サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

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爆裂 Part5

光が体を包んだ。

 

変身だ。ウルトラマンゼロの体。銀と赤。四十九メートルの巨人が町の外れに立つ。

 

足元の地面が揺れる。俺の体重だけじゃない。グランドタイラントが動いている。

 

『太郎。落ち着け』

 

「落ち着いてる」

 

『目が泳いでるぞ』

 

「うるさい」

 

言い返しながら構える。間合いを測る。グランドタイラントとの距離は五十メートル。遠い。だが奴の腕の長さを考えれば遠くはない。

 

グランドタイラントの右腕が動いた。

 

バラバの刃。いや違う。刃じゃない。鎌だ。

 

右腕の武器が変形している。さっきまで刃だったものが、関節のように曲がって鎌の形になっている。巨大な鎌。刃渡りだけでも十メートルはある。

 

「鎌かよ」

 

『バラバの武器だ。バラバは異次元人メトロン星人が改造した怪獣で、鎌と鉄球を使う』

 

「鎌と鉄球」

 

『ああ。両方来るぞ』

 

鎌が振り下ろされた。

 

速い。

 

俺は横へ跳んだ。鎌が空を裂く。風圧だけで肌が切れる。地面が割れる。鎌が土にめり込む。だが奴はすぐに引き抜く。遅い。いや遅くない。俺が遠いだけだ。

 

「避けた」

 

『だが次だ』

 

ゼロの声が早い。

 

左腕が動いている。さっきまで何もついていなかった左腕に、何かがぶら下がっている。鎖だ。鎖の先に鉄球。巨大な鉄球。

 

「左か!」

 

鉄球が振り回された。遠心力で伸びる。速い。鎌より速い。軌道が読めない。振り回している腕は見えるが鉄球がどこに来るかがわからない。

 

『太郎。右だ』

 

「右!」

 

右へ跳んだ。鉄球が左の空を掠める。風圧。重い。これに当たったら骨が砕ける。いやゼロの体だ。砕けない。だが吹き飛ばされる。

 

空中で体勢を整えた。ゼロの体は空中での姿勢制御が効く。宇宙拳法の基礎だ。レオに仕込まれた。いやゼロに仕込まれた。どっちだ。

 

「反撃する」

 

『やれるか』

 

「やる」

 

頭上のゼロスラッガーを外す。二本の光刃が頭頂を離れて飛ぶ。念で操る。軌道を描く。右から左へ。グランドタイラントの顔面を狙う。

 

当たる。

 

いや。

 

当たらない。

 

グランドタイラントが首を振っただけでゼロスラッガーを避けた。速い。四十九メートルの体であの反応速度。ありえない。

 

『速いぞ』

 

「わかってる」

 

ゼロスラッガーを戻す。二本が頭頂へ戻る。だがその間が空いた。

 

その隙を突かれた。

 

尾だ。

 

グランドタイラントの尾が動いた。さっきまで地面についていた尾が鞭みたいにしなる。アストロモンスの花が揺れる。エレキングの電気光が走る。いや違う。鞭だ。尾全体が鞭に変わっている。

 

新しく追加された武器。

 

「尾まで!」

 

尾が俺の足を払った。

 

足首に衝撃。重い。鉄球とは違う重さ。鞭の速さで叩かれた。足が宙に浮く。体が回る。地面が近くなる。

 

『太郎!』

 

ゼロが叫ぶ。

 

地面に叩きつけられた。背中から着地。ドン。山が揺れる。土煙が舞う。背中が痛い。肋骨がきしむ音がする。いやゼロの体だ。肋骨は折れない。だが痛い。痛みは俺のものだ。

 

起き上がろうとした。

 

尾が追いかけてくる。鞭みたいにしなりながら俺の上に落ちてくる。

 

避けた。転がる。だが体勢が悪い。まだ立てない。

 

グランドタイラントが一歩踏み出した。ドン。地面が揺れる。体勢が崩れる。立てない。

 

「くそっ」

 

『太郎。上だ』

 

「上?」

 

『上へ出せ。ウルトライズアイ』

 

ウルトライズアイ。左腕のブレスレットから引き抜く。右手に握る。トリガーに指をかける。

 

グランドタイラントの鎌が振り上がる。落ちてくる。速い。

 

間に合うか。

 

「間に合う!」

 

トリガーを押した。

 

メロディが響く。変身メロディ。さっきまでとは違う音だ。コスモライズの音だ。光が体を包む。銀と赤が再構成される。赤いラインが走る。胸のカラータイマーが星型に変わる。

 

『ゼロ・コスモライズ!』

 

声が響く。俺の声じゃない。ゼロの声でもない。光そのものが叫んだみたいだ。

 

鎌が落ちてくる。

 

だが俺はもうそこにいない。

 

上に跳んでいた。コスモライズの体が空中に浮いている。光の翼。いや翼じゃない。コスモレコードの光が背中から溢れている。

 

鎌が空を切る。地面が割れる。だが俺には届かない。

 

空中で体勢を整えた。コスモライズの体。力が今までと違う。奥底から何かがせり上がってくる。歴代ヒーローの力。コスモレコードに記録された光たち。

 

「やれるか」

 

『やろう』

 

ゼロの声に力が籠もる。

 

俺はグランドタイラントを見下ろした。

 

暴君が見上げている。角が光る。腹の器官が脈動する。腕の鎌と鉄球が揺れる。尾が地面を叩く。

 

全部使ってくる。全部。教科書に載っている武器を全部。

 

だが俺も全部出す。

 

コスモライズの光が山中に弾けた。

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
  • 幻想王
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