サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
光が体を包んだ。
変身だ。ウルトラマンゼロの体。銀と赤。四十九メートルの巨人が町の外れに立つ。
足元の地面が揺れる。俺の体重だけじゃない。グランドタイラントが動いている。
『太郎。落ち着け』
「落ち着いてる」
『目が泳いでるぞ』
「うるさい」
言い返しながら構える。間合いを測る。グランドタイラントとの距離は五十メートル。遠い。だが奴の腕の長さを考えれば遠くはない。
グランドタイラントの右腕が動いた。
バラバの刃。いや違う。刃じゃない。鎌だ。
右腕の武器が変形している。さっきまで刃だったものが、関節のように曲がって鎌の形になっている。巨大な鎌。刃渡りだけでも十メートルはある。
「鎌かよ」
『バラバの武器だ。バラバは異次元人メトロン星人が改造した怪獣で、鎌と鉄球を使う』
「鎌と鉄球」
『ああ。両方来るぞ』
鎌が振り下ろされた。
速い。
俺は横へ跳んだ。鎌が空を裂く。風圧だけで肌が切れる。地面が割れる。鎌が土にめり込む。だが奴はすぐに引き抜く。遅い。いや遅くない。俺が遠いだけだ。
「避けた」
『だが次だ』
ゼロの声が早い。
左腕が動いている。さっきまで何もついていなかった左腕に、何かがぶら下がっている。鎖だ。鎖の先に鉄球。巨大な鉄球。
「左か!」
鉄球が振り回された。遠心力で伸びる。速い。鎌より速い。軌道が読めない。振り回している腕は見えるが鉄球がどこに来るかがわからない。
『太郎。右だ』
「右!」
右へ跳んだ。鉄球が左の空を掠める。風圧。重い。これに当たったら骨が砕ける。いやゼロの体だ。砕けない。だが吹き飛ばされる。
空中で体勢を整えた。ゼロの体は空中での姿勢制御が効く。宇宙拳法の基礎だ。レオに仕込まれた。いやゼロに仕込まれた。どっちだ。
「反撃する」
『やれるか』
「やる」
頭上のゼロスラッガーを外す。二本の光刃が頭頂を離れて飛ぶ。念で操る。軌道を描く。右から左へ。グランドタイラントの顔面を狙う。
当たる。
いや。
当たらない。
グランドタイラントが首を振っただけでゼロスラッガーを避けた。速い。四十九メートルの体であの反応速度。ありえない。
『速いぞ』
「わかってる」
ゼロスラッガーを戻す。二本が頭頂へ戻る。だがその間が空いた。
その隙を突かれた。
尾だ。
グランドタイラントの尾が動いた。さっきまで地面についていた尾が鞭みたいにしなる。アストロモンスの花が揺れる。エレキングの電気光が走る。いや違う。鞭だ。尾全体が鞭に変わっている。
新しく追加された武器。
「尾まで!」
尾が俺の足を払った。
足首に衝撃。重い。鉄球とは違う重さ。鞭の速さで叩かれた。足が宙に浮く。体が回る。地面が近くなる。
『太郎!』
ゼロが叫ぶ。
地面に叩きつけられた。背中から着地。ドン。山が揺れる。土煙が舞う。背中が痛い。肋骨がきしむ音がする。いやゼロの体だ。肋骨は折れない。だが痛い。痛みは俺のものだ。
起き上がろうとした。
尾が追いかけてくる。鞭みたいにしなりながら俺の上に落ちてくる。
避けた。転がる。だが体勢が悪い。まだ立てない。
グランドタイラントが一歩踏み出した。ドン。地面が揺れる。体勢が崩れる。立てない。
「くそっ」
『太郎。上だ』
「上?」
『上へ出せ。ウルトライズアイ』
ウルトライズアイ。左腕のブレスレットから引き抜く。右手に握る。トリガーに指をかける。
グランドタイラントの鎌が振り上がる。落ちてくる。速い。
間に合うか。
「間に合う!」
トリガーを押した。
メロディが響く。変身メロディ。さっきまでとは違う音だ。コスモライズの音だ。光が体を包む。銀と赤が再構成される。赤いラインが走る。胸のカラータイマーが星型に変わる。
『ゼロ・コスモライズ!』
声が響く。俺の声じゃない。ゼロの声でもない。光そのものが叫んだみたいだ。
鎌が落ちてくる。
だが俺はもうそこにいない。
上に跳んでいた。コスモライズの体が空中に浮いている。光の翼。いや翼じゃない。コスモレコードの光が背中から溢れている。
鎌が空を切る。地面が割れる。だが俺には届かない。
空中で体勢を整えた。コスモライズの体。力が今までと違う。奥底から何かがせり上がってくる。歴代ヒーローの力。コスモレコードに記録された光たち。
「やれるか」
『やろう』
ゼロの声に力が籠もる。
俺はグランドタイラントを見下ろした。
暴君が見上げている。角が光る。腹の器官が脈動する。腕の鎌と鉄球が揺れる。尾が地面を叩く。
全部使ってくる。全部。教科書に載っている武器を全部。
だが俺も全部出す。
コスモライズの光が山中に弾けた。
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王