サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
コスモライズの力により、力と共鳴しためぐみんはブレーザーへと変身する事が出来た。
それでも、眼前にいる巨大な敵であるグランドタイラントに対して、未だに戦況は良くなった訳ではない。
「さて、こいつをどうにかしないとな」『太郎、言っておくが、このグランドタイラントの力はまだ未知数だ』
そうして、警戒するゼロの言葉の緊張感はこれまで以上にあった。
「タイラント、名前を聞いている限りでも暴君だと分かるが、それ程ヤバいのか」
『元々、こいつは6体の怪獣が合体して、誕生したタイラントは俺の親父であるセブンを含めたウルトラ兄弟を単体で倒した実績を持っている。そんなタイラントが、他にも様々な怪獣と合体した事で、その強さは桁違いだ』
「マジか」
そう言われ、改めてグランドタイラントの強さに対して、より構える。
「何を、そんなに怯える必要があるんですか、王!!」
「おっ王」
すると、これまでは呼び捨てにしていためぐみんが、自信に溢れた声と共に構えていた。
「我が爆裂魔法!そして、天体の力を合わせた時!倒せない敵はいないのです!!」
それと共にブレーザーが手を翳すと、その手には赤と青の二重螺旋の槍が現れる。
そのまま、めぐみんが意気揚々と回す度に、その力は増していく。
「これは」
『めぐみんとブレーザーの力が共鳴している。やはり、コスモレコードの中にあるウルトラマンの力と共鳴した者達の力が合わさる事で通常以上の力を発揮するのか』
「…ならば、俺達がやる事は決まったな」『ウルティメイトイージス』
俺の言葉に合わせるようにスキャンする。
それにより、コスモライズの姿から通常のゼロの姿へと一旦は戻る。
だが、本番はここからだった。
上半身に巨大な鎧、腕には身の丈はあるだろう剣。
それが合わさった事でウルティメイトゼロへと変身を完了する。
「めぐみん!でっかいの頼むぞ!」「任せてください!!」
「うおおおおおッ!!」
ドガアアアアン!!
ウルティメイトイージスの巨剣が、空気を裂きながらグランドタイラントの鉄球を真正面から弾き飛ばす。
重い金属音が夜空に響き渡り、俺の腕にズシンと衝撃が走った。
(重っ……!)
たかが鉄球一発。それだけのことなのに、まるで山が腕に落ちてきたような衝撃だ。いや、実際に山くらいあるんだろう、このデカブツ。
「相棒、油断するなよ。こいつの攻撃パターンはまだ全部出てない」
『分かってる。だが、こいつ——動きが予想以上に早い』
グランドタイラント。その巨体は、六体の怪獣が合体して生まれたタイラントに、さらにゴモラ、エレキング、ツインテール、バキシム、アストロモンス——計十一体分の怪獣能力が融合した暴君である。
ゴモラの角が頭頂から天を突くように伸び、エレキングの角が両脇に反り、ツインテールの二本の尻尾が背中から鞭のようにしなり、バキシムの無慈悲な顔面が胸元に埋め込まれている。アストロモンスの鎌が全身を覆い、そのムチが幾重にも連なって——。
(パーツが多すぎて、どこから来るか分からん……!)
「上だッ!!」
ゼロの警告と同時に、俺はバックステップを踏んだ。
ヒュンッ!!
頭上をカマが通り過ぎる。バキシムの顔面から伸びた鎌のようなカマが、俺の頭を刈り取ろうと振り下ろされたのだ。
あとコンマ一秒反応が遅れていたら、ウルティメイトイージスごと真っ二つだった。
「危なっ——」
ヒュオオオオオ!!
今度は鞭だ。アストロモンスのムチが、まるで生き物のようにしなやかに俺の胴を狙う。
「よっ!」
剣を返し、鞭の軌道を剣腹で受ける。ゴウッ、と火花が散った。だが、鞭は一本ではない。ツインテールの二本の尻尾が、左右から同時に迫ってきている。
(前後左右かよ!)
