ツヴォルグ   作:zaq2

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第25話

「ぶぇっくしょん!ぶぇっくしょん!!ぶぇっくしょん!!!」

 

 鼻がグズグズしては、クシャミがとまらないままあれから数日後、発熱も追加しては意識が朦朧とし始めて、とうとうベッドから起き上がれずに寝込む状況になってしまっていた。

 

 体が気だるく熱があり、気を抜けば意識が飛びそうにもなる。

 思い当たる症状としては……

 

 

 ……こりゃぁ、重度の風邪をひいちまったようだな

 

 

 幸い、冷却機というか冷蔵庫もどきで氷を作っては、水嚢で冷やしてはいるのだが、これが中々に気持ちがいいと感じてしまっている。

 

 それほどに重症といったところだったが、そんな中

 

 

「ドワーフのおっちゃん、大丈夫か?」

「……大丈夫なように見えるか?」

「みえないね」

「ねー」

「ちゃんと寝てる?」

 

 

 オーガ神官の孤児院のガキどもが、掃除をしに来る日になっていたが、こちらがダウンしている姿をみて心配そうにはしてくれていた。

 

 ただ、ガキどもにうつしてしまっては、アイツに小言を言われそうでもあるので、今日の仕事は無しとした。

 

 

「……今日はもう帰っていいぞ、風邪をうつしたら悪いからな」

「俺ら、風邪なんて引いた事ないけどな」

「なー」

「どうせ酒飲んで、裸のままで寝てたんじゃね?」

「ありうる」

「……そこ、うっせえぞ!とっとと帰れ!」

「「はーい」」

 

 

 まぁ、その内容は一部否定はできない。

 酒かっくらって寝てたのは事実でもあるのだから……

 いかん、眠気が……

 

 

「神父様に連絡しとくか」

「だねー」

 

 

 熱による眠気なのか、そういう言葉が聞こえてきたような、聞こえてこないような……

 

 

 

   *   *   *

 

 

 寝起きというか、うっすらと目覚めた状況に、三つの影が視界に入る。

 なんだ?という疑問の他に新しい水嚢が作られていたのに気づいた。

 

 

「……これは」

「おや、気づきましたか」

「風邪引いたっていうから見舞いにきたぞ。ほら、果物だ。食うか?」

「風邪薬もってきたぞ、あと栄養がつきそうなものもな」

「大丈夫ですか?一応、快復の奇跡を捧げましょう」

 

 

 影は見慣れたいつものメンバーという存在だった。

 あれから、半日ほど経過した夕刻前になるが、何故か人の家に上がり込んでいる奴等。

 

 フォーマルモノクル獣人の奴は果物を持ってきたといいながら、さっそくという感じで刃物を取り出しては切り分けていく。

 

 魔族の奴は、薬袋を取り出しては、ほらよ。と手渡してきた。

 

 神官オーガの奴は、その薬を飲んでくださいね?と水のはいったコップを準備していた。

 

 

「……おう。すまねぇな」

「気にすんな。それよりも早く治せ」

「そうそう、ドワーフのおっちゃんがいねぇと酒飲んでてもなんかつまらんのよな」

「それは……そうですね」

 

 

 頂いた薬を飲み、快復の奇跡がきき始めたのか、意識も多少はマシになったかと思った時、空腹を感じていたので切り分けてもらった果物をかじる。

 

 

 ……って、これ、桃じゃねぇか?

 

 季節外れの今の時期にあるって、結構な値段かついてそうなんだが、フォーマルモノクル獣人は「気にすんな。腐らせるよりかはマシだ」と言っていたので、贈答品か何かが回ってきたのだろうか?

