ツヴォルグ   作:zaq2

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第33話

 聖女ご一行が訪れてからは街全体がお祭り騒ぎが起きては賑わっていった。

 

 訪問初日ですら聖女様を一目拝もうと、一体全体どこに住んでたんだ?という疑問を投げつけてくれるレベルの人たちでメインストリートはごった返したほどであった。

 

 迎賓館に入ってからは、ある程度の落ち着きを取り戻していったが……それでも、熱気が収まるという事はなく、その後も、ドンちゃん騒ぎでふるまわれる飲食物(主に酒)は、祝い酒と称しては色々と盛大に催された。

 

 こちらとしては、安価に酒が飲めたので、ドワーフのおやっさんらが"一緒にどうですか!師匠!"と突撃してきたので、飲み明かして過ごした訳なのだが、その後の再びのお披露目の際にどういった人なのかと見に行ったのが悪かった。

 

 

 

 その主賓となっている聖女様に"()()()()()()()()()()()()"さらに楽しめたはずではあったから。

 

 

 ……というか、酔いが冷めたわ

 

 

 まぁ、その聖女自体は、よくいそうな清楚系とでもいえる姿恰好してるので、そういう感じなんだろうと感じた。

 

 

 だが、それよりもだ。

 というか、そのアレだ。

 その聖女の近くにいた存在が問題であった。

 

 

 どこぞで見かけた"残念美人"らしき存在(似てるけど違う)が、うっすらと存在しているのかいないのか、微妙な匙加減な空気でいた事に二度見してしまった。

 

 そもそも、誰もかれもがその存在を認識してねぇんじゃねぇか?とさえ言えるぐらいのスルーっぷり。

 

 なのに、その似てる相手は周囲の事はおかまいなく、認識したコチラにまるで"見つけた!!"といった風に視線を向けては手を振ってきたりして……どうみても、"こっちこい"という仕草に見えたが、そこはみなかったことにする。

 

 

……こういうのは絶対に、とてつもなく"めんどくさい事”になるヤツだ。

 

 

 と、すぐに察しては、その手振りを気づかなかった事にしては、ドワーフのおやっさんたちに依頼があるからと、その場を一目散に離れ、依頼のあった厨房へとさっさと隠れては、作業だけにいそしんだ。

 

 

……とっとと終わらせて隠れよう。そうしよう。絶対にだ。

 

 

 そうして、完成したプリン(ホイップクリーム仕立て)とチョコレートババロア(ホイップクリームトッピング)、チョコレートケーキ(ホイップトッピング)の出すタイミングなどなどを厨房の担当に任せる。

 

 

 そうして、そそくさとその場を後にしては、ご一行が確実に目に触れない、来ない場所であろう場末の酒屋で飲んだくれては日がな一日の時間をつぶしておいた。

 

 

 

 

 

 

 

 何事も問題なく数日が過ぎていき、いつもの街の雰囲気が戻った風に思える翌朝

 

 

「おーい!お礼の酒をもってきてやったぞ!開けろぉ!」

「……朝っぱらからうるせぇな!代官のお前は忙しくねぇのかよ!!」

「礼の酒を持っていくのも仕事だ!」

「……それを理由にサボりたいだけじゃねぇのか?っと」

 

 

 朝一番から、玄関先でうるさく言ってくるフォーマルモノクル犬獣人。

 

 そもそも、"代官業を営んでいる奴が、こんなにフットワーク軽くていいのか?"と思いながらも、玄関の戸口を開ければ、フォーマルモノクル犬獣人+αの一団がやってきていた。

 

 

 なにせ、その+αとβの一団を見た途端、本当に目をまんまると見開いて、眠気がふっとぶとはこの事をいうのだろうか。

 

 

「初めましてツヴォルグ様。今代の「……それ以上言うな。たのむ、それ以上は……厄介事はご免こうむる」」

「ほらな?面白れぇだろ?こういう奴だけど信用はできるぜ?」

「代官様が仰られた通りになりましたね」

「……てめぇも何わらってやがんだ!!面白そうだから付いてきた口だろうが!!」

「そうとも言うが、驚いた顔がおんもしれぇ」

 

 

 クックックックと、声にもならない笑いをこらえそうで堪えてない犬獣人野郎をよそに、となりにたたずむ聖女とその取り巻きもとい護衛らしき人たち。

 

 

 そして、一番関わりたくなかった"聖女様の背後にうっすらと浮かぶ残念美人"に似た存在。

 

 

……なるべく見ないようにしていたのに、否が応でも認識させられてるうっすらと見える存在をどうすりゃいいんだよ。

 

 

 一瞬、呆ける様に逡巡してしまっていたが、客観的にみればあれだ、周囲に人気が無い時分だが、こんな一行が家の前に居続けたられたのを見られて、近所に変な噂がたつのも困る。

 

 

「ハァ……とりあえずお前ら全員中に入れ。こんなに人が玄関前にいたら、何事かと思われちまうわ」

「おぅ、邪魔するぜ!」

「ありがとうございます。お言葉に甘えまして。みなさんも、よろしいですね?」

「「「ハッ!!」」」

「あ、聖女さんたちよ。こっちが一応客間な。んで、茶ぐらい出させるから」

「……おい、お前が仕切るのかよ」

「お前がそういう気が利ける対応ができるとは思えんからな」

「……ケッ、いっとけ」

 

 

 そうして、客間に案内される一団をよそに、湯を沸かしにいそしむ。

 

 

 ……聖女さんたちとお付には、しゃーねぇからオーガ神官の野郎がおいてった上等な紅茶でいいか、あと、あのワンコロにはクッソ熱いしっぶい茶をだしてやるわ。

 

 

 そんな思いをしながらも、腹のところからグゥ~という気の抜けた音がなり気づく。

 

 

 

 ……つーか、昨晩から何も食ってなかったな

 

と。

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