが三日間のルーティンだ。
四日目の朝、俺はリビングのテーブルに王の駒を並べていた。
八枚の駒。王、女王、戦車、騎士、僧侶、兵士。それぞれの駒に意味がある。太郎は王。絶花は兵士。ソラも兵士。ギレーヌは騎士。あんなはまだ持っていない。
残るは女王、戦車、僧侶。
俺は僧侶の駒を手に取った。透明な水晶の中に、淡い光が宿っている。この駒は魔術に特化した役割だ。魔力を扱う者に適合する。今の俺の家臣の中で、魔法使いはいない。
「太郎」
背後から声がした。振り返ると、めぐみんが立っていた。今日も大きなつばの帽子。黒い衣装に赤い縁取りのマント。杖を手に持っている。
「何をしている」
「駒を見てた」
「駒?」
めぐみんはテーブルに近づいた。駒を覗き込む。赤い目が興味深そうに光る。
「これが王国の駒か」
「ああ。俺の家臣になるための証だ」
めぐみんは駒を見つめたまま動かなかった。沈黙が続く。俺はその沈黙を利用して、言葉を整理した。
「めぐみん」
「何だ」
「お前に話がある」
「話」
「ああ。座れ」
俺はソファを指差した。めぐみんは素直に座った。杖を膝の上に置く。背筋を伸ばしている。真面目だ。
「三日間見てきた。お前の爆裂魔法は本物だ。威力も規模も、あれは人間には出せない力だ」
「当たり前だ。私は紅魔族だ」
「だから聞きたい。俺の家臣にならないか」
めぐみんの目がわずかに揺れた。赤い瞳の中で、何かが動く。
「家臣」
「ああ。王国の家臣だ。俺の下で力を使ってくれ」
「その家臣というのは、何をするのだ」
「役割による。今の俺の家臣には、いくつかの役割がある」
俺は駒を一つずつ指差した。
「女王は俺の代わりに戦場を指揮する。戦車は前衛で敵を防ぐ。騎士は俺の隣で剣を振る。兵士は最前線で戦う」
「では、僧侶は?」
「僧侶はビショップと呼ばれる。魔力や術を扱い、仲間を支える役割だ」
めぐみんは少し考えるような表情をした。帽子のつばの下で、眉がわずかに動く。
「支える、か」
「ああ。前衛の仲間が倒れそうになった時、魔術で援護する。あるいは、敵の弱点を突く術を放つ。そのために魔力が必要だ」
「魔力を使う魔法使いが、必要ということだな」
「そういうことだ」
めぐみんの表情が変わった。さっきまでの真面目な顔から、少し嬉しそうな顔へ。赤い目が光る。
「つまり、私の魔法使いとしての力が、王国には必要だということか」
「ああ。爆裂魔法を使えるお前は、間違いなく戦力になる」
「ふふん」
めぐみんは鼻を鳴らした。胸を張る。マントを翻す。風はない。
「当然だ。爆裂魔法は全攻撃魔法の中で最高の威力を持つ。私がいれば敵など一撃だ。王国が私を欲するのは当然のことだ」
「…まあ、そうだな」
「僧侶という役割。私には似合わないかもしれないが、爆裂魔法を使える者として認められているのだと受け取ろう」
「認めてる。だから勧誘してるんだ」
めぐみんは立ち上がった。杖を握り直す。帽子のつばの下から俺を見下ろす。身長は低いのに、なぜか見下されている気がする。
「よかろう。私の力が必要ならば、喜んで手を貸そう。紅魔族の魔法使いとして、王国のために爆裂魔法を振るうのも悪くない」
「決まりだ」
俺はテーブルの上の僧侶の駒を手に取った。
「これを受け取れ。お前は王国の僧侶、ビショップだ」
めぐみんは駒を見つめた。水晶の中の光が、めぐみんの赤い目に映る。
「…重い」
「魂の重さだ」
「そうか」
めぐみんは駒を受け取った。掌の上で光が弾ける。水晶が溶けるように消えて、めぐみんの手の中に吸い込まれていく。
「うむ。力が入ってきた気がする」
「駒と同調した証拠だ。これでお前は正式に俺の家臣だ」
「家臣か。中々悪くない響きだ」
めぐみんは満足そうに頷いた。だが俺はまだ話が終わっていない。
「ただし、条件がある」
「条件?」
「爆裂魔法についてだ」
めぐみんの表情が少し固くなった。
「何だ」
「爆裂魔法は強い。威力は認める。だが、制御が必要だ」
「制御?」
「ああ。使う場所とタイミングを守れ」
俺は指を三本立てた。
「一つ。町の中では撃たないこと」
「わかっている」
「二つ。人のいる場所では撃たないこと」
「わかっている」
