サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

867 / 867
爆裂 Part6

コードの一つが光っている。淡い青。呼吸するみたいにゆっくりと明滅している。

 

『太郎。あれだ』

 

ゼロの声が近い。

 

『ブレーザーだ』

 

「ブレーザー?」

 

俺は空中で左手を構えた。ウルトライズアイを逆手に持つ。コードに近づける。スキャナーの光がコードを読み取った。

 

『ブレーザー』

 

声が響く。ゼロの声じゃない。システムの声だ。続けてゼロが言う。

 

『ウルトライズ!』

 

コードが弾けた。

 

光がブレスレットから溢れる。俺の体じゃない。コードから直接、別の何かへ流れ込んでいる。誰かに向かって。

 

俺は視線で追った。

 

光の帯が空中を走る。俺の体を通り抜けて、下へ。地上へ。めぐみんの立っている場所へ。

 

「めぐみん!」

 

俺は叫んだ。光がめぐみんを包んでいる。赤いマントが光の中に溶ける。帽子が飛ばされる。杖が地面に落ちる。

 

「何だこれは!」

 

めぐみんの声が光の中から聞こえた。驚いている。だが悲鳴じゃない。怒っている。

 

光が膨らんだ。

 

一瞬で大きくなった。人の大きさを超えて、家の大きさを超えて木の高さを超えて。

 

光が弾けた。

 

「!」

 

声にならない音が山に響いた。

 

光が晴れた。

 

そこに立っていたのは、俺の知っているウルトラマンじゃなかった。

 

銀色だ。だがゼロとは違う。銀色の肌の上に、黒い凹凸が走っている。鎧じゃない。筋肉だ。いや、皮膚だ。有機的だ。鎧を着ているわけじゃない。鎧そのものが体だ。

 

「何だこれ」

 

声が出た。俺の声だ。ゼロの体から出ているが、俺の驚きだ。

 

左右が違う。

 

左半身に赤と青の模様が広がっている。複雑だ。絡み合っている。右半身はすっきりしている。装飾が少ない。左右非対称。ウルトラマンは大体左右対称だ。だがこいつは違う。

 

頭部に透明な結晶が突き出ている。ゼロのゼロスラッガーとは違う。装飾じゃない。結晶だ。光を透かす。そして瞳がある。光を浴びて輝いている。ゼロの目とは違う。もっと野性的な光だ。

 

胸にカラータイマーがある。だが体に埋まっている。ゼロのカラータイマーは表面についている。こいつのは体の中に嵌め込まれている。筋肉の間に挟まっているみたいだ。

 

全体の印象は、騎士じゃない。

 

荒々しい。

 

未知の生き物だ。

 

四十七メートルの光の巨人が、めぐみんの立っていた場所に立っている。

 

「めぐみんか」

 

俺は叫んだ。声が山に響く。

 

巨人が動いた。振り返る。ゆっくりと。だが関節の動きが俺の知っているウルトラマンとは違う。なめらかじゃない。野性的だ。獣が振り返るみたいな動きだ。

 

「…何だこれ」

 

巨人の口が開いた。めぐみんの声だ。だが声が違う。めぐみんの声が巨人の体を通して響いている。腹に響く声だ。

 

「私が、これに」

 

めぐみんの声が震えている。だが恐怖じゃない。

 

「何だこれ!すごい!何だこれ!」

 

興奮している。

 

めぐみんは自分の体を見下ろした。銀色の手を広げる。赤と青の模様が腕を走っている。結晶が光る。瞳が輝く。

 

「すごい…!私が光の巨人に!」

 

「おいめぐみん。落ち着け」

 

「落ち着けない!私が巨人だ!四十七メートルの巨人だ!」

 

めぐみんは両手を握った。握った手を見て、また開いて、振ってみて、踏み出してみた。

 

「力がみなぎる…!これがブレーザーか!」

 

「ブレーザー。そうか。ウルトラマンブレーザーか」

 

「太郎!私の姿を見ろ!かっこいいぞ!」

 

「見てるよ」

 

「左右非対称だぞ!野性的だぞ!」

 

「わかってる」

 

「すごい!素晴らしい!我が名はめぐみん!紅魔族の魔法使いにして光の巨人!ウルトラマンブレーザーなり!」

 

名乗り始めた。四十七メートルの巨人が山中で名乗りを上げている。だが目の前にはグランドタイラントがいる。暴君がいる。

 

