ツヴォルグ   作:zaq2

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第17話

「なんか、良い方法ねぇか?」

「……何なんだ?いきなり」

 

 いつものように、夕食時の酒場において、定位置で飯と酒をかっくらいながらも、グダってた席にモノクル獣人が現れた。

 

 ツマミとしての肉料理を口に入れ、油っ気を飛ばすように酒をかっくらっいながらも話を聞いてみる。

 

 どうやら、運送に関しての内容だったのだが、この街での運輸なんて、基本水運が基本で、そこから下流の領都で仕分けする格好だったはずだが……

 

 

「いやな、陸で運ぶ話がでてきてな、いったん領都に運び込むよりも陸路で運べば距離節約になるとかぬかされてな」

「……量、ハコベねぇだろ、それ」

「そこなんだよ、だから何か妙案が無ぇかとな、あ、この肉料理うめぇな」

「……勝手につまんでんじゃねーよ、自分で頼めや」

 

 

 妙案と言われてもな、運ぶことになるのは荷車しかない。

 それも引き車。

 

 引く力は決まってるから、効率を考えれば目算が出来る事にするぐらいだろうしな。

 

 

「……大量に一気に陸路で運ぶってのは限度あんだろ。パッと思いつく範囲でいえば、管理と効率ぐらいしか思いつかんわ」

「ほほぅ、それはいったい。ふむ、話を聞かせてもらおうか、エールオカワリ!」

 

 

 こいつのモノクルが光った気がした。

 やべぇ、こりゃぁ魔物の尾を踏んずけちまったか?

 

 とりあえず、思い出して(・・・・・)話をしたのは、運ぶ大きさの規格を決める事。

 

 いうなれば、運搬箱(コンテナ)運送、細かい所でも言えば荷載台(パレット)搬送という考え方である。

 

 コンテナの方で言えば、ちいさな長方体で倉庫程度の大きさの箱形状を最大とし、その半分、その半分、その半分という恰好にして寸法を決める。

 

 で、その規格の最大の奴は水運用を基本とする。

 んで、それを一個単位を最大を陸運用として区分けする。

 

 箱の規格を決めてやれば、積む船の大きさやらもそれを規定して作れるし、陸路にもそいつを乗せるだけの台車をつくっちまえばいい。

 

 さらに陸運用にいくつどんだけ運べるかは、引く頭数で勘定する事にして、どんだけ運べるかの基準試算もできるようにする。

 

 水運の方も、高く積み上げれる構造にしとけば、上積みで乗せれる様になるし、それで運ぶことも可能となるだろう。

 

 

 と、簡単に説明してたら、ダンマリを決め込まれた。

 まぁ、あいつの頭の中では、ソロバンを弾いてる所だろうがな。

 

 

 そんな奴を他所に、肉の煮込みを食らっては酒をかっくらう。

 うむ、美味い。

 

 

「運用面に関しての改革か、こりゃぁ盲点だったわ」

「……簡単にいやぁそういうこったが、ま、これをどうこうするのにはいろいろな所に手を回さなきゃならんしな、すぐに実現できる話でもないだろうな」

「逆に、これが浸透すりゃぁ運輸が大化けする。一考の余地は大いにある、か……」

「……ま、今からなら少量の数から試作してやるこったな」

 

 

 そうして、何やら考え込んだ後、モノクル獣人の野郎は「邪魔したな、これは勉強代と飯代だ」とテーブルに魔導白金貨を置き去りにして去っていった。

 

 つーか、こんな酒場の飲み食いで魔導白金貨が数枚って、釣りが大変だろうが。

 

 結局、支払いは自分のポケットマネーから支払うことになった。

 

 

   *   *   *

 

「ツヴォルグの旦那、ちょっといいっすか?」

「……あん?」

 

 翌日、モーニングを食べによった喫茶店にて、食後のコーヒーをしばいていたら、店長から声がかかった。

 

「新しいメニューなんですが、何か面白いのがないかなと」

「……はぁ?この前、考えてやっただろうに」

 

 前回教えたのは、食パンを半分まるまる使ったハニートースト。

 といっても、チョコと生クリームと蜂蜜まみれの糖質の爆弾とでもいう奴である。

 これが、もう、昼間限定にしたら爆売れだそうで、一躍ヒット商品になってしまった。

 

 現在は予約制という事になってるそうだ。

 

 だが、そうなってくると、他にも食べたい輩というのが出てくるわけで、代わりになる商品が何か無いかと問い詰められているとの事だ。

 

 

 まぁ、無い事もない。

 卵に、砂糖に、牛乳に、生クリーム、それに空気を一緒に混ぜて冷やす奴。

 これからの季節に、冷たい菓子というのは、さぞ人気が出るだろう。

 

 

「……ま、ない事も無いが」

「頼む!ほんと頼む!!一生タダ飯にしてもいいから!!」

「……そこはタダ酒にしてくれるなら」

「それはさすがに……」

「……チッ。調理用に良い奴仕入れてるくせに……なら、タダ飯にコーヒー無料だな」

「それなら……よし、それで頼むわ」

 

 

 という事で交渉成立。

 バニラが無い代わりに、チョコレートを使ってチョコレートアイス風なのを作ってみる。

 

 これ、何気に攪拌つらいのな……

 

 舌へ乗った後の滑らかさを出すためには、練り方が重要だなというのはわかったが、これがまた大変。

 

 堅さと滑らかさを両立させるために、空気を混ぜる内容にも困った。

 というか、泡だて器が欲しくなったので、急遽金属板を曲げて専用の丈夫なものを作ったわ。

 

 

 そうして、三日ほどかけて苦心惨憺して完成したチョコレートアイスもどきは、瞬く間に売れまくる結果となる。

 

 そして、ハニートーストにもオマケでついてくるという恰好になって更に売れているそうな。

 

 というか、そんなに甘ったるいの食べれる奴らの気が知れん。

 ワシから言わせたら、一口、口にふくめば、虹がでてきそうなレベルなんだが……

 そこに蜂蜜ぶっかける奴もいるとかで、もう信じられん……

 

 この世界の住人は、甘さに対しての耐性が無いのか?と疑うレベルである。

 

 まぁ、そのお陰で凶悪な甘さを他所に、生涯タダ飯ゲットという事になったと割り切るべきだろうか……

 

 

 ちなみに、砂糖はこの街の周辺で栽培されている専用の植物から生成されるので、意外と安価に手に入る。

 

 その反面、育てれないコーヒー豆の方が高いときてる始末よ。

 そして

 

 

 

 ワシが飲むバーグパスのコーヒーは苦い

 

 

 

 

 にしても、あちら此方から、ワシに相談事を持ち込んでくるの、なぜなのか

 

 

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