「………待つニャ!………」
「はい?」
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最近クロエの様子がおかしかった。
気になったミャーは、クロエに聞いてみた。
「最近、そんな機嫌が良くてどうしたのニャ?」
「んニャ?ムフ……アーニャもいつかわかる時が来るニャよ」
「いつかっていつわかるニャ?」
「それは……アーニャが大人になったらニャ」
「?もうミャーは大人ニャ!……なんでわからないニャ?」
「まあ、好きな人の一人や二人を作るニャよ」
(……好きな人……)
ミャーは今まで考えたことがなかった、目の前のことだけに必死で周りのことにあまり気が回らなかった。だからこそわからなかった。だからミャーはクロエの行動を尾行することにしたニャ。
そして昨日。
ミャーは見てしまった。
クロエと白い髪をした青年が、朝一緒にいたことを。
その日以降、たまに見かける青年を目で追っていってしまっている。…別に好みでもなければ、気になりもしない……だけど、あの変態クロエを変えてしまった青年が妙に気になってしまった。だが好機は彼のからやってきた。
早朝、青年らしき声がした。
流石に…とは思ったが予想は的中していた。
青年は来ていた。そして外に出て、少年と初対面して色々と話した。(前回参照)
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「………待つニャ!………」
「はい?」
そして今に至る。
「おミャーは、クロエの何処が好きニャ?」
「ふぇ?……何処って……」
クロエが年下が好きなのは知っていけど、ミャーはクロエのことが良く理解できないニャ。
ショタ?とかいう年下の男が好きなんて……それにこんなにもオドオドしていて、正直面倒くさいニャ。
「大人っぽいところですかね?」
「…………..?」
「あの、クロエがニャ?」
「はい、そうですけど……」
そんなわけあるか!と思ってしまった。
「そ、そうなのかニャ」
変なやつを好きになる奴は、もっと変な奴だとミャーは思った。
「………!最後にミャーと少し手合わせをして欲しいニャ」
「手合わせ?」
「そうニャ、ミャーはおミャーがクロエに見合うか確かめさせてもらうニャ」
アーニャは思った。
別に反応がオドオドしているだけで、結構の実力者なのかもしれないということ。
「見合うかですが?」
「ミャーは、正直なんでクロエがおミャーのことが好き?かがわからないニャ、だから実力で確かめさせてもうニャ」
「それは構わないですけど、僕は冒険者ですよ?」
「大丈夫ニャ!ミャーも元冒険者ニャ!」
「そ、そうなんですね」
ベルは思う。もしかしたら、豊穣の女主人の方々は大抵が冒険者でそれも実力も相当高い人ばかりではないのかと。
「それじゃあいくニャ!」
「はい!……って、!まっ……」
…っあ、死んだ
と、ベルは咄嗟に判断してしまった
バコォン!
周りに轟音が響き渡った。
考える隙もなくベルは、吹き飛んでしまった。
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僕は、痺れる体と共に酷くダル思い体を徐々に起こす。
「……っん、ぃてて……」
「あ!起きたにゃ!」
「………!アーニャさん」
思い出した。僕はアーニャさんに吹き飛ばされてしまったのだと。
「その、ごめんなさいニャ」
酷く落ち込んだ様子のアーニャさんが僕に謝ってくる。
「?」
「ミャーが急に、手を出して……」
「そのことでしたら、大丈夫ですよ」
「そ、それでもニャ」
「こんな傷は、慣れっこですから大丈夫です!」
ベルはアーニャに大丈夫という主旨を伝える。
「そうなのかニャ」
「はい」
