ツヴォルグ   作:zaq2

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第24話

「ぶぇっくしょん!!」

 

 

 吐息が白く湯気となる朝、寒さと盛大なクシャミで目が覚める。

 

 なぜ寒いのか?と自問する前に、視界に入ってきた情報から、ここが寝室ではなく見慣れた作業場の片隅で目が覚めていた。

 

 

 ……あー、作業中に寝ちまったか。

 

 

 作業台の上には、小さなブロックともいえる容器が数点。

 

 組立調整が終わっていないので、中身が見えている状況ではあるが、とりあえずのひと段落が終わった代物である。

 

 ちょいと起動させてはみれば、周囲が温かくなっていく感覚に囚われる。

 その温かさで、ブルリと身が震えるのを感じながら状況を見守る。

 

 それは「温石」の代わりに永続的に使えないかと思っては作ってみたものであるのだが、欠点というのも存在しており……

 

 

 ……アッツ!!こっちのノッチの方は、いきなりツメタッ!!

 

 

 片方は、見るからに赤熱しかけており、片方は霜が降りては白ずんでいっている。

 そんな驚が生じた時に、急激な熱や寒さを出していた装置の熱量(?)が途端に消えたと思えば魔力供給元となる魔石が石に変わっていた。

 

 

 ……駄目か

 

 

 熱い方を置いていた作業台(木製)は少し黒ずんではしまったが、とくに影響はなかったので問題はないだろう。

 

 それにしても、電流を弄ってという感じで寒暖両用の温度調整ができないかと思い付き、当初は一般的な魔力量の流量を弄ってとやってみてはいるのだが、うまくいかない結果となった。

 

 そもそも、両極端な結果が出るという、予想もできた結果でもある。

 

 どこかしらで上手くいっていない。

 計測用の機材もそんなにあるはずもなく、安定もしない。

 

 温度を調節するというのがとにかくムズカシイ。

 人が持つ制御でやりくりするには、かなりの集中力がいるかもしれないぐあいに微調整が厳しい。

 

 そこで、運よく手に入った素材と、よくある魔石を使っての交換式としてみたのだが……

 

 この場合、魔石に蓄電?蓄魔?とでもいうか、それが消費されては終了となるので、使い切りと割り切っては失敗して暴走した時にも何とかできるのだが、魔石は魔石で今度は制御が難しい。

 

 間に可変抵抗的な素材を入れてのスライド調整をしてみたのだが、調整代の幅がガバすぎるときていた。

 

 当初は距離での変動を探ってはいたが、素材も一定になっていないためにバラバラな結果となり、それならば積層的に段階をとる形(いうなれば、アナログ式をデジタル式)にしてみたのだが、それすらも入力の魔石の出力性能に左右された結果に至る。

 

 

 ……この制御方式も失敗か

 

 

 供給が過剰とでもいうのだろうか、供給元を安定させる構造をいれないと、どうしようもないなという結論に至る。

 

 

 ……そもそも安定化した電源みたいなものが欲しくなるな

 

 

 まずは、供給元の安定化が先決かと、思考を切り替えては作業を中断する。

 

 

 ……ふぅ、暇つぶし程度でも、興がのると夜遅くまでやっちまうな

 

 

 今やっている手慰みの思い付きでやっている魔導工学とでもいう内容。

 ふと材料に良さげな物が手に入ったので思いついてはやってみたという始末。

 

 そもそも、この世界の娯楽というのが無さすぎる。

 

 暇つぶしというか、手慰みとでもいうか、そういうのが酒やら食い物やら繁華街でのエトセトラと、あとはこういった趣味の・・・の・・・

 

 

「ぶぇっくしょん!!!!」

 

 

 ……うぅ、さみぃ、身体が冷えきっちまったか

 ……こんな時は暖かい風呂に入って一杯やるか

 

 

 そう思いついては、実験結果を忘れるかのように、風呂を沸かしつつキツイ酒を少し温めるかと酒蔵へと足を向けていた。

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