「めぐみん。前を見ろ」

 

「ん?」

 

めぐみんが前を向いた。グランドタイラントがいた。角が光る。腹の器官が脈動する。鎌が振り上がる。鉄球が揺れる。尾が地面を叩く。

 

「でかい」

 

めぐみんが呟いた。

 

「でかいな」

 

「私よりでかい」

 

「二メートルくらいでかい」

 

「二メートルもでかいのか」

 

「でかい」

 

めぐみんはブレーザーの体でグランドタイラントを見上げている。四十七メートルと四十九メートル。二メートルの差。だがその二メートルがでかい。角が高い。鎌が長い。鉄球が重い。

 

「だが」

 

めぐみんは杖を構える動作をした。ブレーザーの手には杖がない。だが手が動いている。杖を握る癖が残っている。

 

「私には爆裂魔法がある」

 

「あるな」

 

「ある。そして今私は巨人だ」

 

「だ」

 

「巨人の爆裂魔法。どうだ」

 

「どうと言われても」

 

「凄いに決まっている」

 

めぐみんは自信満々だ。ブレーザーの体で立っている。四十七メートルの光の巨人が、山中で胸を張っている。

 

だがグランドタイラントは待ってくれない。

 

暴君が咆哮した。

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
  • 幻想王
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(必須:5文字~500文字)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

赤龍帝に憑依転生した者(作者:自堕落無力)(原作:ハイスクールD×D)

 この物語は『ハイスクールD×D』の主人公、兵藤一誠に憑依する形で『ハイスクールD×D』の世界へと転生した男の話である。▼ ※Pixivでも投稿しています。


総合評価:2655/評価:6.89/連載:134話/更新日時:2026年10月25日(日) 17:54 小説情報

貴方の強さは私が知っている。(作者:魔女っ子アルト姫)(原作:ウマ娘プリティーダービー)

目が覚めたら貴方は……ウマ娘になっていた!!▼何が何だから分からないけど、頼りになる友達の力を借りながら前向きに生きて行こう!!▼RPG-7様より、ランページのAI作成イラストを頂きました。▼【挿絵表示】▼【挿絵表示】▼【挿絵表示】▼


総合評価:11512/評価:8.17/連載:684話/更新日時:2026年09月02日(水) 04:30 小説情報

インフィニット・ストラトス ~迷い込んだイレギュラー~(作者:S-MIST)(原作:インフィニット・ストラトス)

 自宅で遊んでいたら停電。気がついたら何故か篠ノ之束博士の秘密研究室という訳の分からない状況に放り込まれるオリ主。▼ しかも強化人間という素敵仕様。▼ そんな人間がISの世界で色々と苦労(?)をしていくようなお話です。▼ ▼ (現実×ACFA)→インフィニット・ストラトスという他の作者様の何番煎じか分からないような代物ですが、アニメに触発されて書いてしまいま…


総合評価:36287/評価:8.15/連載:277話/更新日時:2026年10月14日(水) 20:54 小説情報

BLEACH ―斬界の御厨子―(作者:tunagi)(原作:BLEACH)

黒崎一護には、昔から付き合いのある一人の少年がいた。▼その名は――御門朔夜。▼普段は浦原商店で気ままに暮らし、店番を頼まれては嫌がり、四楓院夜一とは軽口を叩き合う。▼一見すれば、少し変わった普通の少年。▼しかし、その正体は――死神だった。▼朔夜を鍛え上げたのは、元十二番隊隊長・浦原喜助と、元二番隊隊長にして瞬神の異名を持つ四楓院夜一。▼二人による常識外れの修…


総合評価:548/評価:6.19/連載:77話/更新日時:2026年10月23日(金) 13:56 小説情報

無個性として転生したので、仮面ライダーになります!(作者:姫神ららか)(原作:僕のヒーローアカデミア)

▼生前にて、全ての男が通ったであろう物に憧れを抱いた少年がいた▼仮面ライダー!それは全ての少年たちの心を掴んだもの!▼そして、大人にまで成長し、立派な社会人となったが...▼幼少期からの憧れである仮面ライダーになりたいと思い、電子系や制作系、工学系など、あらゆる物に手を出して、仮面ライダーを完成させようと夢見ていたが...▼ある子供が車に轢かれそうになったの…


総合評価:693/評価:6.59/連載:29話/更新日時:2026年10月18日(日) 21:40 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>