 

 

「ま、飯が食えるならもう大丈夫だろ」

「そだな」

「あとは、ゆっくりと療養してくださいね?」

 

 

 睡眠の邪魔になるだろうという事で、三人は言うだけ言って、渡すだけ渡し、そしてやることをやっては去っていった。

 

 

 ……なんか、一瞬の嵐の様な感じだったな

 

 

 そんな中、言われた様にベッドへと入ろうとした時、呼び鈴が鳴る。

 今度は何だ?と思って向かえば、そこには、まな板尖り耳と女史がいた。

 

 

「こんばんは、お見舞いに来ました」

「風邪を引いたときいてな。わが一族に伝わる秘伝の薬を持ってきたぞ!」

 

 

 そういってはズカズカと家に上がっては、強引に手渡されたのは魔族の奴がもってきてた薬とも違う、ちょっと色が飲みたくもない色をし、何か粘性が高そうな物が入っている瓶詰の液体だった。

 

 「その薬は効くぞ~、ほれ、飲め!飲め!」と自信ありげに言ってはいたが、"……味は?"と聞いたら視線をそらされた。

 

 そういば、女史がいないなと思ったら、何気に蜂蜜水を作っては差し出された。「その薬の後でどうぞ」と。

 どうやら、その女史もこの薬の餌食になったようである。

 

 

……仕方ない、好意なのだから飲むか

 

 

 意を決して飲んではみたが、粘性が舌の上にのこっては、苦みというか臭みというか、やっぱり苦みがやや強いというか……何とも言えない不味さを感じては、嗚咽をつきながら吐き出しそうになったが、女史から手渡された蜂蜜水でむりやり飲み干した。

 

 

「うむ!これで明日には快復しているだろう!」

 

 

 そう高らかにやり切ったという風に言っては、さっさと帰っていった。

 その間、女史は申し訳なさそうに頭を下げていたのが印象深かったが……

 

 

 なんというか、再び静寂が家に訪れたため、ふたたびベッドにて寝ようかと思った矢先、再び呼び鈴が鳴る。

 

 今度は何だ?と扉を開けると

 

 

「師匠!体調を崩されたと聞いてはせ参じました!!」

「やはり、酒ですぞ!薬酒をお持ちしましたぞ!」

「何を、てめぇのとこは苦い薬酒だろうが!飲みやすいワシの秘蔵薬酒がいいにきまっとる」

「なんだと!?良薬は苦しというだろうが!だからこその効果が得られるものだろうが!」

「……うるせぇ」

「ほんと、オジイ達がスイマセン……」

 

 

 もう、好きにしてくれと招き入れた後は、結局薬酒を飲まされて、あとは薬酒の味の違いの品評会がおきては、勝手に酒蔵の酒をもちだされ、見舞いで持ち込まれた果物や栄養をとれと置かれていった肉類を肴にしてはみなが酔いつぶれて眠っていった。

 

 ドワーフのおっさんたちによる突撃が、イビキサウンドに変わり、居間は何というかカオスな様相と変わり果ててしまった。

 

 

 ……ようやく静かになったか

 

 

 そうして、彼らの事は放り出しては、一人寝室へと向かってはベッドへと入り込む。

 

 

 ……やっと寝れるか

 

 

 そうして、瞼を閉じたら、そこから意識がなくなっていた。

 

 

 

   *   *   *

 

 

 

「ここでしたね?ツヴォルグの家は」

 

 

 深夜、誰も彼もが寝静まり、静寂という言葉が当てはまる時間帯に、一対の翼をも

つ人影がツヴォルグの家へと舞い降りた。

 

 

「体調を崩すというのが()()()()はずなのですがね」

 

 

 そう言いながらも、翼を持つものは寝室へと壁を通り抜けるかのように侵入していた。

 

 そうして、両手を掲げては祝詞とも思える"言の葉"を紡いでは、一滴の水滴をどこからともなく作り出し、その口元へと滴り落とした。

 

 その水滴は、ツヴォルグの口の中へと入っていっては、それまで寝苦しそうな寝息をしたものが、穏やかな寝息へと変化していった。

 

 その変化を見て、翼を持つものは安心した表情に変わり

 

 

「貴方からの貢ぎに対する施しですよ?また、美味しいものをお願いしますね?」

 

 

 そう言っては、その部屋から飛翔するかの様に消え去っていた。

 ただ、一つの白い羽をベッドの上に残して

 

 

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