アーニャは今まで、勘違いをしていたことに気づいた。
ベルという青年は、臆病で、弱っちい、少しでも加減を誤ったらすぐに死んでしまいそうなほどに。
それでもアーニャは知ってしまった「ベル・クラネル」という少年の心優しさに。
「因みに、お店の方は……」
「そんなニャの、サボってるに決まってるニャ!」
「アーニャさんこそ危ないじゃないですか?」
「沢山サボってるから問題はないニャ!」
「じゃあおあいこですね」
「おあいこ?」
「はい、おあいこです。アーニャさんが僕のためにお店の時間を割いてくれたっていうことで、このお話は、二人とも悪いのでおあいこです。」
「え?……それは!」
アーニャが、自分が、悪い!っと言おうとしたら、ベルの指によって止められる。
「アーニャさん……気にしないでください、可愛らしいお顔が台無しです!」
「んん……わかったニャ」
アーニャは、赤面させ俯きながら返事をする。
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「ああ!やってしまった、」
結局何事もなく終わったがベルは、今更ながらも羞恥心が芽生えてきた。
最近クロエからモテる男の、慰め方を教えてもらった、ベルはそれを丁度アーニャへ実践してみたのだ。
けれど結果は失敗。
アーニャさんは顔を真っ赤にしていた。
「あれは、怒っているに違いない、」
今度謝ろう、と、ベルは思った。
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アーニャside
「こらぁ!アーニャささっと動け!」
アーニャというと、先ほどの出来事は頭から離れずに仕事に支障をきたしている。
「………….っぁ、忘れてたニャ」
この通り、やられてしまっている。
「ったく、あんたいつもに増してアホだよ?」
「ん、そうかもニャ」
皆が、キョトンとしていた。
普段の、アーニャなのであれば思いっきり反発をしているところを受け流しているから。
「アーニャどうしちゃったの?」
っとシルがアーニャに問うと、
「…………実は………」
「ええぇぇぇぇ!」
「ちょ!静かにするニャ」
アーニャはことの顛末をシルに話すと驚かれてしまったこと。シルもクロエが今アツアツなのは知っている。
だからこそ驚いてしまった。
「ヘェー、あのアーニャがねぇ」
「ち、違うニャ」
「でも、気になるから頭から離れないんでしょ?」
「それはそうだけど……」
「で、アーニャはどうしたいの?」
「それは、出来ればもう一度話をしたいニャ、」
「ふーん」
シルは、クロエの事を知っているからこそ悩ましかった。
アーニャは、男っ気のない子だったからこのチャンスはもう二度とないと思ったからだった。
「アーニャ、明日の早朝に広場に行ってみて」
シルは決断した、アーニャを応援すると。
別にクロエが嫌いなわけではない、クロエの事だって応援してあげたい、けれどアーニャも見捨てる訳には行かない……….だって二度とないチャンスだから。
「んニャ?……わかったニャ」
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後日
「んん〜どうしよう」
ベルは、昨日のアーニャへの行動について後悔で埋め尽くされている。
「なんで僕はこんな事をしてしまったのだろう………」
「悩んだってどうにもならないし、行くか」
ベルは日々の日課である、豊穣の女主人への特訓へ向かう。
「どうやって謝ろう」
ベルは頭の中で謝罪の仕方をイメージしていた。
(すいませんでした!)
これじゃあ少し単純すぎるしきっと許してくれないだろう
じゃあ追加で(何かお詫びでも……)
これだ!これをいえば、きっと反省も伝わってくれるだろう!