「タロウ!左だ!!」
『分かってる!!』
俺は巨剣を逆手に持ち替え、左の鞭を剣の腹で叩き落とす。ガギンッ!鋼と鋼がぶつかり合い、耳障りな音が鼓膜を震わせる。
だが、右の鞭が——来る。
ヒュンッ!!
「——くそっ!」
咄嗟の判断で体を沈める。鞭が頭上を掠め、夜空に銀色の軌跡を残した。冷たい風が頬を切り裂く。
(かすっただけだ。だが——次がない)
グランドタイラントは止まらない。鉄球、カマ、鞭。三種の攻撃をほぼ同時に、しかも角度を変えながら繰り出してくる。のだ。
「めぐみん!まだか!!」
俺は叫びながら、グランドタイラントの懐へ踏み込む。剣を横に薙いでカマの軌道を逸らし、その勢いのまま鉄球を剣で弾き返す。
ドガンッ!ドガンッ!
二度の衝撃。腕が痺れる。ウルティメイトイージスの鎧が軋みを上げる。だが、まだ耐えられる。
(あとどれくらいだ。あと何秒耐えれば——)
「王!! まだです、もう少しだけ待ってください!!」
めぐみんの声が遠くから聞こえる。振り返る余裕はない。だが、その声に焦りと——興奮が混じっているのを、俺は聞き取った。
(乗り気だな、あいつ)
もっとも、今の状況でそれを呆れられる余裕はないのだが。
「相棒、右肩に来るぞ!」
『見えてる!!』
エレキングの角から放たれる電撃。青白い光が弧を描き、俺の右肩を狙って走る。
「——チッ、避けきれないか!」
ゼロの判断は速い。だが、ウルティメイトイージスの巨体は小回りが利かない。全力で体を捻るが、電撃は右肩の鎧を掠めた。
バリバリバリッ!!
「ぐっ……!」
痛み。いや、痛み自体は鎧が和らげている。だが、痺れるような感覚が右腕を走り、剣を持つ手が一瞬、遅れた。
その一瞬を、グランドタイラントは見逃さない。
ドガアアアアン!!
鉄球が再び迫る。今度は——正面だ。
「くそおおおッ!!」
俺は剣を両手で握り直し、渾身の力で鉄球を打ち返した。
ガギンッ!!
火花と共に鉄球が弾かれ、グランドタイラントの胸元——バキシムの顔面に直撃する。
「……おっ?」
ドンッ、と鈍い音がして、グランドタイラントが初めて——ほんの一歩、後退った。
(効いた……?いや、気のせいか?)
だが、その隙を見逃す俺ではない。いや、見逃してはいけない。めぐみんが準備を終えるまで、こいつの注意を引きつけ続けなければならない。
「おい暴君!こっから出るのは俺だけじゃねえぞ!」
俺は剣を構え直し、グランドタイラントに向かって踏み出す。
一歩、二歩。重い足音が大地を震わせる。
(どれだけ耐えればいい。三十秒?一分?——いや、気にするな。やるだけだ)
グランドタイラントのバキシムの顔面が、ぎろりと俺を睨む。まるで「小さいな」と笑っているようにも見えた。
「笑ってんじゃねえよ、この——顔面野郎が」
『……相棒、お前そういうこと言うから後で痛い目見るんだぞ』
「うるせえ。余裕は笑いで作るもんだろ」
嘘である。余裕などどこにもない。だが、口に出すことで自分を保てるのなら、それでいい。
グランドタイラントの鞭が再びしなる。カマが振り上げられる。鉄球が回り始める。
——来い。全部来い。
俺は剣を握り直し、夜空に向かって吼えた。
「かかってこいよ、グランドタイラント!!」
「……ふふ、王ったら」
その声を遠く聞きながら、めぐみん——ブレーザーの手の中で、赤と青の二重螺旋の槍が、今や眩いほどの光を放ち始めていた。
「もう少し……もう少しだけ……」
スパイラルバレード。天体の力と爆裂魔法が重なる時、その槍は星の槍となる。
めぐみんの瞳が、赤く燃え上がる。
(王、もう少し待っていてくださいね——必ず、やりますから!)
次回の王は
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