「三つ。戦闘時も、俺の合図と周囲の安全を確認してから撃つこと」
めぐみんの眉が動いた。不満そうだ。
「合図を待て、と?」
「そうだ。味方が近くにいる時に撃てば、巻き込まれる」
「私は狙える。外さない」
「外さなくても風圧と衝撃がある。近くにいれば吹き飛ばされる」
めぐみんは唇を尖らせた。だがすぐに戻す。
「…それは、そうだが」
「わかったら約束しろ」
「ちっ」
めぐみんは舌打ちした。だが目はまだ諦めていない。俺はその目を見た。こいつは約束する。だが約束したからといって満足するわけではない。わかっている。
「約束する」
「よし」
「だが!」
「だが?」
「家臣になれば、魔法を披露する機会が増えるのだろう?」
「…そうなるな。敵と戦う時にはお前の力が必要だ」
「ならば良い。機会があるなら我慢する。機会がなければ我慢しない」
「いや、そういう問題じゃない」
「機会があれば撃つ。機会がなければ撃たない。それで良いのだろう」
「そうだが」
「ならば良い。約束した」
めぐみんは勝手に話をまとめた。俺が何か言う前に、めぐみんは杖を突き出した。
「それで、次はどこで撃てるのだ」
「次?」
「次の爆裂魔法の場所だ。家臣になったのだから、早速力を見せなければならない」
「今すぐか」
「当然だ。紅魔族の魔法使いが加入したのだ。歓迎の爆裂魔法が必要だろう」
「いらない」
「必要だ」
「いらない」
「ならば私が決める」
めぐみんは玄関の方へ歩き出した。足取りは軽い。昨日まで運ばれていたのが嘘みたいだ。
「めぐみん。待て」
「待たない。場所を探すのだ」
「今は朝だ。朝から撃つのか」
「朝から撃つ。一日一発だ。今撃たなければ今日の分が無駄になる」
「無駄にならない」
「なる。私は一日一発撃つ。それが決まりだ」
めぐみんは振り返った。赤い目が輝いている。
「太郎。家臣になったのだから、次の場所を教えてくれ」
「まだ決めてない」
「決めろ」
「今日は午後に決める」
「今だ」
「午後だ」
「今」
俺はため息をついた。今日のため息は三回目だ。朝から三回。めぐみんのせいだ。
「わかった。午前中に場所を探す。だが今すぐ撃つな。まずは場所を確認してからだ」
「ならば早く行こう」
めぐみんは待たない。もう玄関に向かっている。
俺は後ろからついていく。ソラがキッチンから顔を出した。
「太郎さん。朝食は」
「後でいい。めぐみんが暴れる」
「わかりました。温めておきます」
ソラは呆れた顔をした。だがもう慣れている。俺も慣れている。三日で慣れた。これからも慣れ続けるのだろう。
めぐみんは玄関の前で待っていた。帽子のつばの下から、にやりと笑った。
「行くぞ太郎。次の爆裂魔法の舞台へ」
「舞台じゃない。場所だ」
「同じだ」
同じじゃない。だが言っても聞かない。俺は靴を履いた。
家臣第一号の僧侶は、爆裂魔法の場所を探して走り出した。
今日も一日一発の大魔法が鳴り響くだろう。俺はその運搬役兼監督だ。
先行きが不安だ。だが、めぐみんの背中は小さいのに、やたらと大きく見えた。
空中に浮かんでいるギャバリオン・トリガーに対して、驚きを隠せなかった。
しかし、そうしている間にも敵はこちらに向かっている。
「何がどうなっているのか」
そうして、ギャバリオン・トリガーを構えれば、宙に浮くギャバリオン・トリガーもそれに合わせて動く。
同時に引き金を引けば、全てのギャバリオン・トリガーから同時にエネルギー弾が放たれる。
「へぇ、面白いねぇ!」
そうして、威力と範囲が広がった事で、そのまま続ける。
数を常に増える敵に関しては、このままでは終われない。
「・・・待てよ」
そうして、俺はギャバリオン・トリガーを開く。
すると、同じ動作が見えて、そこには、何も装填されていない。
「やってみるか!」
そうして、俺は、それらのギャバリオン・トリガーにエモルギアを装填する。
『ゲキドー!』『ヒソウ!』『カンキー!』『キーグ!』
引き金を引けば、それと共に、他の4つのギャバリオン・トリガーを持つように現れたのは、4人のギャバン。
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王