そして
「もう広場まで来ちゃったのか」
頭の中で、イメトレをしていたら気づかない間に広場まで来てしまっている。
「それにしても早朝の広場は静かでいいなぁ」
ベルはそうして周りを見渡す。
「………………っ!」
一瞬にして思考が停止した。
「……なんで……」
そう、いる筈もないアーニャがいた。
「まだ、バレていないみたいだし、」
ベルは、音に再三の注意を払い、その場を後に後にしようとする。
「…………バキッ!…………」
あっ、やってしまった、落ちている枝に気づかず踏んでしまった。
「あっ!いたにゃ!」
ベルはもう諦めた表情をする
そしてベルを見つけたアーニャは目にも止まらぬ速さでベルの前に行く。
「やっと見つけたニャ!」
「………………………」
(どうしよう、どうしよう、いや待てよ?急に謝ったらおかしいしそもそもアーニャさんが怒っているのかすらもわかっていない、だから…………でも、もうどうにでもなれ!)ベルは決断をした、その時間わずか0.1秒。
「アーニャさん!すいませんでした!」
「?なにがニャ?」
「お詫びにその………えっ、なにがって昨日の事を怒って僕を待っていたんじゃ無いですか?」
「別に怒っていないニャ」
「っえ……」
「だから気にしなくていいニャ!」
ベルの予想は、結果外れてしまった
別に怒っているわけではなかった。
だが、この結果で一つの疑問が浮かび上がる
怒っていないなら何故待っているのかを、気になったベルはアーニャ聞く。
「じゃあなんで僕を待っているんですか?」
「あ……それは……おミャーと話をしたかったニャ」
「????」
「別に意味はないニャ!ただ話をしたかっただけニャ」
「余計に疑問ですよ?」
別に怒ってもいないのに、なぜ僕と話したがるのだろう。
「なんか昨日の後からおミャーのことが気になって仕方なかったニャ」
アーニャは語りだす、ベルと話しをしたい理由を。
「そうなんですか?」
「そうニャ、それに…なぜかおミャーの事を考えると胸が痛くなるニャ」
「え?!危ないじゃないですか!病院ですよ!」
「だ、大丈夫ニャ……別に変な病気じゃないニャ」
「じゃあなんなんですか?」
「なんか、シルからは恋煩い?って聞いたにニャ」
恋煩い、僕もたまに聞いたことがある、その人が好きすぎるあまりに病気のような感じになってしまう状態のことらしい。
じゃあアーニャさんは僕のことが好きって……ことの重大さを理解したベルはだんだん顔を真っ赤にしてしまう。
「ん?おミャー顔が真っ赤ニャ」
「え?!顔が」
実際に顔を触ってみると、確かに少し熱を帯びている感じがする。それでもアーニャはすかさず攻撃をしてくる。
「因みに、さっきおミャーお詫びにとか言ってなかったニャ?」
「確かに言いましたが、」
「じゃあ今度ミャーとお出かけをしろニャ!」
「……お出かけ?」
「そうニャお出かけニャ」
要はデート、聞き間違いであって欲しいと願ったが、そうではなかったらしい。
でもベルは思い出す、クロエという存在を……てか今までのトラブルが多すぎて気にしている暇がなかった。
「でも僕には、クロエさんがいますし」
「つれにないニャ…じゃあ一回だけでいいからニャ!」
「でも、ダメですよ」
「お願いニャ!一生なお願いニャ」
アーニャが懇願をするかのように言ってくる。でもベルは鬼じゃないましてや優しすぎるレベルだ、それが裏目に出てしまう。
「じゃ、じゃあ一回だけですよ?」
(事情を話せばクロエさんもわかってくれる筈、)
「やったニャ!」
「僕とデートがそんなに嬉しいんですか?」
「嬉しいもなにも最高ニャ」
「そ、そうですか」
素直にこんなにも喜ばれると、僕も自然に嬉しい気持ちになってくる。
「じゃあ日程は、どうしますか?」
「いつでもいいニャ」
「でもアーニャさんはお仕事があるじゃないですか?」
「そんなのいつでもサボれるニャ」
やっぱりどんな状況でもこの人は崩れないなと僕は思う。
「じゃあ3日後の昼、ここの広場でもいいですか?」
「わかったニャ!」
「じゃあミャーはもうそろそろ戻るニャ!」
「そうですね……ってもうこんな時間ですね」
立ち話をしてかれこれ1時間近く経ってしまい、すっかり日が出てきてしまっている。
「あ、最後に一つお聞きしてもいいですか?」
まだベルには一つだけ疑問が残っていた。
「なんニャ?」
「なんで早朝に、僕がここを通るってわかったんですか?」
そうこのことだ、そもそも僕が豊穣の女主人へ通っているのはクロエさんとリューさんしかいない筈だ、アーニャさんは知っていたとしても、僕がここを通るなんて分かりそうにないし……。
「そんなことかニャ、そんなのミャーのどうりょうが教えてくれたニャ!」
ベルには嫌な予感がたった。
「どうりょうですか?」
「そうニャ」
「因みに誰ですかね?」
「シルってやつニャ」
「そうなんですね、初めて聞きました」
(また知らない人が出てきてしまったー)
ベルはもう一度、豊穣の女主人には変な人しかいないと再実感したのであった。