サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
「めぐみん!今か!!」
俺の叫びが夜空を切り裂いた瞬間——背後から、眩い光が迫った。
「準備完了です、王!!」
振り返る。そこにいたのは、全身が紅と青の光に包まれたウルトラマンブレーザー。その両手に握られたスパイラルバレードは、もはや槍というより星そのものだった。赤と青の二重螺旋が高速で回転し、周囲の空気を蒸発させている。
(でかい…いや、これはもう兵器だ)
「王!今です!!」
「おう!!」
俺はウルティメイトイージスの装着を解除する。
カシュッ——!
上半身の巨大な鎧が分割され、パーツが展開していく。剣が消え、鎧が解け、ウルティメイトゼロの姿が変容していく。
「何を——」『相棒、まさか』
「やるよ」
ゼロの驚きをよそに、展開したパーツが再構築されていく。弓の形へ。
超弓状のファイナルウルティメイトゼロモード。
両腕が巨大な弓の骨格となり、ゼロの全身が弦を張るための台座となる。中央に光の弦が現れ、引き絞るべき矢の座が形成された。
「……これが」『ファイナルウルティメイトゼロモード……!』
ゼロの声が、初めて震えていた。いや、恐怖ではない。感動だ。自分の新たな姿を目の当たりにした驚きと高揚。
「めぐみん!矢を頼むぞ!!」
「はい!!任せてください!!この一撃に全てを——!!」
ブレーザーがスパイラルバレードを掲げる。赤と青の螺旋が一段と激しく回転し、轟音のような風切り音が響き渡る。
(すげえ威力だ。あれを直撃に受けたら——)
考えはそこまでだ。今は信じるしかない。
俺は左手を伸ばし、スパイラルバレードを受け取る。ずしりと重い。だが、ウルティメイトゼロモードの弓はその重さを物ともしない。
矢座にセット。
カシュンッ。
スパイラルバレードが弓に装填された瞬間、赤と青の光が弦と共鳴した。ブォン——という低い振動音が大気を震わせる。
「うおおおおお…!!」
俺は弦を引く。
引けば引くほど、光が膨れ上がる。スパイラルバレードの回転が加速し、赤と青の螺旋が一つに絡まり合い、眩い白い光へと昇華していく。
(重い。だが——この重さは、力だ)
全身の筋肉が軋みを上げる。ゼロの意識と俺の意識が完全に同調している。呼吸まで合っている。
『相棒——いけるか?』
「当たり前だ。いついけなかった?」
グランドタイラントが動く。俺たちの変形に気づいたのか、全ての武器を一斉に向けてきた。鉄球が飛び、カマが迫り、鞭がしなり、角から電撃が放たれる。
だが——もう遅い。
「行くぞめぐみん!!」
「はい!!エクスプロージョン——!!」
弦を放った。
ドォォォォォォン!!
世界が白くなった。
スパイラルバレード——いや、星の槍となったその一撃は、光の筋となって夜空を突き抜けた。
全ての攻撃を置き去りにする速度。鉄球もカマも鞭も電撃も、その光の前では止まった映像のように見えた。
グランドタイラントのバキシムの顔面が、初めて恐怖の表情を浮かべたように見えた。
(見えたか?俺には見えたぞ)
星の槍はグランドタイラントの胸元——バキシムの顔面の中心を狙い、一直線に突き進む。
ズガアアアン!!
直撃。
スパイラルバレードがグランドタイラントの装甲を貫いた。
ドスンッ——という重い音と共に、赤と青の螺旋がグランドタイラントの体内で回転し、その力を内側から解き放つ。
「……これで」『終わりだ』
グランドタイラントの巨体が内側から光り始めた。亀裂が全身に走り、そこから白い光が溢れ出す。
そして。
「……王」『ああ』
「やりましょう」『やったな、相棒』
ドォォォォォォォォン——!!
グランドタイラントが爆散した。
十一体分の怪獣能力を束ねた暴君が、星の光の中に溶けていく。夜空が昼のように明るくなり、衝撃波が大地を駆け抜けた。
俺はファイナルウルティメイトゼロモードを解除し、ふらりと膝をついた。
「……終わったか」
『ああ。終わった』
ゼロの声も、どこか安堵に満ちている。
「王〜〜〜!!」
後ろからドタンッと体当たりのような抱擁を受けた。めぐみんだ。魔力切れでふにふにの筈なのに、なぜか全力で飛びついてきた。
「やりました王!やりましたよ!!私の爆裂魔法と天体の力で倒しました!!」
「お、おう。まあそうだな」
「そうです!ですから私は凄いんです!褒めてください!!」
「……お前な、今この状況でそれを言うか」
だが、俺の口元は緩んでいた。否定できない。こいつの火力がなければ、この一撃は成立しなかった。
(素直に認めるのは癪だが——まあ、今回はだ)
「……よくやったよ、めぐみん」
「えっ」
めぐみんが顔を上げる。目を丸くしている。
「聞こえなかったか。よくやったって」
「……ふふ。ふふふふ」
めぐみんが笑い出した。魔力切れで顔色は悪いのに、その笑顔だけは妙に晴れやかだった。
「やっぱり王は私のこと認めてるんですね」
「……調子に乗るなよ」
夜空には、グランドタイラントの残骸が光の粒子となって降り注いでいた。
それはまるで、星屑のようだった。
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王